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150.ミラーハウス

 まずは入り口の部屋、何しろどこもかしこも自分が写っていて、一歩目から気が狂いそうな光景が迫ってくるようだ。


 「うげっこりゃ駄目だ」


 そして入って間もなく最初に弱音を吐き出したのは意外にも隊長だった。


 「どうしたんだ?何かあったのか?」


 「ああ、いや……自分は熱感知で物を見れるんだけど、寒すぎて全部青だわこれじゃ進む道見えないなと思って」


 どうやら隊長なりに先に進む方法を考えていたらしいが、一案目が潰れたと言う事だろう。


 「暗闇なら得意だが、ここは不思議と結構明るいからな……いずれにせよ目に捉われてたら先に進めないんじゃないか?」


 「なぁ、下まで鏡ってさ。もしスカートの女子でも来たらこのフィールドどうする気だったんだ?」

 「別に一番下は男も女も鉄壁のパンツを履いてるんだから、見えようが何しようが構わないんじゃないか?」

 「そういう問題じゃないとは思うが、この寒い中スカート女子が来る事は絶対に無いから安心しろ」


 若干名不真面目な連中も混ざっている。


 「なぁ、風の通る音から言って、右か左だろ?どっちに進むんだ?」


 阿空が他の連中の戯れに飽きたのか、声をかけてきた。


 「まぁ、落ち着きなよ。そのどちらかが合ってればどちらかが間違ってるって考え方が罠って可能性もあるんだって!」


 隊長が訳知り顔で言ってくるが、いきなり入って一歩目からそんな性悪な罠を仕掛けるのは、そんな事を言ってる本人だけだろう。


 「じゃあ、隊長はどうするのがいいと思ってるんだ?一応この一団の代表だろ?」


 「うん、まずはこの正面の鏡を調べた方がいいと思う。何しろ上下左右はまるで惑わすように色んな形の鏡が組み合わさっているのに、正面だけ妙に綺麗でまっ平らな一枚鏡だ。罠があるとすればここだね!」


 何故か確信的に正面の鏡が怪しいとのたまうので、とりあえず全員で正面の鏡を調べる事にした。


 まず隊長が近づき、正面の鏡に触れると、まるで何にも抵抗がなかったかのように右肘まで入ってしまい、そのまま飲み込まれるように鏡に吸い込まれてしまった。


 「おいおいおい!冗談のつもりかと思ったら、本当に罠じゃねぇか!どうする?いきなり俺達を率いる指揮官がいなくなった訳だし、一旦引くか?幸い出口は目の前……穴はどこに行った?」


 ブラックフェニックスが突然の出来事に叫んだと思ったらあっという間に言葉が尻つぼみになり、弱々しく自分達が入ってきた方を指す。


 すると背後にあった筈の穴は消え、そこにも一枚の綺麗な鏡が張られていた。


 阿空がすぐさま走り寄り、穴があった筈の場所に思わず触れると、やはり一瞬で吸い込まれて行ってしまった。


 「ど、ど、ど、どうする?」

 「どうするもこうするも、タネも仕掛けも分かんないのに、どうもしようがないだろ」

 「でも、どうにかしないと既に2人飲まれてるんだぞ?」


 「ブラックフェニックスはどう思う?」


 「どうって言ってもな。今度は向こうだ」


 指差す方を見ると、入ってきた方向から右手側にやはりつるっとした鏡のよな壁が現れていた。


 「一人吸い込まれるごとに一つ道が出てくるのか?もしかして」


 「分らないが、今の所あの平らな鏡に触れて先に進むしかないのだろう」


 そういって、ブラックフェニックスは右手側の鏡に吸い込まれていった。


 次はどこの壁が増えたのかと周囲を見渡すが、ちょっとどれだか分らない。


 しかし、いつの間にか最初に入ってきた正面の鏡がゆっくり上がり、奥への通路を作り出す。


 おっかなびっくり中に入りこむと、中には隊長と阿空とブラックフェニックスが待ち構えていた。


 しかし、流石に全員口を閉じ、次の瞬間に起こる事に集中している。


 何しろ、今目の前にいる連中は全て逆、隊長、阿空、ブラックフェニックスと、皆鏡写しの状態で出てきたのだ。


 対するこちらは、風魔小太郎、服部半蔵、猿飛佐助、猿、鉄人、自分と数の上では勝っているが……。


 お互い睨み合う事数十秒、なにかおかしい?


 向こうも何かに気がついたかのように間合いを取り、三人で話し始めた。


 しかし、何を話しているのか、全く声が聞こえない。


 「これってもしかして、向こうは向こうで本体だったのか?」

 「じゃなきゃ襲ってきてるだろ?一々困惑した振りをする魔物なんか出てこられた日には流石にお手上げだろ」

 「出てこないとも限らないんじゃないか?こんな手の込んだ仕込をしてくる相手なんだから」


 確かに、現状ある意味じゃエースと呼べる戦力が三人向こうに引っ張られ、こっちは何とも言えない忍三人と猿とロボと自分と言う取り合わせ、明らかに戦力が傾いている。


 もしあの三人に攻撃されていたら探索初めて早々に死に戻りだったろう。


 そういう意味ではお互いおかしいとすぐに気がついてよかった。


 さてどうした物か?三羽烏がわちゃわちゃしている間にどうやら隊長達は方針を決めたらしく、指で右に向うと方角を指し示してきた。


 とりあえず声は聞こえないものの、ジェスチャーは分かるので、大きく頷き、全員で右に向う。


 はてさて、面倒な迷宮だ。

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