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107.窯場長

 最近地下から見つかるロボ技術について聞かれたので、ひたすら答えると、満足したかのように今後何かあれば積極的に手伝うと約束してくれた機関係だが、もしかしたら動力船建造に必要な技術者か何かか?とちょっとメタ的な事を考えてしまう。


 もっと小型化した機関を作ったり、船に搭載するのを手伝ってくれるなら心強い。


 現状NPCでロボ関係の相談に乗ってくれるのは師匠と【教国】の第12機関長くらいだが、この2人より更につっこんで協力してくれるNPCを探すのも面白いかもしれない。


 そして、トロッコから降りて窯場の街につくと、一つ伸びをして慣れた様子で街に入っていくポッターについて行く。


 「窯場の街って聞いたんだが、煙とかどうなってんだ?」


 「それはドワーフ的なアレで、ちゃんと処理されてるんだよ」


 「ああ~ドワーフ的なアレな」


 ゲームとは思えない土を練る独特の香りの広がる街中を通り抜け、他の家より明らかに大きな窯の設置された家を訪ねる。


 ポッターが扉の前で名乗ると、中からは気の良さそうなおばちゃんとしか言いようのないドワーフが出てきた。


 「あらあら、いらっしゃい!今日は何の御用かしら?」


 「<象印術>を取得したいんですけど」


 と言いながら、さっとお酒を渡す隊長と、さり気なくさっと引き取るおばちゃんドワーフ。


 「いいわよ!今、主人を呼んでくるわね。このお酒は【砂国】の物かしら?珍しいわね!多分主人も気に入るわ」


 うん、やはりドワーフ中心の【鉱国】において、酒の説得力が尋常じゃない。


 そして、本当に呼んだのかと思うほど殆ど入れ替え位のスピードで現れた窯場長と思われるドワーフ。


 「よし、話を聞こう。あまり時間を掛けるとうちの者が全部飲みつくしてしまいそうなんで、手短に済ませてくれるか?代わりと言っちゃなんだが、術に関してはサービスする」


 「仕事が忙しいからとかじゃないのか、まあいい。自分と隊長に術を授けて欲しい」


 「あっ!折角だから僕も」


 「じゃあ、三人だな。じゃぁこの文字に触れてみろ」


 そう言って、1個の焼き物を取り出し精神力を流し込む様子を見せると、うっすら赤く光る文字。


 隊長もポッターも特に躊躇なくそれに触れ、自分も続いて触ってみたが、特に熱くもなければ冷たくもない。


 これでどうなったんだ?と思ったのだが、今度はその壷の口をこちらに向けてきた。


 「さて、この中にはお前達にあった象印が入ってる。それを自分の最初の一文字として使い熟練度を貯める事でその象印の理解を深めるといい」


 「あの、自分は象印から引き出すの専門で、クラーヴンは刻むのが専門なんだけど」


 「そうか、本当は両方使う方が熟練度がよく溜まるのだが、別に相性の合ってない象印を刻む事は出来る。使い手に合わせた象印を刻んだ方が良いぞ。引き出す側は合っている象印を使っている内に他の象印に対する理解が生まれる。刻む方は自分に合ってない物でも刻んでいる内に同時に複数の象印を刻んだり、意味を持たせる事も出来るようになる」


 よく分らないが、あとは使ってみるしかないかと壷の中に手をつっこむと、なんかちょっと温かい。


 壷から手を抜いて、手の平を上に向けるとそこにうっすら青く光る模様が浮き出す。矢印を二つづらして描いたような何ともいえない模様だ。


 「『ヤラ』だな。自分の道具にでも刻んで使ってみろ。使い慣れていく内に生産物の結果がよくなる」


 次に隊長が壷に手を入れ引き抜くと、手の上には暗い青でコチラは上下の欠けた矢印が描かれている。


 「『ユル』か、<防御>時の被ダメージ量に補正がかかる。更にダメージの一部を蓄積して攻撃力に転化できる代物だ」


 「相変わらず、何か微妙な感じの効果なんだけど、不思議と自分に合いそうな気がするんだよな~」


 愚痴とも喜びとも分からん感想を漏らす隊長を横目にポッターも壷に手を入れ、手を引き出すと黄色い光で三角矢印のマークが浮き出る。


 「『ウィン』だなシンプルに運がよくなる。棚ボタにでも期待しろ」


 「なんでこう皆、僕にはそっけないのかな~運がよくなるのは嬉しいけどさ」


 「じゃあ、また何かあればいつでも訪ねてこい。おおい!全部飲むなよ!俺も飲む!」


 そう言って、奥に引っ込むドワーフ。


 「お酒が一番話が円滑に進むんだけど、今回は裏目に出ちゃったね」


 「まぁ、ドワーフらしいっちゃドワーフらしいがな。どうする?他にもどこか寄るのか?」


 「自分は別にいいや。ポッターは?」


 「僕は帰ろうかな。粘土板にでもさっきの象印刻んで熟練度貯めるよ」


 「んじゃ、俺も一旦【古都】に戻って、隊長の剣にさっきのユル?だったか刻むとしよう」


 「ところで、他にも刻めるは刻めるみたいに言ってたじゃん。他の象印ってどこで調べるんだろ?」


 「さぁ?もう一回窯場長に聞いてみる?」


 「もう一回って、酒飲み始めちまったんじゃないのか?」


 「それなら簡単だよ」


 そう言って、さっきとは別の瓶の酒を取り出して、栓を抜くと奥から夫婦揃ってドワーフが出てきた。


 「他にも刻める象印って、どこで調べられます?」


 「あなた、表を渡し忘れたのね?」


 「ああ、つい酒に夢中になっちまってな。すまん。こいつを持っていけ」


 隊長の酒を受け取りながら代わりに文字の書かれた板を一人一枚渡された。


 自分は象印の形しか分らないが、隊長はゲームの文字も読めるので、象印の意味を聞きながら【古都】への帰途に着く。

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