129.スターライトシルバー
「いや~あれは反則だよう。あんなのプレイヤーじゃ絶対無理じゃん。何あの高火力術の連射!おかしいって!」
「反則デハ アリマセン」
「そうだな反則ではないが、並みの相手じゃ対応出来ないのも確かなんだろうな。寧ろあそこで距離詰めて一発よく入れられたな」
本戦一回戦が終わり、先日案内された店に行くとうなだれたスターライトシルバーがいた。
気まずさから、すぐに立ち去ろうと思ったのだが、結局こうやって愚痴を聞かされる羽目になってしまった。
「まぁ俺はスロースターターだからな。物理でやりあうには最初っから飛ばして行けるんだが、金属重装備の辛い所で、術威力が伸び悩みがちだろ?だから対術の場合戦闘時間に比例して威力が上がるバフを利用してるのさ」
「なる程な、近接職は純粋術士に対して切れる札が少ないからな」
「そうそう、とは言え、もし術の種類が増えられても慌しい前線で使いこなせる気はしないし、高威力術をバンバン使い放題だったら、術士職はいらんって事になっちまう」
「何事もバランスだからな。出来ない事を補い合うからMMOの意味があるんだし、壁役としても高威力の物理火力としても、最後の爆発力もどれも一級品だったし、そう落ち込む事無いんじゃないか?」
「そうは言うけど!ロボだぞ!超高火力、高耐久のロボが出てきて、俺達の出番なんてあるのか?」
確かにこうして実際のプレイヤーと戦わせてみると鉄人はかなりの強さである事が窺える。
ほぼ無限のエネルギーで連続稼動し、疲れを知らず、集中力が切れるという事がない。
強いて弱点を挙げるなら修理が〔IRM〕か作り直すかしかない事、そして武器以外の攻撃方法が無い事か。
仮に剣を振らせたとして、縦切りか横切りか、なんにせよこちらの作った決められた動作しか出来ない。
対してヒトならば柔軟に回避防御、攻撃方法だって器用に武器を使いこなす。
そういう意味ではロボの攻撃は直線的であり、高火力で押す以外の攻撃は出来ないとも言える。
単純な操作と高火力が売りであり、ロボ慣れするプレイヤーが出て来たら、もっと苦戦するのではないだろうか?
「対策トシテハ 防御術ノ習得 回避技術ノ向上 ガ 上ゲラレマス マタ 威力ニ 依存セズ 目クラマシ ヤ 牽制ニ 術ヲ 使用スル事デ 勝率ノ 上昇ガ 見込メマス」
「う、うん具体的なアドバイスありがとうな。まぁ今回は負けちまったし、第二戦は応援するぞ。ロボが決闘王になったらどうなるのか見てみたいし」
「それなんだよな。招待されたから出場させたが、鉄人が優勝した場合ロボが決闘王になっちまうんだ。大丈夫なのかと思ってよ」
「招待されたものは仕方ないんじゃないか?それより何だかんだ勝つ気ではいるんだな?」
「ハイ 任務ト アラバ」
「まぁ、実際の所どうなんだろうな?間合いさえあればそこそこやれるが、間合いを詰めてくる相手には弱いからな」
「確かに近接武器が盾型のチェーンソーだけなのはちょっときつい。もっと自在に振り回せる武器であれば戦いようもあるんだろうが、手とかはつけてやら無いのか?」
「マニピュレーターは作るのが難しいんだよ。工場跡地みたいな場所からそれに近い器用そうな部品は見つけてるが、鉄人に接続するにはまだ色々と足りない。何ならバインダーを振り回すのがやっとだ」
「なんとも、高機能なのかローテクなのか、取り敢えずは撃ちまくるしかないって話だ。それだけでも十分脅威だとは思う。思うが……」
「上には化け物がいるからな。ガトリングの弾を捌けるやつとか、ガトリング使いを一方的にぶちのめす奴とか」
「剣と術のファンタジーでガトリングって単語がそもそも不穏だけどな!あ~俺もロボ欲しいな~」
「どうしたんだ?急に」
「いや、やっぱりさヒーローと言えば、ロボじゃん?うちは戦隊ヒーローだし、特に合体変形出来たら尚良しなんだけど、作れないか?」
「無理だな。今の所基本は拾ってきて修理だ。一から作るってのはまだ少し先の遠い話になりそうだ」
「なるほど?まぁじゃあ巨大変形合体ロボはお預けだな。ちなみに今の所ロボって何体位でてるんだ?」
「鉄人とモグラちゃんとモーちゃん、そしてキジンだな。他にもどこかで出てるかもしれないが、今の所情報はない」
「随分とレアだな。どうやって手に入れるんだ?」
「クエスト受けて大昔のゴミ捨て場とか基地とか行くと拾えるみたいだ。もし見つけてきたら直す方は受けよう」
「おっマジか!こりゃ真面目に探すほか無いな!うちのレッドとかイエローとかブルーが持ち込んでも?」
「ああ、天空戦隊には見本市の時に世話になってるからな。【古都】に持ち込んでくれれば直すさ。寧ろ色々修理して早く俺の腕を上げたい」
「分かった!基地やゴミ捨て場のクエストだな!ちょっと探してみるぜ。ちなみにこの話は他にも?」
「ん~一応ライダーマスクには言ってある。他にも【帝国】【古都】勢が持ち込んだら直す気だな」
「なるほどな!よーしよし!まだライバルが少ない内に気合入れていくか!」
はじめは愚痴っぽかったスターライトシルバーだが、ロボが手に入るかもしれないとなると機嫌が直った。
やはりロボってのは少年の心をくすぐる人気コンテンツだな~




