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145.相変わらずろくでもない

 散々料理を作らされ、阿空も自分もいきなりそれなりに稼いでしまった。


 阿空は配膳だけだからと遠慮していたが、自分一人じゃ手が回らなかったし、何だかんだ細々と気を利かせてくれたのだ材料費を除いて折半とした。


 まぁ、材料費がここの価格で幾らになるかとか、全く分からんのだが、何となく雰囲気だ。別に金に困ってるわけじゃない。


 そして金を得るのと同時に色々と情報も得た事で、ここの成り立ちや文化に現状や他種族の事まで、一応は理解出来たと思う。


 そして今向っているのは集会場だ。


 情報によると隊長と連れ立って一人の男が一緒に来たとの事、細身だが隙のない雰囲気に遠巻きに見るだけにしたとか。


 てっきり【帝国】の文官や何かがぞろぞろ来るのかと思いきや、たった一人とはどういう腹積もりなのか?


 とりあえず、一人の若いエルフの案内で集会場に辿り着き、阿空と2人で建物に入る。


 受付に一人のおばちゃんが座っていたので、声を掛けようとすると、スッと一つの部屋を指差したので、そちらへ向う。


 チラッと横目に見れば、カウンターの下に酒を隠しているので、隊長からヒトが来たら通せとでも言われたのだろうか?


 何故隊長かと言えば、勤務中のヒトに酒を賄賂で渡すような、ろくでなしはアイツしか心当たりがないからだ。


 案の定部屋に入ると隊長と誰だったか隊長と親しい【帝国】の高官と黒い衣服が神秘的な雰囲気を醸し出す女性がいた。


 誰が言ったか黒は女を美しく見せると言ったが、何やら飯を食いながら高官の話を聞いている様は、色気もへったくれもない。


 「おっ一番乗りはクラーヴンと阿空か!順応が早いね~」


 「なんだそりゃ、お前を探した所為で散々飯作らされて、何に使ったらいいか分からんここの銀貨を稼いで、言われるのがそれってな?」


 「そう言うなって、逆に言えばここのヒトと面識が出来て、多少なり信頼関係を築けて、鉱石やら土産の武器やら買う余裕も出来たって事じゃん?逆によかったと思うけど」


 「結果だけ見ればな?」


 「人間万事塞翁が馬って言うし、いい方向に言ったらそれでいいと思うけど?何なら今回誘ったメンバーは皆それなりに結果を出してくれると思って、あえて放って置いたし、一応フォローもしてるしさ」


 「相変わらず人を食ったような酷い奴だよ。それでどこまで話は進んだんだ?」


 「一応この地での目標は二つ。まずは天上から水を引く方法を考える事、これによって【帝国】民の入植を進めて、小麦や何かを育てられればいいなって感じ?適した農作物の調査の為、ヒトを送り込む約束を今幕僚総監が進めてた所」


 「なる程?それでもう一つは?」


 「未踏破地区の探索だね。将来的には交易をしたいから交易路を見つけたいんだわ。現状ってさ自分しか大規模な取引できないじゃん?」


 「ああ、ポータルを使用した場合取引量や額に制限がかかるのか」


 「それそれ、自分が交易を独占する事も出来るけど、恨みを買いたくないし、何よりもっと生活を便利にする為に実業家目指してるのに、自分が行商やってちゃどうしようもないじゃん?」


 「まあな~、それでその未踏破地区探索ってのは当てがあるのか?」


 「うん、北と南に当りをつけてたんだけど、今回は少人数で北を行こうと思う」


 「ふん、断定的だが、本当に大丈夫なのか?」


 「多分ね!皆に少し待って貰ったのはさ。大霊峰を越えた後、北辺の氷壁を見に行ってたからなんだけどさ」


 「何だそりゃ?」


 「何か一面に氷が張って奥に進めないこの地の北の境目だね。そこには前、一匹の凍りついたレギオンボスがいたんだけど……ちょっと事件でいなくなっててさ」


 「やらかしたのか?」

 

 「まあね~直接的には自分じゃないんだけど、やらかしたには違いない。でもさ、そんな一瞬で凍るほどの弱さでも無いのよ。それで何をまごまごしてたのかな~って予想した結果、どうやら大昔北辺の壁までレギオンボスを引っ張っていった誰かが逃げ込んだ洞窟跡が見つかりました!」


 「つまり、そこが交易路になる可能性があるって事だな。って言うかそんな事よく思いついたな」


 「(普通レギオンボスって戦闘になったら一定エリアを出られない筈なんだけど、追いかけたって言うゲームのルール上不可能な事を伝承してるって事は、ストーリーに何か意味が含まれてるんだろうって思う訳)」


 なるほど、メタ的な考えだが、交易路があるかはともかく、探索しても面白い土地なのかもしれない。


 「それにしても、大霊峰を登ってこの地にやってきて、北辺まで行ってからこの街に来てって、日数的に短く感じるのは俺が旅慣れない所為か?」


 「そうじゃない?」


 「いや、そんな事はない。大霊峰登頂成功だけでも歴史に残るのに、大霊峰を越えて一人で交易をしたと言う伝説まで残さねばならないんだ。本当に頭が痛い。まかり間違ってもこんな短期間で、呼び出されるとは思ってなかった」


 話に入ってきたのは幕僚総監?だ。いつの間にか【巫士】様と話を終えて、こちらの話を聞いていたらしい。


 「自分は慣れてるし、そうかからないと思うって言ったけど?」


 「幾らなんでも常識から外れすぎていると言ってるんだよ。お陰で使節団が間に合わず、一先ず私が全権代理として、単独来る事になってしまったのではないか。まあそんな隊長に振り回されるのもすっかり慣れたものだがね」


 どうやら、この幕僚総監相当な大物らしい。かなり若そうな見た目と柔らか気な雰囲気の裏にはきっと針のような鋭さも持っているのだろう。


 少し明かり警戒するのだが、その横で未だ食事をがっついている黒服美女の所為で、いまいち緊張感が足りない。

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