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106.隣街に移動

 結論として<象印術>は都の奥に入れれば誰でも習得可能なスキルで有ると、そして奥に入るには何箇所かオープンな土地で信用を重ねる必要があるらしいのだが、自分含む三人については問題ないと言う事だ。


 ちなみに怒ってたドワーフには隊長がお酒のお土産を置いていったので多分大丈夫だろうとの事。


 そして都の入り口から一番近いのが、ポッターが拠点としてる焼き物の街と言う事なので、3人で向う。


 「道中魔物が出てくるなら鉄人連れて来れば良かったな」


 「まぁ、魔物との戦闘を経験させるのも悪くはないだろうけど、折角のロボを不要な事で消耗させても勿体無いんじゃない?」


 言いながらも犬くらいのサイズはありそうな虫をサラッと斬って捨てる隊長、やはり戦闘能力は高いのだろう。


 「そうだね~でもこの辺は一応街道って言う扱いだし、最低限の戦闘能力さえあれば僕でも歩けるからね」


 「ポッターも見た目の割りに戦闘力あったんだな」


 「そりゃそうさ!【鉱国】で素材集めしようと思ったらある程度は必要になってくる。まぁ本職程じゃないし、護衛NPCとかも雇えるんだけどね」


 「ゲーム開始から戦闘職と他の職業の戦力差が開いたよね。自分が天上の国から持ち込んだ銃だけど、あれって多分その差を埋めて、皆もっとアグレッシブに戦えるようにするためのものだと思うんだけど」


 「まぁ、そういう事も考えられるよな。カーチが機械人形二機操作してるだろ?アレだって戦闘が苦手なプレイヤーの為なんじゃないか?」


 なんて事を話している内に道の先から明かりが漏れているので、次の街かと思いきや外に出てしまった。


 目の前には立派な橋が掛かり、隣の山へと繋がっている。


 ポータルで飛んできてしまって周囲の様子など知る由もなかったが、橋の上から見渡すと、どうやら尖った山を中心に他の山が取り囲み、周りの山が橋でつながっているらしい。


 「この辺は山ごとに違う素材が取れるから、それぞれの山で違う生産活動が行われてるんだ!僕の拠点の山では主に土が取れるから、陶器や土器それにガラスを作ってる」


 橋から見渡す景色は殆ど山と木々の緑だが、これだけ自然豊富な地域でわざわざ山中に住むなんて不思議なもんだと思いつつ、二人について行き隣の山へと入る。


 「おっ!丁度トロッコが着てるね!これで時間短縮できるよ!」


 急にポッターのテンションが上がったと思ったら、確かにいくつかの貨車がついたトロッコが一台止まっていた。


 「こんな便利なものがあるなら、最初から使えばよかったんじゃないか?」


 「自分は初めて見たんだけど?線路があってトロッコが走るって言う設定も知ってはいたけどさ」


 「便が少ないんだよ。基本は荷物運ぶ為のものだしさ。それでも全く戦闘能力のない生産職はこれを頼るしかないんだ。不便だから大抵は最低限でも戦えるようにするけど」


 言いながらトロッコに近づき、運転手と見られるドワーフと交渉している。


 その間にトロッコを引く運転車両を確認するが、人力じゃないという事はすぐに分かった。


 何がしかの動力で車輪を回しているのだが、結構大掛かりな物らしい。


 確かに【帝国】にも動力船があると小耳に挟んだが、大型のものだと言っていた筈。


 今の自分が想像する鉄人やモグラちゃんモーちゃんの動力とはまた違った機構なのだろう。


 察するに鉄人達はエネルギーを細い銅線のような物で行き渡らせているが、この機構だと太いパイプに圧力をかけて送り込んでいると見て間違いなさそうだ。


 そうなると大型化するのが必然と捉えて間違いなかろう。


 「見た感じ、石炭を燃やしてる訳じゃなさそうだね」


 「でも、水蒸気は使ってそうだぞ?圧力でシリンダーを動かしてるのは間違いなさそうだ」


 「なんだ?トロッコに興味あるのか?」


 自分と隊長がまじまじと機関部を勝手に観察していると一人のドワーフが声をかけてきた。服装から察するにトロッコの運転手のようだが、ポッターは相変わらず別の運転手と話してる。


 「はじめまして、トロッコを見るのが初めてだったもんで、ちょっと見てました」


 言いながら唐突に酒を一本アイテムバッグから取り出し、渡す隊長。相変わらず酒を配るのが上手い。


 「まぁ、これから運転って時に飲む訳にもいかないが、いい酒のようだな。仕方ない何でも教えてやる」


 うん、酒による袖の下効果絶大だな。これからは自分も酒を買っておいたほうがいいのかもしれない。


 「これって、石炭は積んでないみたいなんですけど、熱はおこしてますよね?どうやってるんですか?」


 「何だそんな事か、こんな密閉された空間で石炭の噴煙まいたら流石に俺達の技術でも排煙しきるのは難しい。なんで火精の力の宿った石を<錬金>で抽出して使いやすくしたものが大量に使われてるんだ。まぁ幾ら【鉱国】とはいえ産出量に限りはあるから、トロッコもそう沢山便を増やせる訳じゃないけどな」


 「じゃあ、やっぱり蒸気機関である事は間違いないんだな?道理で車軸を繋いで、回転エネルギーに変えてると思った……」


 「なんだ?シリンダーのピストン運動を回転エネルギーに変える以外の方法があるのか?」


 「あるにはあるが、まだ俺も完全に使いこなせてないんで……」


 その時何故かドワーフの目がギラッと光った気がした。


 「ほう……その話詳しく聞かせてもらおうか」

 「トロッコ乗車許可貰ったよ!」


 ドワーフから距離を取ろうと思った所に被せてポッターが乗車許可を取り付けてきた。


 このあと窯場の街まで質問責めにあったのは言うまでもない。ちなみに自分達に話しかけてきたのはトロッコの機関部担当の機関係だそうな。

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