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120.青司祭

 細身の青いローブに優雅な立ち姿、ダンス会場に相応しいシルエットだが、顔は見えない様に独特の形状の帽子を被っている。


 強いて言うなら、少しオリエンタルな雰囲気とでも言うのだろうか?それに伴ってローブもアオザイのように見えなくもない。


 ダンス会場のホールからステージ上に立つのは青司祭と呼ばれる東のヒトの代表の一人だそうな。


 そして対するはガイヤ、青に対して真反対と言わんばかりの赤い髪が、戦闘前の高揚でまるで炎が揺れているかのようだ。


 惜しげもなく肌を露出していながら、対照的に最低限身を守る為の金属装甲は相当な高品質な物だと分かる。


 関節を緩めながらいかにも闘技者然とするガイヤに対して、青司祭はあくまでも優美さを忘れないかのように、たおやかに動く。


 「二人共仕上がってるじゃん。コレはいい闘いが見れると思うよ」


 解説を頼んだ隊長自身それなりの実力者だし、変な忖度をする奴でもないので、多分言葉通りなのだろう。


 2人の間に立つのは顔に刺青の入った女性だ。


 どうやら東のヒトは割りと刺青文化らしく、別にそう珍しい物でもないし、顔に入っているからと特別な意味があるわけでもない。


 何よりこのゲームは、刺青入れたり消したり出来るし、現実のように一生残るものでもないので、そこまでナイーブになるモノでもないが。


 「それでは……はじめ!」


 何の口上もなければルール説明も無しに始まってしまったが、周囲を見る限り別に変な事ではないらしい。


 まぁ、自分たちのような余所者でもなければ、ある程度お決まりと言う事なのだろうか?


 「なぁ、ルールとかどうなってるんだ?」


 「全力でやれば良しだね。多分基本なんでもあり」


 「何でもありか~」


 そうこうしている内に、双方準備を整え終わったのか、ガイヤは赤いオーラを発して、青司祭もフワフワと袖口からエフェクトが浮いている事からバフ系の使い手と見える。


 「さあて、奥の手を隠すタイプの青司祭か、最初からアクセル踏む気で焦熱地獄を発動したガイヤか、面白くなってきたね」


 「あの赤いオーラはガイヤの奥の手だろ?あんな簡単に見せちまっていいモノなのか?」


 「ん~これから何戦もする事を考えれば手の内は隠した方がいいけど、逆に今の状態をベースにしておけば術の威力的に相手は相当警戒せざるを得ないからね。焦らせるって意味では理に適ってると思う」


 そんな解説を聞いていいる内に、ガイヤが急に右手を青司祭に、左手を逆方向に伸ばし、両手から渦を巻く炎の柱を吹き出した。


 「おっと~いきなり大技だ。コレ後先考えずに一気呵成に叩き潰す気だぞ!」


 隊長がテンション上げて解説しているが、確かに見た目的に青司祭は完全にガイヤの火炎放射に飲まれている。


 しかもその猛烈な炎はずっと吐き出し続けられ、炎に巻かれた青司祭は身動きが取れていない。


 そして、大分経ったようにも思えるし、あっという間だったとも思える微妙なタイミングで炎の渦が解かれた。


 すぐさま油断なく構え直すガイヤに、青司祭はフラフラと立ち尽くし、いつの間にやら両手には大きな扇子を持っていた。


 先に動き出したのは、やはりガイヤ。恐れを知らないとでも言うようにつっこみ、右手と右足が同時に出る鋭い突き。


 何とか反応する青司祭が畳んだ扇子で腕を弾こうとするも、強引にねじ込まれて顔面を殴打される。


 突き放そうと反対の手で持った扇子でガイヤの鳩尾を突きに行くが、ガイヤも似たアングルから青司祭の肝臓を突き上げた。


 ダメージが大きかったのは青司祭、体をくの字に畳みながら少し浮き上がり、その隙に腹の内に潜り込まれ、背中での体当たりを食らう。


 地面に背中から叩きつけられた所に、ガイヤの追撃。


 拳が青司祭の腹に突き刺さり、衝撃で両手足を伸ばしてV字になった後、全身から力が抜けてその場で動かなくなった。


 顔に刺青の入った女性が青司祭を確認し、その場でストップをかけ、無事ガイヤの勝利となった。


 「あっという間で分からなかったな」


 「結構濃い内容だったけどね。さっきも言った通り青司祭は手の深さが売りでさ。縦深陣みたいに薄く何枚も引く事で、少しづつ相手を削っていくタイプ。対してガイヤは超速攻で決める為に、一発目から大技に頼ったってわけ」


 「だが、その大技を外されたら、どうする気だったんだ?」


 「多分防御タイプとは見なかったんじゃない?自分みたいな耐性ばっかり上げてる者にアレを使っても勝負は決まらなかったと思うけど、今回は勝算があるから賭けに出たんじゃない?術の後は物理で押し込んでたじゃん。念のため相手が弱ってるフリをしていた場合も考えたと思うよ」


 「回避された場合は?」


 「すぐに止めて、離れ技から切り替えて、距離詰めて逃げられないようにして殴るんじゃない?」


 「ふーん……ちなみにアレは何で、片方敵とは真逆に撃ってたんだろうな」


 「本人に聞けばいいと思うけど、多分ノックバックが発生するからそれを抑える為とかじゃない?空中で軌道を変えたりとかそういう術とか武技とかあるしさ」


 「なるほどな。確かに右手の敵に向けてた方が少し炎の威力が強力だったか?」


 「うんうん、アレかな?右手って事は霊鳥の呪印の効果が出てるのかもね」


 今の一戦、戦闘の内容自体はシンプルだ。最初から大技で燃やして、一気に殴ってトドメを刺した。


 生産職として今の試合を見るに、改造する必要のある武器防具があるようには思えない。


 ただ一点、左手の炎が姿勢制御の為だけだとしたら、今の出力はもったいない。


 省エネで姿勢制御をしたり、衝撃をもう少し柔らかく浮け止めるそんな改造ができれば、ガイヤは更に強くなるぞ……。


 

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