642話
「結構歩いたな。もう周りが真っ暗だ」
あれからというもの街道をひたすら歩き続けた訳なのだが、いつの間にか時間帯は夜となり、辺り一面は真っ暗となってしまっていた。
また期待していた馬車は残念ながら1台も自身が歩いていた街道を通ることがなく、結局のところここまで徒歩となってしまい、既に結構な距離を移動していたりする。
まぁ街道に到着して歩き始めたのが夕方頃だったため、馬車が通らなかったのはしょうがないといったところだろうか。
もし昼頃に街道へ到着していれば話は変わってたかもしれないが、それはもうたらればの話である。
「うーん...そろそろ魔物も活発になるだろうしここらで今日は野宿でもするか」
ともかく、これ以上は歩いても周りは暗く、魔物が活発的な時間になるため、コウはそろそろ野宿した方が良いと思い、たまたま自身の近くにあった大きな岩にある岩陰へ移動していく。
そして幸いにも野宿するために必要な魔道具は自身が持つ収納の指輪の中にあるということで、野宿にはそこまで困らない。
それにしても1人で野宿するのはいつぶりだろうか?と考えてみるも、中々に思い出すことが出来ない。
ただ今の今まで日頃は誰かしらと一緒に野宿していたのだが、今は1人で過ごす夜ということも相まって何だか少しだけ孤独感を感じてしまう。
「さて...準備するか...」
とりあえずコウは野宿の準備に取り掛かることにしたのだが、まぁ準備といっても簡単なもので、収納の指輪から野宿に必要な魔道具を取り出していくだけである。
そして次々と収納の指輪の中から野宿に必要そうな魔道具を取り出すと、魔石を魔道具に嵌めたり、机や椅子はたまたテントなどの寝床を設置していき、最後には魔物や虫が寄ってこないようにする薄い光の結界を張ることが出来るランタンを。
「そういえばみんなはどうしてるんだろうか」
今思えばライラ達から野宿のに必要な物や準備などをコウが一任していたのだが、果たしてみんなは無事に野宿を出来ているのだろうか?
まぁそもそも野宿をしているとも限らないのだが、もし野宿をしているとなると、かなり大変な思いをしている筈である。
とはいえ、そんなことを考えたところで、今のところ自身に出来ることはないため、きっと上手くやっていると思うことしか出来ない。
「それにしてもお腹が減ったな...今日のご飯は何にしようかな?」
そんなことを考えていると、自身のお腹から空腹の合図が鳴ったため、コウは夕食にすることにし、収納の指輪の中に入っている今まで買い込んできた料理の中から今日の夕食を選び出すことにした。
「今日はパンとシチューでいいか」
ということで、コウが取り出した本日の夕食は何かというと、こんがりと黄金色に焼かれた柔らかそうなパンと木の器に入っているほわほわと白い湯気を空に向かって漂わせ、大きくカットされた野菜がごろごろと一緒に煮込まれたシチューである。
「いただきますっと...」
そしてコウは料理を目の前に置いた小さな机の上に並べ終えると、両手を合わせながら頂きますと呟き、早速ではあるが取り出した料理に手をつけていく。
まず最初に手をつけたのは白い湯気が漂うシチューであり、木のスプーンで大きくカットされた野菜とともに一口分を掬って口の中へ放り込んだ。
ただシチューは出来立てで保管されていたため、口の中が火傷するかのように熱く、コウはシチューを冷ますため、はふはふと呼吸を小刻みにして外へ熱を逃がしていく。
「ふぅ...身体が温まるな」
そしてそんな熱々のシチューを飲み込み終わると、胃の中へじんわりと染み渡りつつ、身体を温めてくれ、先程まで感じていた孤独感を少しだけ和らげてくれるような気がした。
また今度は一緒に取り出していた黄金色に焼かれたパンを手に取り、千切ってみると、ふんわりと柔らかく、シチューと同じように口の中へ放り込むと、香ばしい香りが鼻を通り抜け、噛めば噛むほど甘みを感じる。
そんなこんなで丸一日歩いて疲れた身体を癒すため、取り出した料理に舌鼓を打ちつつ、1人で少し寂しげな野宿を過ごすのであった...。
いつも見てくださってありがとうございます!
次回の更新予定日は多分12月20日or21日になりますのでよろしくお願いします。




