757話
「もうすぐ出口ですよ坊っちゃん」
「意外と長い隠し通路だったな」
「リーゼ様が抜け出すために作ったからねここは」
「母さんも意外とやんちゃだったんだな...」
さて...隠し通路に入ってからというものビビが足元を照らすための明かりを作り出しながら風が何処かへ通り抜ける薄暗い隠し通路を案内してくれつつ、暫くの間歩き続けると、ようやく陽の光のような明かりが差し込む出口のようなものが見えてきた。
そしてそのまま隠し通路から出ると、周りは街中ではなく、ざわざわと葉っぱが擦れるような音がする森となっており、個人的に隠し通路を通ったら、街中などへ出るとでも思っていたのだが、まさか森の中だとは思ってもいなかった。
また周囲には追手のようなものは待ち構えていなかったため、まだコウが作り出した氷像はしっかりと役目を果たしているのだろう。
まぁコウが作り出した氷像にアイン達が今更気づいたところで、既に隠し通路を通ってここまで来ているため、追いつかれることは無い筈である。
「よし...無事に外へ出れたな」
「他の魔族に見つかると厄介だから早く移動しよっか」
「それもそうだな。ライラ達と合流しないといけないし」
ということで、コウは収納の指輪の中からお互いの位置が分かる魔道具を取り出し、魔力を込めていくと、自身達のいる場所から正面に向かって光の線は伸びていくではないか。
とりあえずライラ達のいる方向については分かったので、今度はその正面に向かって伸びていく光の線をコウ達は追っていくこととし、そのまま森の中を駆けていくこととなる。
さて...そんな森の中を駆けていき、1時間ほど経過したのだが、今度は正面の方向から複数人の人の気配を感じ、鉄と鉄がぶつかり合うような音が聞こえてきた。
「何の音だ...?」
「戦ってる音に聞こえるけど...」
一体何の音なのかは分からないが、コウは念の為に自身の愛用している武器であるサンクチュアリを片手に近づいていき、木の陰からこっそり覗いてみると、そこにはライラ達が防具を身に待とうゴブリンなどと戦っているではないか。
しかもそのライラ達の中にはまさかのSランク冒険者であるエルフィーやドールなどがおり、更に魔族討伐隊のリーダーとして活躍しているディーンもいたりするのは予想外だったと言えてしまう。
それにしてもどうやら自身達よりも先に魔族から指示を出されていた魔物側がライラ達と鉢合わせしてしまった様子。
しかしその指示を出されていた魔物側の中にはアインやレヴィーエルの姿は見えないし、他の魔族もいないので、今のところは斥候部隊に見つかってしまっただけなのかもしれない。
まぁゴブリン達だけなのでライラ達からしてみれば特に問題はないのだが、様々な方向から数が多く現れ、また増援が来ないように大きな騒ぎを立てることが出来ず、打ち漏らしが無いよう慎重に立ち回ってるためか、ライラ達は少しだけ面倒くさそうに対応していたりする。
「ビビ!皆に加勢するぞ!」
「分かってますよ坊っちゃん!」
とりあえず助けに来てもらったというのにこのまま木の陰から見ているだけというのもあれなので、コウ達は参戦することにし、横槍として入っていくと、助けに来てくれていたライラ達はまさかこんなところで再会すると思っていなかったのか、驚きの表情を浮かべるのであった...。
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