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163.ペンギンと最後の夜

 ザバァッと音がしたと思ったら、隊長が海から上がってきた音だった。


 ずっと潜水してたとしたら鯨か何かかよ!と突っ込みたいところだが、多分何かタネなり仕掛けなりあるのだろう。


 「おっ!やってるな!丁度空腹度もそろそろって感じだったし、食事にしながら報告と今後の方針説明と行こうか!」


 言いながら平気な顔をして鞄から酒を出しつつ、火に当って体を乾かし始めるまでが、流れ作業。


 さっさと全員協力して配膳し、案の定宴会がはじまってしまった。


 しかしながら、探索勢は今後の方針もあるので、とりあえず隊長の話に耳を傾ける。


 「とりあえず報告だけど、ペンギンの言う変なのってのは難破船だった。古すぎて殆ど朽ちてたし目ぼしい物もなさそうだったけど、でも昔この辺まで船が来たことだけは確かだね」


 「って事は、海を使って西側に行ける可能性があるってことか?」


 「十分にあると思う。まさか大回りして東から来たとは思えないし、まぁ、気候変動でもあったなら必ずとも言えない所なんだけどさ。ただ、西から来た説を推すね」


 「ふーん、だからと言って航海日誌が残ってた訳でもないんだろ?どうやって航路を見つけるんだ?」


 「それなんだけどさ。この辺が凍ってないのと関係があって、どうやらここって川の水が流れ込んでるみたい」


 「はぁ?川って、川か……、じゃあ川を辿って上っていけばどこかしら陸地には出られる可能性があるって事か?」


 「正解!正直この寒い中で潜ってみないと分からない情報があるとか鬼か何かかよとは思うけど、とりあえずボートで出来るだけ南沿いを進んでみよう。それがこれからの方針」


 「よし!堅い話も終わったし酒飲もうぜ!」

 「だな!要はここからボートで旅するぞってだけの話だ」

 「川があるなら陸もあるだろうし、一面氷景色とはオサラバか!氷でも切り出して冷やした酒にしようかな」


 忍達は話が終わると見るや酒に手が伸び、勝手なことを言い出す。


 阿空も特に今の話に対していう事もない様で、酒を飲みながらつみれ鍋をつついているし、ブラックフェニックスも同様だ。


 自分だけ飲まないでいても仕方ないので、適当に透明な【帝国】の酒に氷を浮かべて飲み始める。


 一面氷景色の極寒地帯で冷たくして飲むのかって話だが、温かい鍋をつつきながら冷たい酒を飲むってのも乙な物。


 いつの間にか夜になり、現実じゃそうそうお目にかかれない星空を見ながら、世間話に花を咲かせる。


 「しかし、探索ってのはもっとこう……危険がたっぷりあって精神を削りながら進むもんだと思ったんだが、殆ど歩いてばっかりであっけないもんだな」


 「まあね~ダンジョンみたいな危険な場所に潜るなら話は変わるけど、普通に誰も歩いた事無い道を歩いて、どこに繋がってるのか確認するだけだからね。歩くだけだよ基本」


 「俺は見た事無い魔物を狩れただけで十分だ。いい経験になった」


 阿空は意外と今回の未踏破地区探索に対して、悪い印象はないみたいだ。


 「俺は根の国の武器屋のおっさんと交流できただけで十分だったな。ひたすら歩くってのはあまり趣味に合ってなさそうだ」


 「ブラックフェニックスは<錬金>使いだから精霊の力の宿る素材が沢山必要でしょ?まだ世間には流通させられないけど、自分で使う分だけなら相応の量を報酬として渡すから、好きに実験に使いなよ」


 「相応の量って、どんなもんだ?」


 「そうだね~自分が持ってる石壷ってのがあるんだけど、石を磨き出しちゃうと種類ごとに一スタック必要でアイテムバッグの要領を圧迫するから、原石の状態で壷に詰め込んでるんだよね」


 「それがどうした?」


 「中身はランダムになるけど、結構な確率で当りが出る宝石ガチャだから、応酬としては悪くないと思うけど」


 「曖昧な表現だな。どれ位の物かいまいちピンと来ない」


 「う~ん確かブラックフェニックスってレディとも関わりあるんだっけ?そのレディに袖の下で渡したら、凄く嫌な顔をしながら受け取って、大抵の事は飲んでくれる位かな」


 「あっ……分かった。本当にそこらで売っちゃいけないやつだ。そんな物貰えるなら文句言うのも違うな」


 ブラックフェニックスは報酬で引き下がるらしい。


 「俺達は?何がもらえるんだ?」

 「いや、事前に報酬の話はじじいから聞いてたろ?」

 「小太郎は火精、佐助は木精、俺は風精の魔物素材と高純度の宝石、隠れ里にも運営の為の献金があるってよ」


 「そうそう、三羽烏は欲しい物あまり無いって話だから、装備強化用の素材や何かを自分が集めた物と、買ってきた物と、根の国で手に入る物を織り交ぜて後で頭領に渡しておくから」


 三羽烏達は最初から納得づく出来ていたという事だ。若干名忘れてる奴もいるが、欲しい物があまりないと言うくらいだし、物欲では動かないのだろう。


 「まっ!クラーヴンも慣れない長旅で疲れたろうけど、これが終われば鉄人強化用の金属鉱石をたんまり貰ってくるから、安心してよ。口の交渉で上手くいかなかったら実力でもぎ取ってくるから」


 「やりすぎんなよ?別にロボの一体二体作る程度の金属でいいんだからな?」


 「オーケー!オーケー!複雑な回路に使う多種類の金属鉱石だよね!任せなって!ブラックフェニックスもロボの修理頼んでるんでしょ?その分も回せるようにするからさ!」


 不安しかねぇ……。

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