765話
「ではまず半分譲渡させてもらおうか」
「あぁよく分からんけど頼む」
ということで、目の前に差し出されたオルグスの手をギュッと握手をするような形で握ってみると、老人らしいカサカサと乾燥している手ではあったのだが、かつて武器などを握っていた豆の跡のようなものもあり、武人らしい手とも感じた。
「辛いかもしれんが耐えるのだぞ」
そんなオルグスの手をにぎにぎと握っていると、辛いかもしれないが耐えろと言われると同時に何だか暖かいものが手のひらに伝わってきたではないか。
その暖かなものは手のひらから今度は腕を伝って登っていき、最終的な終着点としてコウの体の中心部である心臓付近へ流れ込んでくるのを感じ始める。
「何だこれ...熱い...」
「それでも半分だ」
そして暖かなものは心臓付近へ辿り着き、その場で留まると今度は水が沸騰するかのようにそれは加熱していき、心臓というポンプから押し出され、全身を駆け巡るための血液も同じ様に加熱し、全身が更に熱を帯びていく。
そのため、コウはまるで重めの風邪やインフルエンザに罹ってしまったかのような倦怠感を覚え、目の前に映る世界がぐらりと歪み、握っていたオルグスの手を話すと、その場で片膝をつい付いてしまった。
「コウさん大丈夫ですか~?」
「キュ~...」
「辛そうですが...悪いものではないんですよね?」
「無論悪いものではない。ただ肉体が譲渡した力の適応に追いついていないだけだ」
するとそんな片膝を付いて辛そうにし始めたコウに対してライラやフェニそしてイザベルがすぐに心配そうに近寄ってきて病人を看護するかのように背中を擦ってくれた。
そしてコウがその様な状態になってしまったことによってイザベルが疑いながらもオルグスに本当に大丈夫なのかと問いただしていたのだが、どうやらこの状態となってしまうのは当たり前のようで、肉体が譲渡した力に追いついていないらしい。
「はぁ...問題ない...おっと...」
「も~無理はダメですよ~」
「身体が追いついてないなら誰かを頼るべきです」
とりあえず心配そうにしてくれていたライラ達に問題ないと声を掛けつつ、コウはゆっくりと立ち上がるも、倦怠感によってふらつき、ライラとイザベルの2人に再び支えられる。
「かぁ~...おじさんには誰も見向きせんのになぁ...」
「なんじゃ儂で良ければ慰めてやらんでもないぞい?」
「年増には興味ねぇっての...痛っ!」
そんな状況を少し離れていた場所に立っていたドールから羨ましそうな声が聞こえてきたのだが、残念ながら個人的にツッコんであげたりするような元気はない。
しかしドールはエルフィーに対して余計なことを言ってしまったようで強めに頭を叩かれ、痛みをかなり感じているのか頭を抑えながらそのままその場でしゃがんでいたため、少しだけすっきりしたような気がした。
「もう本当に大丈夫だ。歩くくらいは出来る」
「無理はしないで下さいね~」
「何かあればすぐに言って下さいね」
とりあえずある程度は大丈夫になってきたので、肩を支えてくれていたライラ達には問題ないと再び伝えると、心配そうな表情を浮かべていたのだが、そっと離れてくれた。
「では我がコウの望みを叶える番だな。我についてくると良い」
そしてオルグスが直々に皆を転移の部屋に案内してくれるようで、その場にいた全員は移動することとなり、後ろにいたエルフィーやドールなどは自身達などよりも力があるため、何が起こるか分からないというのを警戒としてなのか、念の為に先導して歩いてくれていたりする。
ということで、コウ達も先導してくれているエルフィー達へついていくことにしたのだが、唐突にコウの背中へ謎の衝撃が伝わり、何が起こったのか理解出来なかったのだが、自身の腹部辺りへ謎の熱さを感じたため、視線を向けてみると、そこには1本の剣が突き刺さり、血がぼたぼたと地面へ落ちているのに気付かされることとなるのであった...。
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次回の更新は2月11日になると思いますのでよろしくお願いします!




