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13.準備完了

 武器の試射も終わり、鉄人新ボディの方針が決まったので、あとは一気に組んでいくのみ。


 まずは中枢部と言っていい、エネルギー源と情報処理装置と外部情報収集装置を一体化し、コアと呼ぶ事にする。


 と言うのも、今回のボディは古代の鉄屑にあったデコイを拾ってきた物がベースである為、基本使い捨てとなる予定だ。


 勿論自分が作った出来合いボディよりはよっぽど高性能ではあるので、今後この製造方法も探せるものなら、手に入れたい。


 そして、ボディを使い捨てるのであるならば、中枢部だけは丈夫かつ積み換え易い構造にするのが合理的だろうという事で、コア作成となった次第。


 そして問題のデコイの形状だが、スキー板の付いた飛行機?


 飛行機と言うのは言い過ぎかもしれないが、空気抵抗を減らす為に前方が尖った形状となっており、更に最も攻撃がぶつかりそうなその尖った前方部が強固かつ分厚く出来ている。


 その為コアを積み込んだ部分が、背部寄りに丸く出っ張り、見様によってはまるでコクピットに見えなくもない。


 そしてその背部には元々は風精を利用し、ひたすら高速で進む為の装置が取り付けられていたが、それは一旦外した。


 スピードを調整し、移動しやすくする為にファンを取り付け、風圧で動く事には変わりないが、かなりのマイルド仕様となった。


 この部分に付いては殆ど自作の為、素材は既存の物であり、狙われるとちょっと弱いかもしれない。


 更にこのボディは元々ホバー移動を想定した物なのだが、自分達が通常想像するホバークラフトは、ファンの風圧で浮いて移動するものだ。


 しかしそんな物をこの暴力的パウダースノーの【帝国】で使えば、当然全部巻き上げて大変な事になる。


 鉄人の記録から、この北辺の地は大昔から雪だらけだったらしいので、そんな危険な移動はしない。


 なれば、どうやってホバー、つまり空中停止するかと言うと、このゲームの自然現象には精霊というものが関わっている事が多い。


 その中でも重精と言う重力を扱う精霊の力で、浮いていると言うか、超軽量と言うか、ギリギリの具合でバランスが取れている。


 ホバー起動時に空気が詰まった風船の様に重力には引かれているが、ちょっと触れれば浮いてしまうような状態を作れる。


 あとは空気圧で移動するだけだ。


 スキー板はどちらかと言うとブレーキだった。てっきりこれで滑るのかと思ったのだが、浮いていればそんなの関係ない。


 そして、今回の目的地は大昔の基地らしいので、施設内を走れるように当然ながらスキー板から車輪に切り替えも可能。


 更には、車輪横にピックが出るようにしたので、ターンをしたい場合はピックを地面に突き立てて、上手くすれば鋭角に曲がる事も可能だろう。


 主要部はこんなものか。


 あとは武装だが、これは自分が付け替えやすいように改造をし、今後もアップデートしていく予定だが、取り敢えずはクロスボウと榴弾発射機は有効みたいなのでコレを左手に、右手はパイルバンカーで行く。


 ちなみにパイルバンカーはワイヤー付きフックと換装可能である事は今まで通りだ。


 そして、あとは鉄人側から要求の有った装備についても触れておく。


 このボディは元々充填式で、コアのようなエネルギー源を持たない。


 その為当然ながらエネルギーを受け取る充電装置の様な物が付いているのだが、今時珍しく有線だった。


 何か見慣れぬプラグ差込部があるな~と思ったら、エネルギー供給及び情報のやり取りをする為の装置だったらしい。


 その為一人で古代の鉄屑に行き、プラグを探して収集、鉄人側から差し込んで基地の情報を引き出す手間を減らそうと言う事になった。


 何しろ前回は、情報処理装置から配線を直接繋いだりなんだりと、何気に手間がかかったので、プラグを挿すだけでいいのならこんなに簡単な事はない。


 鉄人の準備はこれで完了。


 次は移動手段だ。


 方向としては【古都】からおおよそ北西としか分らない場所に基地があるらしい。


 一応【帝国】国内の地理に詳しい知り合いのプレイヤーに話を聞いたが、そんな場所に心当たりはないと言う。


 となれば、その基地を向うのに相当迷う可能性がある。


 仮にNPCのソリを金の力で借りても誰が運転するのか?やっぱり右!とか左!とか永遠につき合わせてもいいモノなのか?


 正直このゲームのAIはかなり優秀と言うか、感情豊かだし、あまり迷惑はかけたくない。


 地道に歩いていくしかないかな?と覚悟を決めた時、プレイヤーの一人が先導してくれると申し出てくれた。


 ビエーラの旦那、カヴァリーだ。


 あまり目立つ事はせず、地味で優しい旦那に見えて、実はコイツも【帝国】内では有数の【騎兵】隊隊長だったりする。


 シェーベルと呼ばれる鹿ともトナカイとも言えない騎乗生物を駆り足場の悪い雪道をいとも簡単に踏破する。


 そのサーベルの振りは異常なほど早く、的確に相手の首を狙い打つ事から、裏では首駆りライダーと呼ばれているらしい。


 そのカヴァリーが先導しつつ、アリェカロと呼ばれる雪道で重量物を運ぶのに特化した毛長牛の様な生物が引くソリで、探索をする事が決まった。


 ちなみにアリェカロソリの運転手はビエーラの率いるプレイヤークラン『六華』のメンバーの一人。


 真っ白く尚且つ皮膚の一部も出さない完全防備の男は、特に名乗りもしないで、ただの運転手として扱って欲しいとのことだったので、深追いはしない。


 そんなこんな、準備は整った。

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