100.地下道のボス
ボスと思われる大型ドローンを倒した後はパラパラと平常運転に戻り、ブラックフェニックスも一体倒してみたいとの事だったので、任せたら余裕の一撃で、地面から大量の土の棘を発生させて数体まとめて消し飛ばした。
準トップクラスとか言われてた割りに、この攻撃力はちょっと異常だろうと思うのだが、その辺については後ほど、ビエーラかカヴァリーに聞いてみようと思う。
順調に輸送路を進み、解散の時間が来れば次いつ会うか約束して、道中の休憩所でログアウト。
ちなみにタイミングが合わない時間は、それぞれ勝手にドローンを狩ったり、グループ分けして先に進んだりしている。
問題は鉄人しか現状壁の扉を開けないという一点に尽きるので、先にどこまで進んだか知らせて貰って、行けるタイミングに進むという感じ。
自分は誰かに護衛に付いてもらう形で進んでいるが、あるタイミングで鉄人が全員揃ってからと指示を出してきたので、全員揃って探索できる日を狙って、鉄人の指定した場所まで向う。
そこには地下基地から輸送路に入ったときと同じような荷卸場と見られる機械施設が並ぶ空間。
そこから通路を通って奥に向うと、あからさまに天井が高く、幾つもベルトコンベアの連なる部屋の奥には大型のコンソールが据えつけられていた。
壁は一面人工物と分かるある種の研究所を思わせる造りに見えなくもない。
「ここが坑道か?以前外から入ったときとはかなり様子が違うが?」
「コチラガ 大元デス 更ナル情報ヲ 収集シテ ゴ説明 シタイノデスガ … … キマス」
鉄人が言うのと同時に、重量感のある地響きと大きな揺れが走り、思わず尻餅をつく。
しかし自分とカーチ以外の戦闘職及びロボ達は危険を察知して、既に臨戦態勢、重く緊迫した空気が場を支配した。
現れたのは両手が重機関銃サイズの射撃兵器と思われる装備になっているドローン。
完全にコチラを敵と認識しているのか、モグラちゃんに銃口が向けられた所で、
「戦うよ!モグラちゃんは潜って!」
カーチの指示が飛び、モグラちゃんとモーちゃんが動き出す。
その声に自分もすぐさま立ち上がり、安全地帯を探して逃げつつ現れた敵をもっとよく観察する。
迷彩を思わせるカーキと緑を塗り分けたメタリックな装甲と、両手の巨大な砲身、それを支える巨体は輸送路のボスの更に倍はある。
そしてその砲身から撃ち出されるのはやはり重機関銃並みの威力を思わせる連射攻撃だった。
高い位置から狙われ、皆一斉に走り出し射線に入らない様に逃げ回る。
自分とカーチはモーちゃんの排土板の裏側に隠れてやり過ごし、他の戦闘職達はどうやって嵐のような弾幕をかわしているのか確認する余裕もない。
そして急に弾幕が止まり、排土板裏から様子を窺うと巨大ドローンの足をモグラちゃんが貫いていた。
そのまま、ひっくり返った巨大ドローンに長い鞭状の武器を叩きつけるブラックフェニックス。
すると激しい雷精と思われるエフェクトが発せられ、巨大ドローンの動きが止まる。
更に追撃を仕掛けようとした所で、巨大ドローンから別のエフェクトがフワッと広がり、ブラックフェニックスの武器の軌道が捻じ曲げられた。
光を纏った巨大ドローンがゆっくり立ち上がる。そんな状況を見逃す戦闘職がいる筈もなく、ビエーラは矢を放ち、カヴァリーはあっという間に距離を詰めていく。
しかし、矢の軌道が柔らかく逸れていく姿を見て、カヴァリーは足を止めその場で様子を窺う。
再び巨大ドローンが両手の機関銃を構えると、意を決したようにカヴァリーが飛び込むが、これは特に阻まれない?
そのまま距離を詰めて足を斬りつけるが、これも阻まれずダメージは入っているように見える。
それを見たブラックフェニックスとビエーラも再攻撃を仕掛けるものの、これはやはり緩やかに外に流されていく。
巨大ドローンの射撃再開からのモグラちゃん地面から飛び出す攻撃で、またひっくり返す。
お互い大ダメージを与えられない膠着した状態が作られ、何となく空気が重い。
「こりゃアレだな。近距離攻撃しか入らないんだろうが、タネがよく分からんな」
「じゃあどうするんだ?」
「簡単だ。近距離攻撃で畳み掛ける」
「いや、それが出来るなら、何でタネなんか気にするんだよ」
「そりゃ生産職のサガだろ?タネが分かれば応用が利く。新たな武器でも防具でも作る発想のタネになるなら出来れば解明したいと思わないか?」
「なる程……俺は引きこもってひたすら鉄打ってただけだからあまり考えた事なかったな。基本的に俺の知識は師匠から貰ったもんだし」
「ふーん、まぁ、とりあえず今はこの場をしのぐ為に倒しちまうとするか」
ブラックフェニックスは本人にその気はないのだろうけど、かなり自信があるらしい。
正直な所、カヴァリーやモグラちゃんの攻撃でそこまで追い詰められているようにも見えない巨大ドローン相手に、倒せると言い切るのは只者じゃない。
それだけ激しい戦いを潜り抜けてきたのか、百戦錬磨の空気感を発している……気がする。
そのまま、全身黒い装備から青地に銀の模様の姿となり、それが強く発光したかと思うと、二発の蹴りを放つ。
一度目は青いエフェクトが炸裂し、二度目は銀のエフェクトが広がる。
視界が歪んだかと錯覚する程に敵の姿がめちゃめちゃとどこからとなく不規則に変形していき、その場にそのまま崩れ落ちる巨大ドローン。
有限実行と言うか何と言うか、凄まじいなヒーローってのは……。




