194.一段落
鉄人の大改造を終えた事で、詰まっていたアイデアが噴出してきた。
やはり、不満を溜め込むのではなく吐き出した方が、素直に改善に繋がるという事だ。
まぁ、文句ばっかり言って何もしなければ、何にもならないし、何なら他人が離れていくだけの事だが……。
つまりどういう事か!モーちゃんの脚をキャタピラに戻したい!
今の所カーチの機械人形に言えるのはそれくらいよな?
今回は【馬国】移動のためにタイヤにした物のやはり踏ん張りが利かないと言うか、ブルドーザーの圧倒的質量で押し返すあの感じが、足りなかったな~と言うのが不満。
やはり機械人形は動きは単調ながらも、シンプルな強さが売りだと考えている。
しかし、モーちゃんをキャタピラに戻した場合、今後の移動がまた遅くなってしまう事も否めない。
そこで、カーチ三体目の機械人形の出番となってくる!ちなみにキジンは自動で動くので、ちょっと番外というか、身柄預かり枠だ。
キャタピラの重量型二体を積載して相応のスピードで走る事を求められる機体!それはずばり!クレーン車だろう。
ベースは縦に長いトラック、高さはクレーンのみにして、総体積は減らしていく。更に運転席もないので、正面に装甲板だけは貼り付けておこう。
移動能力の分攻撃能力は下がるものの、クレーンを使った中距離攻撃と、なんなら重機関銃とミサイルポッドを足してもいい。
いざ、モグラちゃん、モーちゃんが行動不能になったらクレーンで回収して逃げれば、窮地を切り抜ける事も出来るのではなかろうか?
思い立ったが吉日とばかりに集中してあっという間に作り上げてしまったクレーン車は、思った以上に大型になってしまったものの、あくまで機械人形な範疇、軽トラ程度には納まった。これでヒト一人分と言うのは無理がある気もするが、まぁ仕方ない。
ちなみに二体同時に積載するのは難しそうなので、片方は積載、片方は前部を引っ掛けて後ろ側を引きずる形で、連結できるように荷台を工夫した。
あとはカーチがモグラちゃん、モーちゃんを連れてやって来たらテストすれば、全て完了と言う所で、丁度よくやって来た。
「クラーヴン!キジンちゃん勝ったよ!」
「よう!勝ったって、闘技か?そりゃキジンなら勝つだろ」
「うん!強かった!敵も全身ピカピカだったけど、キジンちゃんの方が強かった」
何を言いたいのかよく分らないけど、まぁあとで誰かに聞いてみるとしようか。
「それでだな……」
「あ!!!」
言おうとした時には既に気がついていたか……そりゃ全く隠してもいないしな。
「そう、こいつが……」
「鉄人ちゃん!また格好良くなったね~手つけて貰ったんだ?手の先の銃はどこ?レールガンとか電撃砲とか」
「レールガンは背中にマウントされています。電撃砲及び電磁パルス砲は腰部に収納しています」
そう言いながら、腰からアームで連結された電撃砲と電磁パルス砲を取り出して見せ、更に背部に二丁並べて地面に対して垂直に装備されているレールガンを背部アームで引き抜き体の前まで持ってきて両手で受け取った。
「うわーー!凄い!ロボロボしいね~!強そ~!羽までついてる!」
そうカーチに言われると、背部のバインダー型連結ブースターを動かして見せる鉄人。何気に気に入ってるのか?
「はい、ブースターバインダーで機動力が上昇、またレールガンに充填式エネルギーパックを装着した事で戦闘能力が上昇しました」
ううむ、ただでさえ白すぎて何か神々しい雰囲気だった機体が、羽がついた事で何か更に意味ありげに見えるのは自分だけだろうか?
「うん、そして今日来てもらったのは他でもないぞ。カーチ!」
「え?鉄人ちゃんの新装備を見せるんじゃなかったの?」
「いや違う!もう一個大事な仕事が残ってたろ!」
「まさか!あのクレーンのやつ?」
「そうだ!モーちゃんはやっぱり機動力よりパワー重視のキャタピラ装備が良かろうと思って、代わりに二体を運べる運搬が得意な自動人形にした!」
自分がそう言うと、クレーンが動き出し、フックが綺麗にカーチに触れる所で止まった。
カーチがそっと手を出し、お互い触れ合うと何かが通じ合ったのだろう。あえて言葉を発する事がなくとも、そこに繋がりが出来たのを感じる。
「分った!じゃあパオンちゃんね!よろしく!モグラちゃんとモーちゃん!それにキジンちゃんだよ!」
それぞれ仲間を紹介すると、機械達は自然と寄り添い、お互いが仲間であると確認しあったようだ。
しかし、水を差すようで悪いが、ここの所ずっとこの基地に篭もりきりだったし、一旦帰りたい。
帰ったら何作ろうか……鉄製品か料理か……何か何も考えずに作れるものが良いな~。頭空っぽにしたい。
「よし、一旦パオンちゃんに皆乗って、帰ろうか?」
「あっ!それなんだけど、クラーヴンは当分帰れないよ!」
へ?何言ってんだ?もう頭の中は休む事でいっぱいだぞ?




