741話
「やっぱり魔物か...それにしても身に付けてるものが随分人みたいだな」
そんな目の前に現れた魔物の身に付けている物が人と遜色ないくらいの物というのは何だか違和感を感じてしまう。
まぁ魔物の中にも知性がある者がおり、身に付ける装備を整えたりするため、一概に言えはしないのだが、今のところ目の前に現れた魔物には知性というものは全く持って感じられない。
それにしても目の前に現れた魔物は一体何と言う魔物なのだろうか?
前世というか自身の過去の知識としては1つ目を持つ魔物とあればサイクロプスという名前が目の前に現れた魔物には適切だと言えるのだが、果たしてそれが目の前にいる魔物の名前なのかは定かではない。
「やる気は満々みたいだな」
どうやら目の前に現れたサイクロプスもコウの存在に気づいたようで、やる気満々なのか空気がビリビリと震えるかのような雄叫びを上げると、崩れかけていた建物を手に持っていた棘が無数に生える鉄の棍棒で破壊しながら通り道を作り出しつつ、こちらへと向かってくるではないか。
とりあえず迫り来るサイクロプスに対してコウも片手に握っていたサンクチュアリを固く握り締め迎え撃つかのように相手は何をしてくるのかを見極めるため、いつでも回避出来るよう構えていく。
そんな迫って来たサイクロプスが初手に繰り出してきた行動は棘が無数に生える鉄の棍棒を力任せに振り下ろしてくるといったものだったのだが、流石にコウとはいえ怪力の持ち主だと思われる攻撃を素直に受け止めたくはないので、真上に飛び抜けて避けることにした。
そして振り下ろされた棘が無数に生える鉄の棍棒が地面に当たると、まるで地割れが起きたかのように地面が2つにぱっくりと割れているではないか。
「受け止めなくて正解って感じか」
割れた地面を横目にコウは空に氷の足場を作り出し、サイクロプスの頭上を軽々と飛び越えていき、背後を取ると、今度は自身の番だと言わんばかりに氷槍を幾つか作り出して真っ直ぐに撃ち出していく。
「ガァ!!」
しかしサイクロプスは頭の後ろに目があるかのようにその場でくるりと回転しながらコウの作り出して真っ直ぐに飛んでいった幾つかの氷槍を振り下ろしたばかりの棘が無数に生える鉄の棍棒を横薙ぎに振るい、全て打ち落とされてしまった。
「おいおいまじかよ...」
まさか撃ち出した氷槍の全てを撃ち落とされるとは微塵も思ってもおらず、見た目に反してかなり細かな戦闘技術があるようで、もしかするとオーガなどよりもランクが高い魔物なのかもしれない。
とすれば正面から正々堂々と戦うのではなく、搦手を使っての戦い方のがやりやすいと言えるだろうか。
「ならこうだな」
ということで、コウは自身の足元から外に向かって垂れ流し始めると、今度は周囲の建物を全て飲み込むかのような深い霧が発生し始め、サイクロプスは何が起こっているのか理解出来ていない様子。
(こんなものかな?次は...)
そして困惑している状態のサイクロプスに対して更に追い打ちをかけるかのようにコウは氷の鳥達を無数に作り出し、周囲をぐるぐると飛ぶように指示を出していく。
するとサイクロプスは視界の悪い中で羽虫のように飛び回る氷の鳥達に対して気を取られ始めたのか、手に持っていた棘が無数に生える鉄の棍棒でぶんぶんと風切り音を出しながら打ち落とすために振り回していたりする。
そのため、既にコウの存在に対して意識は向かなくなったので、今度はサイクロプスの頭上まで氷の足場を作り出し、一気に空高くまで駆け上がっていく。
「一瞬で終わらせてやるか」
ということで、ある程度の高さまで到達したコウはまるで氷柱のように尖っている1本の巨大な氷槍を作り出し、サイクロプスの頭上へ撃ち出すと、落下していく速度が一気に加速していく。
そして羽虫のように飛び回る氷の鳥達に対して意識を割かれていたサイクロプスはコウが撃ち出した氷槍に気が付かず、そのまま脳天へ突き刺さり、巨大な身体はその場でどしんっ!と音を立てながら地面を揺らし、倒れることとなった。
「流石に頭を貫かれたら死ぬよな?後は他に魔物が寄ってきてないか確認しないと...」
そしてコウは他に寄ってきたりする魔物はいないか近くの崩れそうな建物に登るとぐるりと見渡し、無事に周囲の安全を確認すると倒したサイクロプスを回収していくことにした。
「さて...じゃあさっきの続きといくか」
そんなこんなで無事にサイクロプスを倒せたということで、改めてコウは収納の指輪の中から先程仕舞い込んだお互いの位置が分かるイヤーカフの魔道具を取り出すと、魔力を込めて自身が進むべき方向を示すことにした。
しかしお互いの位置が分かるイヤーカフの魔道具から伸びる光の線が示した方向というのはまさかの自身の頭上である空の上の方向となるのであった...。
いつも見てくださってありがとうございます!
次回の更新予定日は多分11月6日or7日になりますのでよろしくお願いします!




