756話
「うわっ...」
無事にビビと合流することが出来たということなので、こそこそと隠れながら古城内を移動することにし、コウ達は足を動かすことにしたのだが、ビビが何かに気付いたようで小さな声を上げながら足を止めた。
「ん?どうした?」
「坊ちゃん外見て下さい」
「どれどれ...ってうわっ...」
そのため、足を止めてビビに何を気付いたのか?と話を聞くと、どうやら窓の外を見れば分かると言われため、コウは外の光景をこっそり覗くこととしたのだが、そこに広がっていた光景に同じ様な反応を示してしまう。
そんな窓から見えた外の光景は広場と呼べる様な場所へ兵士として扱われていると思われる武具を身につけたオークやゴブリンはたまたオーガなどが集まっているといったものであった。
もしかすると、先程の爆発音と共に地響き、そしてきっとここへ辿り着いてきたライラ達をなんとかするために集められているのかもしれない。
まぁそうはさせるつもりはないし、集められている兵士達などよりも先に合流しないといけないだろうか。
「あれには見つかりたくないな...ここからこっそり街中に出る方法ってないか?」
「確か隠し通路があった筈だよ」
流石に先程の光景を見てしまうと、正面から堂々と外に出るわけにも行かないし、そんなことをしてしまえばすぐに捕まってしまうのは分かりきっていることなので、ここはビビに他に街中へ出ていく方法はないかについて聞いてみることにした。
そんなビビから返ってきた答えはというと、どうやら隠し通路なるものがこの古城にあるらしく、その隠し通路とやらを通れば見つかる可能性が低く、安全に街中へ出ていくことが出来るらしい。
きっとライラ達もお互いの位置が分かる魔道具を持っているため、コウの位置を確認しながら移動をしてくれている筈なので、隠し通路を通って外に出れれば、すぐにライラ達と合流することが出来るかもしれない。
「なんでそんな隠し通路なんて知ってるんだ?」
「実はリーゼ様に教えてもらったんだよね」
それにしても何故、そんな隠し通路とやらがあることを知っているのか?と思い、聞いてみると、どうやら母であるリーゼが教えてくれたようで、その隠し通路とやらもリーゼの部屋にあるらしい。
まぁリーゼのメイドをしていたビビならば隠し通路があることを教えてもらったという話もなんら不思議なものではない。
「じゃあ母さんの部屋に案内してもらっていいか?」
「勿論!こっちだから着いてきて!」
ということで、そのままビビの案内してもらいつつ、隠し通路とやらがあるリーゼの部屋まで他の魔族達などに見つからないようコソコソと古城内を再び歩き出すこととなった。
そして身を隠しながら古城内を歩き続け、ビビはとある部屋の前で足を止めたため、きっとここがリーゼの部屋なのだろうと思い、コウはそのまま扉を開けると、そこは簡素な部屋ではあるものの置かれている家具などは少しだけ女性らしさを感じさせられる部屋であった。
それにしても置かれている家具などは大切にされているのか、埃などは一切被っておらず、適度に清掃されているのがひと目で分かる。
「この部屋が母さんの...で...隠し通路は何処なんだ?」
「ここに嵌められてる魔石に魔力を込めると隠し通路が開くんだよ」
「ふぅん...早速やってみるか」
自身の母親の部屋というと何となく思うところはあるのだが、今は隠し通路が優先なので何処にあるのかを聞いてみると、どうやら部屋の壁に嵌め込まれている魔石に魔力を流せば隠し通路なるものが開くとのこと。
ということで、コウはビビに教えてもらった壁に嵌め込まれている魔石に対してそっと指先で触れると、ゆっくり魔力を流していく。
すると壁に嵌め込まれている魔石の横にあった本棚がずりずりと左の方向へ動き出し、空気の流れが通る石造りの階段が姿を表すこととなり、コウ達は早速その隠し通路へと足を踏み入れていくのであった...。
明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願い致します。
次回の更新は1月6日と予定しております。




