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649話

 王都に到着してからダリアに出会い、馬車へ荷を積み込む作業を手伝ってからというもの息を付く間もなく、コウ達は馬車へと乗り込んでそのまま王都を出発することとなった。


 ある程度、王都から離れると暇になってきたコウはここ最近王都やローランから離れていたということもあり、商人であるダリアであれば何か変わったことなどを知っているのではないかと思い、御者席が見える小窓から話しかけてみることにした。


「んーそうっすねぇ...あぁ魔物が増えてきたみたいなことは聞いたっすねぇ」


「魔物が?」


 そして馬車を操作しているダリアに話を聞いてみると、どうやらここ最近、王都やローランまたそれ以外の様々な土地で魔物が増えてきたらしい。


 確かに今思えば、ポールログから王都に向かう途中で低ランクの魔物ではあるが、何度か襲いかかってきたのをコウは思い出した。


「原因は何なんだ?またスタンピードの前触れとかか?」


「スタンピードとは違うみたいっす」


「え?そうなのか?」


「冒険者ギルドの人達も調べてるみたいっすけどまだ分からないらしいっすね」


 そのため、コウはスタンピードなどの前触れなのでは?と思ったのだが、どうやらローランで過去に起こったものとは少し状況が違うとのこと。


 そんな魔物が増えているという原因については冒険者ギルドが色々と調べてはいるようなのだが、いまだに原因が不明みたいである。


 そして魔物が少し増えてきたことによって冒険者ギルドでは調査と並行して討伐も行っているということで、何処もかしこも人手が足りておらず、今では猫の手も借りたい様子。


「何だか冒険者ギルドに寄ったらゆっくりできなさそうですね~」


「そうだな。暫くはゆっくりしたいからあんま寄らないほうが良いかもな」


 それにしてもライラの言う通り、もしコウ達がこのままローランに帰って冒険者ギルドに寄ったりでもしたら、ゆっくりしたいというのにすぐ声が掛かってそのまま魔物が増えていることの調査や討伐に駆り出されてしまうかもしれない。


 まぁ冒険者ギルドにさえ立ち寄らなければ、駆り出されることもないだろうし、ここはいつもお世話になっている宿である小鳥の止まり木へ真っ先に向かった方が良いだろうか。


「うわっ!魔物っす!」


 そして魔物が増加しているなどといった話を聞いていると、馬車が走る街道の両サイドにある草の陰から狼の魔物が飛び出してきたのが目の端で捉えたと同時にダリアが声をあげた。


「話してた側からこれだな」


「止まると不味そうですね~」


「じゃあここは俺が対応するか」


 確かにこのまま走っている馬車が止まってしまうと、馬車を引いている馬が後ろから追いかけてきている狼の魔物達の餌食となってしまうので、ここは流石に止めるようなことは絶対に出来ない。


 別にフェニへこの場を任せても良いのだが、ここはコウ自身が対応することにし、荷馬車の窓から身を乗り出すと、屋根へ登って髪や外套を風で(なび)かせながら追いかけてきている狼の魔物を見下ろす。


「そうだなぁ...まぁ手軽な方法にしようかな」


 ということで、馬車を追いかけてきている狼の魔物を退けるにはどうしたものかと考え出すも、ここは小難しい方法ではなく、手軽な方法を選ぶこととし、コウは指先に魔力を込めていくことにした。


 そして指先に魔力が込め終わると、コウは水を作り出しながら馬車が走り去った地面を濡らしていき、狼の魔物達は濡れる足元を気にせずに追いかけてくる。


「所詮は低ランクの魔物だな」


 そのため、コウは狼の魔物達がある程度、濡らした足元の上を駆けていくのを確認し終わると、指を一度だけぱちんと鳴らしたのだが、それと同時に濡れた足元がピキピキと音を立てながら凍り付いていく。


 また地面が凍り付いてしまった結果、濡れた足元を駆けていた狼の魔物達も足が凍ってしまうこととなり、その場でピタリと足を止めて動けなくなってしまった。


 そんな足元から凍ってしまい、その場で動けなくなってしまった狼の魔物達を街道の真ん中に置き去りにしながらコウ達を乗せた馬車は追いつかれまいと軽快に走り去っていくのであった...。

いつも見てくださってありがとうございます!


次回の更新予定日は多分1月10日or11日になりますのでよろしくお願いします。

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