17.雑魚狩り
「それでコイツからどんな情報が収集できたんだ?」
「射撃プログラム ヲ 一部アップデート 飛行プログラム 0.1% 取得」
「どうやら、ここの敵を倒すとロボのスキル熟練度が手に入るらしいの」
「だな。ロボの経験値取得用フィールドって事なのか?出来れば何か撃ってきたし、その武器を<解体>して手に入れたかったが……」
「可能デス 何ガ手ニ 入ルカ 情報ハ アリマセン ガ ボディ 及ビ 武装ニ 使用可能ナ 素材ガ 取得デキマス」
「……それなら武装を充実させた方が、この先もっと楽になるんじゃないか?」
「現状 クラーヴン技師長ニ 作成シテイタダイタ 武装デモ 対処可能デスガ ボディ ノ アップデート優先 デ ヨロシイデショウカ ?」
ううむ……早い所この外側だけ拾い物の突貫ボディから、更に高性能の物に変えてやりたいが、色んな事を忘れちまった鉄人の経験値も重要だ。
これまで生産一本で殆ど敵を倒すということをしてこなかったのだが、ボディ素材か情報か、どっちが正解なんだ?
「クラーヴン?そんなに悩まなくても大丈夫の様だよ?」
「どうしてだ?カヴァリー」
「耳を済ませてみるといい、あちこちでさっきのプロペラ音が鳴ってる」
「ああ……?確かに、あと何体から剥ぎ取れるんだろうな?」
「多分、無限なの。まばらにあちこちから聞こえるって事は、このフィールドの通常魔物の可能性が高いの。ドローンみたいな敵を魔物って言ってもいいのか分からないけど」
なる程、この基地はロボ用初心者フィールドみたいなものなのか。
現状、鉄人の武器は並みの5連射クロスボウとまあまあの威力のパイルバンカーだけ。
大した敵に対応できる訳でもないが、ここで経験値と素材を手に入れて、強化して先に進めとそういう事なのだろう。
そうなると、ここからは非常に地味だが、雑魚狩りタイムと言う事になる。
問題はカヴァリーやビエーラと言った、多分有数の戦闘プレイヤーを連れているという点だ。
二人は未発見フィールドの探索を楽しみについて来てくれたのだと思うのだが、この二人の力を頼みに押し通れば、今後似たようなフィールドが現れた場合、鉄人の力のみでの攻略は不可能になる。
何しろ自分とカーチに戦闘力はほぼ皆無なのだから、鉄人の力頼みと言う展開になる可能性が高い以上、ここは非常事態のまま、鉄人の経験値が必要なだけ溜まるまで、狩場としてそっとしておきたい。
さて、ここまで協力してくれた二人に俺が出来る事はなんだろうか?無料で手伝ってもらって、この場でお役ごめんなんて、そんな事は言えないし……。
「何やってるの?クラーヴン?」
「いや、な。このフィールドだが……」
「早い所、この鉄人の経験値とボディ用装備集めましょう。そうじゃなきゃ先に進めないでしょう?」
「ああ、だが、多分初心者フィールドもいい所のこの基地でだな……」
「鉄人ちゃんの経験値はあのフラフラ飛ぶヘリコプター倒しちゃってからでも手に入るし、二人にどんどん倒してもらっちゃえばいいじゃん」
「そうなの。折角だし私もあのドローン<解体>してみるの。【狩人】の<解体>スキルでもロボ用素材が手に入るなら、私が集めた素材をクラーヴンが買い取ってくれればいいの。クラーヴンの言う通り、初心者用フィールドと変わらない敵しか出ないみたいなら、格安で譲るの」
「しかし、お前らみたいな上級のプレイヤーにそんな雑用みたいな事頼めないだろ?」
「何言ってるの?私たちだって日頃散々、雑魚狩りやって素材集めしたり熟練度集めしたりしてるの。やる事は一緒だけど、ロボっていうのは新要素なの。ここでロボ用素材について知識を得ておけば、他のプレイヤーに先じる事が出来るの」
「クラーヴンは気にしすぎですよ。取り敢えず手分けして、このドックエリアの魔物狩りからはじめて、更に奥に進める情報も集めていきましょう」
どうやら二人は既にやる気だったみたいで、自分の考えすぎだったようだ。
どちらも名の通ったプレイヤーだと思うのだが、気のいい奴らと知り合えたのはありがたい。
そんな事を思っている内に、暗く広いドックの奥に二人共ズンズン進んでいってしまう。
仕方ないので、自分とカーチと鉄人は近くで音がする方を目指してゆっくりと進む。
例のバラバラバラと言う音で、何となく距離は分る。
敵がその存在をあからさまにしてくれているのだから、本当に初心者用フィールドなのだろう。
暗い空中に敵の影が動くのを視認したところで、鉄人のクロスボウの矢が飛び、一発で落っこちてくるドローン。
一応生産職の嗜みで持ってる素材収集用スキルで<採集>すると、
〔配線束〕〔ドローン用プロペラ〕〔空気圧縮機構〕
何かを手に入れた。
プロペラは言わずもがな。配線に関しては現状古代の鉄屑から引っぺがしてきたものを使用しているが、より軽量になる代わりに繊細にもなるようだ。
あとはもうちょっと、敵を狩って色々集めてみないと分らなさそうだ。
何しろ自分達は戦闘については無力もいいところ、そろそろと慎重に一体づつドローンを狩っていく。




