761話
身を隠していた洞穴にて一悶着あってからは全員で森の中を移動していった訳なのだが、今のところ斥候と思われる魔物や魔族などとは運が良いのか出会うことはなかった。
そして先程、一悶着を起こした本人であるディーンも最後方で付いてきてはいるが、表情が暗いものとなっており、移動中は少しだけ微妙な雰囲気となっていたりする。
「まもなく到着します!」
とりあえず微妙な雰囲気の中、ビビがまもなく隠し通路の場所へ到着するといった声を上げると、皆の足取りは少しだけ早くなり、森の中を抜けてようやく古城内へと忍び込む事が出来る隠し通路のある場所へ到着した訳なのだが、そこにはまさかのアインが防具を身に付けた魔物達を従えながら待ち構えていたではないか。
「ほら!やっぱり罠だったんだ!」
「ちがっ...!私は裏切ってないですよ!坊ちゃん信じて下さい!」
そんな隠し通路のある場所付近で待ち構えるアイン達を見るや否や後方にて立っていたディーンが嬉々として大きな声を上げ始め、まさか隠し通路にアインが待ち構えているとは思っていなかったのか今度はビビが動揺したように声を震わせながら違うと言いつつ、首を横にぶんぶんと振っていた。
「その子の言う通りっすよ。隠し通路は抑えろって指示されたから抑えてただけっすからね」
待ち構えていたアインが言うにはどうやらこれはビビが仕掛けたものではなく、コウ達がどうにかして古城内にある転移部屋まで移動する際に使用するであろう隠し通路の場所を抑えろと指示されていたみたいである。
まぁビビを信頼していたので、罠として誘導されていたのではないというのは元々分かりきっていたことなのだが、まさか限りある人物しか知ることのないであろう隠し通路を抑えられているとは思ってもいなかった。
それにしてもこのダンジョンから外へ出たいと言うだけなのになんともうまくはいかないものである。
「さぁ〜目的の人物以外は消えてもらうっすよ〜」
そしてアインは殺気を放ちながらこちらに一歩踏み出すと、こちら側に立っていた各々は戦闘は避けられないと察したのかサッと武器を構え出す。
きっとアインの言う目的の人物というのは自身のことであり、それら以外に関しては殺しても構わないといった指示も追加で出されているに違いない。
「...ってあの時邪魔してきた奴がいるじゃないっすか!」
「久しぶりだな。あの時は仕留めたと思ったんだが...」
しかしアインはこちらに向かって一歩踏み出すや否やとある人物が視界に入ったようで、そのとある人物というのはドールらしく、過去に対峙した嫌な記憶を思い出したのか、まるで鼠が天敵である猫に出会ったかのように後退りしていた。
そのため、アインが動かなくなってしまったことにより、防具を身に纏っている魔物達はどうするべきかと戸惑い始め、お互いに膠着状態となってしまったのだが、突如として双方の間に黒い渦のようなものが作り出されてゆく。
「今度はなんじゃ?」
それは魔族達が移動手段として使う魔法ということを理解していたコウとビビはアイン達の援軍だと察し、そんなことを情報として持っていないであろうエルフィー達は警戒しつつ、様子を窺っていた。
そしてそんな黒い渦の中から出てきたのはまさかの魔王と呼ばれているオルグスであり、魔族達の頭である人物がこんなところに現れると思わず、アインや魔物そしてコウは驚きの表情を浮かべてしまうのであった...。
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