707話
「こんなとこで会うなんて奇遇だな」
「わぁ~イザベルさんじゃないですか~」
「キュ!」
「お久しぶりです。私もこんなところで皆さんにお会いすると思ってなかったです」
お互いにまさかこんなところで出会うとは思ってもいなかったし、イザベルがこんな穴場と言われている場所をよく知っていたものである。
まぁよくよく考えてみると、このような穴場を知っていた理由はきっと今日のライラと同様に王都の冒険者ギルドの受付嬢と情報共有をしていたため、イザベルは知っていたのかもしれない。
「イザベルも疲れを癒やしに来たのか?」
「そうですね。ここ最近書類業務で忙しかったので...」
ということで、コウは自身達と同じ様に疲れを癒やしに来たのかとイザベルに聞いてみると、目頭を片手で揉みながら、少し疲労した表情を浮かべ、日頃の業務の疲れを癒やすためにきたと返答が返ってきた。
確かにイザベルは日頃から白薔薇騎士団の団長をしているということもあってか、コウは大量の書類を処理している姿を度々目撃しているため、相当に疲れが溜まっているのを察した。
「コウさんもここへ来られたってことは...」
「昨日の魔族の件に関わったせいで午前中はディザーから質問責めにあったからな」
「あーなるほどですね。というか魔族が現れたという話は本当だったんですね」
そんなこんなで暫くの間、椅子に座ったコウ達は店員の準備を待ちつつ、ここ最近の出来事についてお互いに話し合っていると、人数分の蒸しタオルと両足が入るくらいの大きさをした桶を台車で店員が運んできたではないか。
ちなみに台車がこちらへ運ばれていくにつれて、桶の中からはちゃぷちゃぷとした音が聞こえ、白い湯気のようなものがゆらゆらと立っていたのが見えたので、多分桶の中には温かいお湯が入っているのだと予測出来た。
「皆様お待たせ致しました。では靴を脱いでから背もたれに寄り掛かり下さい」
そして準備が出来たということで、店員から指示を出されたため、コウ達は履いていた靴を脱いでから背もたれに背中を預けると、椅子がゆっくりと倒され、目元には先程の持ってきたばかりの蒸しタオルを置かれた。
そんな目元に置かれた蒸しタオルはホットアイマスクのように温かく、じわりじわりと目元が温まっていき、尚且つ落ち着くようなアロマの良い香りがふんわりと漂い出す。
「では失礼致します」
そして素足になったコウ達の足を店員がそっと両手で支えると、今度は桶の中にゆっくりと両足をゆっくりと入れられたのだが、まるで足湯のように温かいお湯が足全体を包みこんでいき、日々の疲れが足先からじんわりとお湯に滲み出していくような気がした。
(やばいなこれ...眠りそうだ...何とか意識を保たないと...)
それにしてもこんな心地よい状態で目を閉じていると、眠たくなってしまうのだが、このまま寝てしまうと、マッサージをされたとしても気持ち良かったのかどうか分からなくなってしまう。
そのため、何とかして眠らないように意識を保っていこうとしたのだが、そんなコウの努力も虚しく、いつの間にか意識が空の彼方へと飛んでいき、眠ってしまうこととなるのであった...。
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次回の更新予定日は多分7月7日になると思いますのでよろしくお願いします。




