191.ビエーラの相棒
機械人形のOSを書き込む機械を修理すること数日、また補給のため【馬国】地下基地を訪ねてくる姿があった。
「クラーヴンお疲れ様なの」
「おっ!今回はビエーラか!カーチは忙しいのか?」
「そうなの。キジンちゃんが闘技場で闘ったり、予約待ちのお客さんの整理したり忙しそうなの」
「本当にキジンに闘わせるのか……ちょっと興味有るな」
「クラーヴンは戦闘にあまり興味ないと思ったけど、気が変わったの?」
「いや、ロボの闘技は気になるだろ?」
「……よく分らないの。それより私のロボはどうなりそうなの?」
「ああ、それな……色々考えてはいるんだが、まずカーチみたいな機械人形の場合、魔素反応炉を搭載する所為でサイズの縮小が出来ない。逆に言えばそれなりの大きさのものでも動かせるとも言える」
「私の場合雪に潜んだり、旦那様のシェーベルの後ろに乗ったりするから、大型のロボは合わないかも知れないの」
「だよな。前の注文だと索敵に役立つロボでいいって話だったし、戦闘能力については何も言ってなかった。そう考えるとだ……俺が使ってる自動無人機って事になる」
「自爆さんの事?でも自爆するロボはいらないの」
「まぁそりゃタイプは変わるが、一定時間使って使い切りのロボってイメージでいい。コレなら小型化できるし、実際自爆さんも大して大きくないだろ?」
「その分効果も限定的で、特に命令したりする事も出来ないって事なの」
「そうだな。コントローラーで召喚位置や敵対象を選択する事は出来るが、寧ろ指示できるのはそれ位で、あとは完全な自動運転。最初にプログラムした内容を実行するのみだな」
「例えばどんな事が出来るの?」
「まぁ没案なんだが、敵が近くにくると異常なほど大きな音を出して知らせるとか、もしくは弾けて狼煙を上げるとかだな」
「それってどんな魔物だろうがヒトだろうが反応するんじゃないの?」
「正解!だから没案って言ったろ?そもそもビエーラはそこまで戦闘で困ってる事って無いんじゃないか?」
「それはそうなのけど、近距離の対応能力がないのも確かなの」
「それは、近距離と術を完全に切ってるが故の超距離物理スタイルなんだから仕方ないんじゃないか?」
「初期からのプレイヤーは殆どがステータスもメインのスキル熟練度も頭打ちなの。その代わり別の可能性を手探りしてる。私も今までにない物を掴まないと追いつかれて追い越されるだけなの」
「そうは言っても、ビエーラのステータスは命中力に関する物と筋力に関するものに極振りだろ?どう考えても近距離は向かないし、敵を寄せ付けない事が肝なんじゃないか?」
「むぅ……それはそうなの……」
「……重機関銃でも使うか?」
「何言ってるの?」
「いや、精神力さえ溜めておければある程度は撃てるだろ?モーちゃんの重機関銃だって、あれは術士の石に溜めたカーチの精神力を使ってんだから」
「それは面白いの!でも折角だからもう一声欲しいの」
「もう一声ってなんだよ?」
「重機関銃みたいな荒い武器じゃなくて、もっと一発に魂込める武器が欲しいの」
「んじゃあ~いっそ、携帯ロケットランチャーでも使うか?この前拾ったやつがあるから、それ使えば単発の威力はかなりのもんだぞ?」
そう言って、この前ボス戦で手に入れた携帯ロケットランチャーを取り出す。
見た目は完全に紛争地帯なんかで使われる肩にかついで使う筒のアレだ。
「完全にバズーカなの」
「コレは違ったか?」
「気に入ったの!これを私用にして欲しいの」
「そいつはいいが、実際どうやって運用するんだ?今使ってる改造ロングクロスボウだってかなりの重量だろ?」
「別に、モシナちゃんを片手で担いで、もう片方の肩でこれを撃てばいいだけなの」
「よくまあそんな重量物二つもかつごうなんて発想が生まれるな?」
「?クラーヴンが自分で言ってたの。私は筋力と命中力重視なの。なんなら筋肉と耐久力と精神力に振ってるソタローよりも尖ってるの」
「そういやそうか……ミサイルやロケット弾はダメージこそ術系だけど、実弾式だし、必要な精神力は射出に関するもの最低限だけだしな……やってみるか?」
「じゃあ、お任せするの!頼まれた荷物は置いておくから、好きに使うの」
「おう悪かったな!」
「別にいいの!新しいお友達の名前考えて【古都】で待ってるの」
そう言って、何事もないように帰っていくビエーラ。
本当に華奢な女の子アバターで、上から下まで真っ白な防寒装備なのだが、もしかしたらその筋力はこのゲーム有数なのかもしれない。
鉄人のコアが作れればもう少し小型化した機械人形も作れるんだろうが、キジンにせよ鉄人にせよ特に操作するタイプのロボじゃないし、機械人形って言うジャンルから離れてる気もするんだよな……。
まぁ作れないモノのこと考えても仕方ないか。




