696話
他の参加者が集まるまでの時間、従魔達はお互いに交流が取れてきたのか仲睦まじく、広々とした庭の中央で駆けながら遊んでおり、やはりというか人と違って素直なのですぐに仲良くなっていたりする。
逆に主人であるコウ達はというと、ディル以外の殆どはお互いが初対面ということもあってか、少しだけぎこちなさを感じる交流となっていたりしたので、もしかすると自身達の従魔を見習った方が良いのかもしれない。
とりあえず無難な交流をこなしつつ、話を聞いてたりしたのだが、意外にも従魔を従えている人達はコウ達と同じように冒険者をしている者もいるし、その中には商人をしている者など様々であった。
さて...そんなこんなで他の人達と交流をこなしながらまだこの場に訪れていない参加者を待っていると、全員が集まったようで、この屋敷の執事から大きな声で今から王都の外へ出発すると、呼び掛けられることとなった。
ということで、従魔達をもっとのびのびとした場所で遊ばせるため、各々はあちらこちらで遊んでいた自身の従魔を呼び戻すと、そのまま屋敷の執事の案内の下、王都の外に向けてまるで遠足が始まるかのように全員で王都の街中へ繰り出していく。
しかし王都の街中に出たのは良いが、ここらで生活している住民から見れば、従魔を従えた数十人が街中で大移動を始めているため、異様な光景だと思ってしまうのではないか?とでもコウは思ったのだが、実際にはそんなことはなく、驚いている者は誰1人おらず、当たり前の光景だと認識しているようだ。
というか寧ろディルの従魔であるルーに対して好意的な声掛けが飛んできたりしていたので、どうやらここらで生活している住民達はディルが多くの鳥の従魔と生活しているのを事前に知っているためなのかもしれない。
そんなこんな好意的な住民達に見送られつつ、コウ達は王都内を出入りする城門へ到着したのだが、果たしてこんな大所帯で通り過ぎることが出来るのだろうか?と今度は思ってしまう。
ただその心配は杞憂であり、実際にはディルが事前に城門で検問を行なっている兵士達へ話を通してくれていたお陰ですんなりと通り過ぎることが出来た。
ということで、王都の外へコウ達は出ることが出来たため、そのまた少し歩くと見渡す限りの広々とした草原へ到着し、ここであれば従魔達が多少なりとも激しく遊んだとしても問題はないと言えるだろうか。
「風が気持ちいいな」
「丁度良い季節ですもんね~」
それにしてもそんな広々とした草原に立っていると、吹き抜ける風が心地良く、このままのんびりと地面へシートでも敷き、横にでもなって昼寝ををしたくなるような気持ちになってしまう。
そして他の人達もコウ達と同じように心地良かったということでなのか、欠伸をしていたりするのだが、傍にいる他の従魔を見てみると、今すぐにでも遊びに行きたいようで、そわそわとした様子となっており、肩に乗っていたフェニも同じようにそわそわとしていたりする。
「フェニ。遊んできて良いぞ」
「キュ!」
そのため、コウ達は自身の従魔に対して自由にして良いと伝えると、従魔達は先程よりも広々とした空間が目の前に広がっているということもあって、合図と共に一気に草原へ各々は駆け出していった。
そんなフェニ達を見送ると、ディルの執事達がせっせとコウ達が座るための机や椅子、はたまたお楽しみであるお茶やお菓子などを用意し始めてくれていた。
そしてこの時まではコウ達を含め他の参加者達や主催であるディルは何事もなく、平和で楽しい交流会が始まると思っていたのだが、まさか暗雲がこの後に立ち込めてくるとは誰しもが思ってもいなかったのであった...。
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