199.本命作戦会議
まだまだ工房の方はまわらないと言うか、生産職達のスキル上げでいっぱいいっぱいといった所、逆に言えば今なら手が離せるとも言えなくもない。
つまり今が動く時だ。
いよいよ本格的に鉄人やキジンの使命である生命科学研究所破壊作戦を始動する為、関係各位有識者を集めて会議と相成った。
司会進行は何故かまた自分だが、実際の所何をどうすればいいのか全く分からないので、殆ど鉄人にお任せになるだろう。
「さて、この中の数名は実際に生物兵器と戦った経験がある訳だが、アレの親玉が生命科学研究所にいるらしい。そして鉄人とキジンはそのために作られて、遠い昔失敗したそうな」
「じゃあ、逆に触れずに置くってのも手だよね?だって現状何も起こってないじゃん?」
速攻で返事をくれるのは隊長だ。会議のテンポを良くする為なのか、本気でそう思ってるかは分からないものの、何となく性格上どっちもって気がしないでもない。
「でも、実際に戦ってみた感想、アレはかなり危険なの。近くに寄るだけで生命力を吸われるとか、脅威度が高いの」
「じゃあ、その生命科学研究所を破壊したらその生物兵器はどうなるのさ?」
「生物兵器本体が存在を維持できなくなり、分体も自然と消滅します」
「俺も質問いいか?その生物兵器ってのは何で生命科学研究所と一体なんだ?分体は好き勝手暴れられるのに」
隊長に代わって今度はブラックフェニックスが質問を始める。
「好き勝手暴れる事は出来ません。まず水や日光に弱い事が上げられます。その為地下で生命体から生命力を吸収し細々と活動していたと思われます。しかも本体から離れている場合、維持のみで成長は出来ないでしょう」
「何でそんな弱点だらけの生物兵器を作ったんだか?」
「生物兵器は元々生物兵器ではありませんでした。地表環境改善の為作られた人造生物であり、兵器ではなかったのです」
「ふーん、つまり管理の為あえて弱点を残したか、弱点があっても運用自体は可能だったか……そんな所か。それで?本体はどうなってるんだ?」
「本体の生命維持には大量のエネルギーが必要となります。エネルギー源を断てば消滅もしくはかなりの弱体化が見込まれます。十分に勝算はありました」
「でも実際には負けたんだろ?そこを今回は計画し直さないと痛い目見る事になるんじゃないか?」
と、今度はアンデルセンが引き取る。
「前回の失敗の原因は分体の存在です。当初人造生物だった頃にはまだ増殖機能はなかった模様、あとから獲得した能力によって強襲艦に進入潜伏された事が原因です」
「生物兵器には敵の作戦を潰すような思考能力があると見ていいんだな?」
「不明です。分体はあくまで近隣の生物から生命力を吸い上げる機能しかないと思われますが、当初生物を積載していなかった強襲艦が襲われた理由は分っていません」
「はいはいはい!さっきあとから獲得したって言ったじゃん?生物兵器って進化するの?だとしたら人造生物の時から危険じゃない?それとも進化も織り込み済みだったの?」
サイーダがそろそろ自分も黙ってられないとばかりに質問をする。
「人造生物が生物兵器になった背景には当時の戦闘が大きく関わってきます」
「まぁ、鉄人ちゃんもキジンちゃんも戦う設計だし、当時も何かと戦ってたんだろうけど、何があったの?」
「邪神の化身です」
鉄人の口から出た言葉に一斉に息を呑む会場。
少し前、世界一丸となって倒した敵の巨魁と鉄人達も戦っていたのか?
「つまりアンタ達は邪神の化身を倒した英雄的ロボって訳かい?」
皆黙ってる中、話し始めるのはガイヤだ。やはり肝が据わっているというかなんと言うか……。
「いいえ、倒したのは人造生物です。当時の邪神の化身は生物型でしたので、人造生物を生物兵器へと変え、邪神の化身の生命力を全て吸収し、駆逐したとされています」
「そりゃまたえげつない戦い方だね~……」
一対一で敵と面と向って戦う事を旨とするガイヤにはちょっと合わない戦い方だったようだ。
「僕も聞きたい事があるんだがね?生物兵器にせよ人造生物にせよ大量のエネルギーがないと維持できなかったんだよね?じゃあ、どうやってけしかけたのさ?それとも敵をおびき寄せた?」
この場にはプレイヤーの他にも訳知りそうなNPCもいるのだが、第12機関長もその一人だ。何しろキジンを拾ってきた張本人だからな。
「そこに気がつかれましたか。それには我々に搭載されている特殊制御炉の類似品が使用されたようです」
「確かにそいつは無限にエネルギーを供給してるが、そんな大容量でもないだろ?鉄人の攻撃がいくら引くほど威力があるって言っても、溜めも必要な訳だし」
思わず応じてしまうが、よく考えたら類似品って言ってたか?
「コレは無限ではありません。危険がないように少量づつエネルギーを引き出すような制御をされているだけです」
「つまり時間制限がある中で邪神の化身を降した生物兵器だけど、今度はヒトに襲い掛かる様になってしまった訳だ。次はそこを聞いていこうか」
何となく隊長が締めた。




