752話
「母さんの父さんって...じゃああんたは俺の祖父ってことになるんだが...」
「その認識で間違ってはおらんよ」
その話が本当なのであれば自身の祖父となり、この世の中にただ1人取り残されていたと思っていたのに目の前へ急に肉親となるような人物がまだこの世の中に生きていたという事実に対してコウとしては動揺を隠さずにはいられなかった。
「なんで今更...」
「我ら側に付かないかという誘うためだ」
「は...?一体どういうことなんだ?」
そのため、何故今更になって会うということになったのかについて詳しく話を聞いてみると、どうやら魔族側へ付かないかという誘いを行うためであったようだ。
しかし魔族側へ付かないか?と言われたとしても、一体どうして自身が魔族側へ誘われているのかという意図が分からず、首を傾げながら一体どういうことなのか?と再び聞き返していく。
「無論我が娘リーゼの無念を人族に対して晴らすためだ。お前も子ならば分かるだろう?」
そしてオルグスから返ってきた答えとしてはコウの母であるリーゼの無念を人族達に対して晴らすため、誘ってきたらしいのだが、そもそも自身は人族達に対してそのような恨みなどは残念ながらありはしない。
それに、関係ない人達を巻き込むことは出来ないし、今更恨みを晴らしたとしても母であるリーゼは帰ってきたりもしないのだ。
「分かるわけ無いだろ。それにそんな話には乗るつもりはない」
「リーゼの子ならば分かってくれると思ったのだがな...」
そんな誘いに乗るわけがないのでコウは首を横に振りながらきっぱりとした口調で否定をすると、理解してくれると思っていたオルグスは小さなため息を吐きつつ、残念そうに指をぱちんと鳴らした。
するとオルグスの左右に立っていたアインが一瞬で移動し、コウの背後に立つと両手首はグッと抑えられてしまい、その場で拘束されてしまうこととなってしまった。
「っ...!首を縦に振らなきゃ脅すってか?」
「リーゼの忘れ形見であるお前に嫌がるようなことはせん。再び部屋で考えてもらうだけだ」
「...考えを変えるつもりはないぞ」
「まだ時間はあるのだからどちら側に付くのかはじっくりと考えるが良い。次は良い返答を待っている」
もしかすると何かしらの脅しを受けるのではないかとも思ったのだが、どうやら自身は唯一の肉親だということで、危害を加えるようなことをするつもりはないらしく、もう一度部屋で考えろとのことであった。
そしてコウはアインに手首を押さえられながら黒い渦の中で移動することとなり、先程まで居た部屋へ戻され、レヴィーエルの監視を受けながら再び監禁されてしまうこととなってしまうのであった...。
■
同日。コウがそんなやりとりをしている間、地上にいるライラ達はエルフィー達へ起こってしまった出来事についての全てを報告し終わっていた。
それと同時に転移の罠に引っ掛かってしまったコウの救援に向かいたいと言ったことも伝えたのだが、エルフィー達からは厳しい表情を浮かべれることとなった。
そして助けに行くかどうかについてはその結界とやらを破壊出来たとしても何があるかわからないし、現状コウのことは諦めるしか無いという厳しい判断を下されることとなる。
それはそうだ。たかがBランク冒険者1人に対してリスクを冒すようなことは出来ないのは当たり前の判断と言える。
「エルフィーさん達の言っていることは正しいですけど~...私はコウさんのことを助けたいです~...」
「キュ~...」
「私も同感です。ですから私達も何か方法は無いか探しましょう」
しかしそれがどれだけ正しい判断だとしてもライラ達にとっては納得のいかないの判断であったため、まずは結界のようなものを何とかする方法は無いのか?を探し出すためにこっそりと行動し始めるのであった...。
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次回の更新は12月21日になると思いますのでよろしくお願いします。




