688話
「あーやっぱり!コウさんでした!」
「お久しぶりです。今日はライラさんはご一緒ではないのですね」
「2人とも久しぶりだな。あぁ今日は俺1人だけで行動してるぞ」
そんなルビィやトゥリッタの2人と顔を合わせるのはいつぶりなのかというと、冒険者ギルドから新人冒険者の引率という依頼を受けた時以来であり、久しぶりということで、お互いに軽く挨拶を交わした。
そしてトゥリッタからライラは一緒ではないのかと聞かれたため、コウは今日は各々自由にしているため、行動は共にしていないと答えていく。
「どうしてコウさんはこんなところにいるんですかー?」
「あぁ美味しそうな匂いに連れられてここにな」
「あー確かに良い匂いがします!」
そんなことをトゥリッタと話していると、今度はルビィからどうしてこんなところにいるのか?と聞かれたので、コウは後ろにある屋台に指を向けて良い匂いに連れられてここへ来たと言うと、子犬のように鼻をすんすんさせ、確かにと納得した様子であった。
「坊っちゃんそろそろ串焼きが出来上がるさね」
「おっ...結構早かったな」
さて...そうこうしているうちに先ほど頼んでいた串焼きが続々と焼き上がってきたようで、後ろにいた年配の女性から呼び掛けられたため、コウはルビィとトゥリッタとの話を一旦切り上げると、そのまま屋台に振り返ってパタパタと小走りで近づいていく。
「はいお待ちどうさま。沢山食べておくれ」
「ん...ありがとな。皿は返した方が良いか?」
「皿ならまだまだあるから気にしないでいいさね」
そしてコウは年配の女性から100本分の串焼きがたんまりと乗った木の大皿を受け取ると、一緒に話していたルビィとトゥリッタの下へ向かうことにしたのだが、2人はそんなにも大量の串焼きを買っていたとは思っていなかったのか、驚きの表情を浮かべていたりする。
「それって本当に全部食べれるんですか!?」
「まぁ食べようと思えばこれくらいなら食べきれるだろ」
「高ランク冒険者の方は変な方が多いと聞きますが...」
「誰が変人だっての...他の奴らと一緒にするな。ほらこれ美味いからやるよ」
そんな大量の串焼きを抱えていたコウはトゥリッタから不名誉にも変人扱いされてしまうのだが、自身よりも変人と思われる人物は何人か思い浮かぶため、一緒にしては欲しくないところ。
またそこらの変人達と一緒にされるのはあまりよろしくはないのでは?と危機感を感じたということで、コウは自身の印象を良くするため、購入した串焼きを2人に分けてあげることにし、そのまま大皿に乗せられた串焼きを幾つか手渡していく。
「わぁーい!ほらトゥリィッタさん!コウさんは変な人じゃなくて良い人ですよ!」
「そうなのかな...失礼しました。ありがとうございます」
まぁこんなことで良い印象へ変わるのは目の前にいる現金なルビィぐらいなものだとは思うのだが、とりあえずこれからは上手いこと同期の新人達にも自身のことは良い人だという噂の1つでも流してもらいたいところではある。
そんなこんなで出来立ての串焼きを受け取った2人は目の前で齧り付き、美味しそうに食べ始めたため、コウも同じように残っている串焼きに手を付けていくことにした。
「そういや2人は何でこんなところにいたんだ?」
「私の武器がかなり消耗してまして...お世話になっている武器屋がここらにありますのでそこへ向かう途中でした」
「私はトゥリィッタちゃんの付き添いです!そして偶々コウさんを見かけたので話しかけちゃいました!」
そして串焼きを食べながら雑談を交わしていると、ふいに2人はどうしてこんなところにいるのだろうか?とコウは思い、今度はこちら側から質問してみると、どうやらトゥリッタの武器が消耗しているということで、日頃から世話になっている武器屋へ向かう途中だったらしい。
またその武器屋へ向かう途中で、付き添いのルビィが偶々コウのことを見かけ、久しぶりということもあり、挨拶も含めて声を掛けてきて今に至るといったところだろうか。
「ふぅん...じゃあ俺も暇だし一緒に付いて行ってもいいか?」
「私は問題ありませんが...ルビィはどうですか?」
「良いと思いますよ!みんなで行った方が楽しいですしね!」
とりあえず今のところ他にする何かをする予定もないし、ある程度腹も満たせたということで、コウは収納の指輪の中へ残りの串焼きを仕舞い込んでいく。
そして2人に対して自身も一緒について行っても問題ないかと聞いてみると、了承の許可を得ることが出来たということで、ここらにあるという武器屋にコウも付いていくことにするのであった...。
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次回の更新予定日は多分5月8日になりますのでよろしくお願いします。




