121.青司祭感想戦
「二人共どうだった?」
闘って早々だと言うのに、疲れを微塵も感じさせない様子でガイヤが尋ねて来た。
「一瞬過ぎてよく分からなかったが、術の威力が尋常じゃなかったな」
「まあね~!そこはとことん磨いて補強してるからね!どこかの異常耐性を倒すにはひたすら攻撃力上げなきゃしょうがないしさ!」
「まぁ、自分は確かに耐性タイプだけどね。青司祭も本来少しづつ手札を切っていくタイプだし、もう少し様子見ても良かったんじゃない?今後の闘いの事も考えればさ」
「それも考えはしたさ!だけどあえて今回はプレッシャーかけていく方を優先しただけさね。あの待ちの態勢を崩すなら一々それに付き合う方が馬鹿らしいし、やっぱり主導権握って何ぼだよ!」
「つまりアレだ。隊長が耐えて塩漬けにしていくデバフ使いだから、超速攻で最大ダメージ与えて主導権を握っていくスタイルにしたわけだ。まぁおれは細かい駆け引きは分からんが、最初の大技がやっぱり気になるかな」
「ん?何がだい? 獄炎渦 はシンプルに最大火力で相手を燃やすだけの技だよ?威力がありすぎて吹っ飛ぶから反対側の手で姿勢制御してるけど」
「自分が前の状態であれ喰らってたら速攻落ちてたと思うんだけど?」
「隊長はちょこまかと早いだろ?反射神経でかわすタイプは確実に引っ掛けるけど、一瞬で距離稼ぐタイプは苦手なんだよ!」
「確かに発動までにちょっと溜めがあったな。相手は敢えて受け止めた挙句焼かれたって訳だ」
「そういう事だね。一戦目だしいい脅しになったろ?私の術が高威力だと刷り込まれて、むやみに回避すれば、本命の接近戦に持ち込むだけさね」
「ま確かに自分でもガイヤの攻撃は全部避けきるの無理だからな~。大抵の武器使いの攻撃ならブロックと回避だけで捌けちゃう筈なんだけどな。まぁ、これからは同じ手は無理かもしれないけどね。司祭連中って軽装だけあってみんな身軽で動きもいいからさ」
「そのつもりで次用意してるさ。伊達にアンタや剣聖の弟子みたいなやたら早いのと闘ってないんでね。それで?私の装備について何か考えはまとまったのかい?」
「いや、分からん。寧ろあんなにすぐ終わった闘いで何を分かれってのか……ただ一個思った事がある」
「なんだい?」
「ガイヤの装備なんて防具に限られてるのに、一つも防御してないあの闘いで何が見えるのさ?」
「隊長は黙ってな!クラーヴンは名の知れた職人なんだから、私達みたいな脳筋とは見えてる世界が違うんだよ!」
「脳筋って、あまり使うとソタローが飛んでくるから気をつけろよ。アレだな最初の大技使うときノックバックを打ち消してた方の火力が高くてもったいない。右手が攻撃のメインなら左手側は補助としてもう少し考えようがある」
「なるほどね!確かに霊鳥の印を貰ってから右手だけ火精の威力が上がったのは確かさね。それで補助に使う左手をどうするのさ?」
「自分は脳筋じゃないんだが……ガイヤの左手を補助に使うのって折角両手を格闘に使える利点をスポイルしてない?手数があるから早い相手にも当るんだし、寧ろ左手の攻撃力上げたら?」
「うるさいね隊長!別に左手を防御一辺倒にするとか捨てるとか言ってないだろ!大体アンタは剣一本で防御も攻撃してるくせに、手数がどうの言ってるんじゃないよ全く」
「確かに別に左手を攻撃に使えなくするってわけじゃない。左手の炎を姿勢制御に使いやすく、少し拡散させてやればいいと思うんだよな。何なら姿勢制御ギミックを乗せて、右手のみ攻撃してもいい」
「なるほどね~ただこの術は両手から火が出るからね~片手撃ちは出来ないんだよね。あと両手を前に出して撃つ 獄炎射 ってのもあるんだけど、これも吹っ飛ぶから空中で下に向けて撃つしかないんだよね」
「そんなの、背中からカウンターになるものを放出するしかなくない?あれは?ガイヤが決め技で使う炎を纏ったパンチ、あれって背中の噴射で加速するじゃん」
「あれも、術として全部セットなんだよ。背中の噴射だけ切り離して使えたら空も飛べるじゃないか!でもそんなギミックがあってもいい!」
「そんなギミックは無いから諦めてくれ。いずれにしてもアレだな。ただの鉄篭手じゃなくて、ギミックを仕込んだ方が面白そうだ。向こうに戻ったら色々考えさせてくれ、最近生産職の知り合いが増えたんだが、尽く変わり者だし、何か思いつくかもしれん」
「へー!そいつは楽しみだねー!」
「変わり者ばっかりって、完全に類は友を呼んでるじゃん」
隊長には言われたくない。
その後ホールの曲調が代わるとガイヤがダンスに混ざって踊りはじめた。
「あいつ踊れたんだな」
「自分も始めて知ったけど、何だかんだ体動かすのは得意なんじゃない?」
おっさん2人は壁の花と化して、酒を飲みつつ、時間を潰す。
当面は祭りに参加する事になりそうだが、何か忘れてる気がする?




