763話
「意味がわからん...何だよ後継者って...」
「そのままの意味だ」
「いや...あんだけ人族に復讐するって言ってただろ。なんでそれが後継者って話になってんだって」
あれほどまでに人族を憎み、復讐などをすると息巻いていたというのに今ではまるで人が変わったかのようになっており、後継者としてコウのことを育てるなどといった方針となっていることに理解が出来ず、どうしてそのような考えに至ったのかについて疑問を投げ掛けていく。
「お前と話してて復讐してもリーゼは帰ってこないことに気付かされたのだ。であればこれから先の未来を大事にするのが良いであろう?」
「いやまぁ...それは良いことではあるんだが...」
そんなコウの疑問に対してオルグスはそれなりに監禁していたコウと共に過ごし、会話を交わしたことによって復讐をしたところで娘であるリーゼは帰ってこず、何も得られることがないことに気付いたようで、この先の未来をを大事にするべきではないだろうか?という考えに至ったらしい。
まぁ復讐心にずっと囚われ続けたりするよりも、改心したというのは喜ばしいことではあるのだが、それとこれとは話が別である。
「じゃあなんで交渉なんか...」
「簡単なことだ。どうせコウは後継者になれと言われてもなる気はないであろう?であればここで2択を迫るほうが良いと判断したまでだ」
どうやらコウに対して素直に後継者になってくれとお願いしたところで、首を縦に振る訳もないとオルグスは理解していたらしく、となれば仲間と合流したこの場面で2択を迫った方が良いと思っての交渉だったようだ。
しかしそれはオルグスの言う通り、きっとこの場面以外で後継者になって欲しいとお願いされたところで、自身がすんなりと首を縦に振るとは思えないので、確かに2択を迫るのであれば今の状況はオルグスにとって好ましい状況といったところ。
ただここで交渉を断って自身の仲間を傷つけられたりしてしまえば、そんな交渉も意味を成さなくなってしまうのできっとオルグスはライラ達やエルフィー達を傷つける気は毛頭なく、ただコウと話がしたいがためにそんな理由を後付しているような感じがしないでもない。
「他に後継者候補とかはいないのか?魔族なんていっぱいいるだろ?」
「後継者としてなるには血の繋がりが無いと駄目だ」
「血の繋がり?」
「血の繋がりがなければ我の力を譲れないからだ」
しかし後継者であればここには沢山の魔族達が生活しているということなので、他にいないのか?と聞いてみると、どうやら血の繋がりがないとオルグスの力を譲ることが出来ないとのこと。
となれば必然的に血の繋がりが残っているのは自身だけであり、オルグスがコウに対して執着するのもリーゼが外の世界で亡くなってしまったようにコウも同じく亡くなってしまう可能性があるため、ここへ留まらせたいのだろう。
ただそんな言われても正直なところようやくこの世界にも慣れてきた頃合いであり、まだまだ様々な場所へ行って目にしてみたい光景も沢山あったりする。
「その...後継者ってのは今じゃなきゃ駄目なのか?出来れば後のが良いんだけど...」
「残念ながら無理だ。我はもうこの先長くはない」
そのため、もう少しだけ外の世界で自由に動き回ってから後継者とやらモノになるのでは駄目なのではないか?とお願いしてみたのだが、どうやらオルグスの寿命はあまり長くないため、先延ばしするのは厳しいと言ったことが判明するのであった...。
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