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123.そろそろ帰ろう

 無事取引が終わり、大量の食料や織物に役に立ちそうなガラクタなんかを鞄一杯に詰め込んで、闘技場の方へ行くと、丁度ガイヤが黒司祭を倒した所だった。


 ガイヤの様子を見るに相当苦戦を強いられたようだが、倒れているのは黒司祭だ。


 顔に刺青の入ったお姉さんが黒司祭を助け起こすと言うか、活を入れるというか、追撃を加えて、気合でたたき起こしてる。


 顔にビンタだけでは起きなかった黒司祭の腹にやたら重いのを一撃入れると、息を吹き返した黒司祭。


 東のヒトは少し荒っぽいのかもしれない。


 「うむ、よくやった。本当に司祭を全て倒してしまうとは……まだまだ修行不足だったようだ」


 「いや、私も紙一重だったさ!また機会があればやろう!それより約束の!」


 「そうだな。それだけの力があれば、既に隊長を上回るとは思うが、万が一という事もある。印を出せ」


 ガイヤは言われるがままに腕を差し出す。


 軽く触れると、フワフワッと軽くエフェクトが湧きあがりすぐに収まった。


 「これで、呪印の開放が出来るんだね?」


 「その通りだ。効果に付いては隊長にばれない様にこっそり教えてやろう」


 そう言うと、そこからはコソコソと聞こえない声で話し始めたので、その場を離れる。


 聞かれたくない話を聞き耳立てるのは趣味じゃない。


 現実の職業柄、他人の話が聞こえてくるが、嘘も本当も織り交ぜられて、実際の所なんて分かりやしないのだ。


 結局の所自分で体験して、失敗して結果で学習する他ない。


 それにあんまり情報を溜め込みすぎてもそれは主体性を失うだけだ。


 他人の話を覚えて頭っから信じてそれが正しいんだ!なんてのはちょっと自分の趣味じゃないしな。


 何となく、現実のあり方と自分自身の事に、考えを巡らせていると、隊長が現れて、話しかけてきた。


 「そろそろ帰る?」


 「いや!唐突だなおい!」


 「そう?一応こっちの面通しは終わったし、ガイヤの<呪印術>も手に入ったし、後はクラーヴンが思い残す事さえなければ帰ろうと思うんだけど?」


 「そう言われればそうか。元々交易の交渉に来ただけだしな。そこにガイヤの呪印の事があって、伸ばしてただけか。俺はとりあえずすぐに必要なものはないし、いい取引も出来た。もう帰ってもいいな」


 「あいよ!じゃあ他の皆にも声かけてくるわ!」


 さっさとあっという間にどこかに走り去る隊長だが、相変わらず足の速さが尋常じゃない。


 そう言えば、鉄人は天上の国で何か用事とか残ってないのか、聞いてみないとな。


 辺りを見回すと、ヒトだかりがあったので、向ってみると、案の定鉄人がいた。


 どうにもこの鉄の塊は天上の国でよくモテル。


 「鉄人!そろそろ帰るらしいが、何かやっておく事はあるか?」


 「イイエ 文明形態ガ 大キク 異ナッテ イルヨウデス 同時ニ 交流モ 無カッタ モノト 見ラレマス」


 「つまり、生物兵器や鉄人自身の情報は得られなかったって訳か。分かった。隊長が皆に声をかけてるから、鉄人もそのつもりで、世話になったヒトに礼を言っておけよ」


 「イエス サー」


 「どこで覚えた?」


 「エリーゼ様ヨリ 上官ニハ サー ヲ ツケタ方ガ 良イト ゴ教示 頂キマシタ」


 「まあいいや。じゃあ、俺も適当に回ってるからな」


 別れると、やっぱりエルフや東のヒトに囲まれてしまう鉄人だった。


 さて自分が主に世話になったのは装備工房のおっさんと<晶印術>のおばちゃんに後は食堂の支配人位か。


 装備工房のおっさんは取引所にいたし、先に女性2人に挨拶に行こうと、とりあえず食事処に向う。


 すると、何かちょっと剣呑な様子に、身構えて目立たないように振舞って群集に混ざる。


 「分かってないね~!茶色いご飯こそ母の味!誰もが郷愁を感じながら母親を思い、幸せなヒト時に返れる至高のご飯だよ!」


 「これだから歳をとると母親母親って!いいかい?ヒトってのは白い炭水化物にこそ魅力を感じるんだよ!それは歴史が証明してる!」


 どうやら食事の色論争のようだ。しかもよりにもよって挨拶したかった二人が言い合っているという厄介な状況。


 その後も茶色か白で言い合ってるのを何となく聞いてると、ついボソッと本音が出てしまった。


 「いや、食欲が出るのは赤だろ」


 「おっと!聞き捨てならないね!聞こえたよ!赤派!こっちに来な!!!」


 凄い剣幕で支配人に呼ばれてしまったが、まごついていると、近くのエルフに押し出された。


 「ほう……あんたかい!鍛冶に関しちゃ一句言を持っててもおかしかないが、料理も詳しいとはね~」


 おばちゃんの方までやたら好戦的と言うか、挑発的な感じで煽ってくる。


 「いや、まぁ結局だな飯ってのは楽しく食べるのが一番だし、色はあくまで美味い食事を食うための補助的な……」


 「いいから!御託はいらない!実力で示しな!」


 そう言って、一つの簡易調理スペースに放り込まれた。


 「それじゃあ勝負だよ!私は茶色、支配人は白、あんたは赤!それぞれの色で作って一番最初に100皿出たら勝ちだよ!はじめ!」


 あっという間に強制的に勝負させられる事になったが、何作るか~。


 「ねぇクラーヴン!帰るって言ったばかりなのに、何やってんの?」


 いつの間にか現れた隊長にクレームをつけられるが、渡りに船だ。何しろコイツはスタンダードな食材なら大隊箱買いして鞄に詰め込んでいやがる!

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