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640話

「誰だ...?あの2人ではないみたいだけど...」


 そんな木を背もたれが代わりに立っている人物は誰なのかと思いつつ、そのまま歩いて行くと真っ黒な外套を身に纏い、フード深く被って顔が見えない怪しい人物ではあるのだが、Sランク冒険者のドールと出会った時と同様に何やらただならぬ雰囲気を感じてしまう。


 最初は魔族であるレヴィーエルやアインがドールの足止めを何とかし、ここまで追いかけてきたのだと思ったのだが、実際には違う人物みたいである。


 とはいえ、側から見れば明らかに顔も見えないような怪しい人物ではあるため、警戒することに越したことはない筈。


 それにしてもこのフードで顔を隠している怪しい人物はいったいこんなところで何をしているのだろうか?


 誰かを待つにしてもここらには目立つような目印は無いので、目的は分からないが、怪しい人物の匂いがプンプンと匂ってくる。


(こういった類の人物は関わらないのがいいだろ...)


 そのため、こんなよく分からないところにいる怪しい人物にはあまり関わらないほうがいいだろうと思い、コウは無言で怪しい人物の横を通り過ぎようとしていくことにした。


「お前がコウか?」


「そうだけど...って...え?」


 そしてそんな怪しい人物の目の前を通り過ぎようとすると、コウは老人のような(しゃが)れ声で自身の名前を呼ばれることとなり、つい反射的に返事を返しながらその場で足を止めてしまうも、すぐにそのことに気づき、驚きの表情を浮かべた。


 何故、驚きの表情を浮かべることとなったのかというと、それは見ず知らずの老人と思われる怪しい男から自身の名前を急に呼ばれたからである。


 また過去にこんな老人と思われる怪しい男と出会ったことがあったか?と記憶を掘り起こしてみるも、残念ながら出会った記憶は持ち合わせてはおらず、一気にコウの警戒心を跳ね上げさせられることとなった。


「...何で俺の名前を知ってるんだ?」


「ふむ...髪色は父親譲りか...?目元はリーゼによく似ているな」


「は?」


 そのため、そんな老人と思われる怪しい男を警戒しながらも何故自身の名前を知っているのかについて聞いてみるが、コウの質問は無視されてしまい、寧ろジロジロとした視線をこちらに向けつつ、母であるリーゼの名前も口に出してきたではないか。


 実際のところ何故、両親のことについて知っているのかが全く持って分からず、コウは更に困惑してしまうこととなるのだが、もしかすると母であるリーゼや父であるハイドとの知り合いのため、自身のことを知っているのではないのか?という結論へ至った。


 でなければ目の前にいる老人と思われる怪しい男が自身のことを知っている訳もないし、両親のことについても知っている訳もないのだから。


「分かったぞ。父さんか母さんの知り合いなんだろ?どこの誰なんだ?」


「また会うのだからその時にでも教えてやろう」


「いや...別に今でもいいだろ...というかなんでまた会う約束になってるんだ...」


 そのため、老人と思われる怪しい男に今度は誰なのかと聞いてみると、返ってきた言葉は次出会った時に教えるとすぐにはぐらかされてしまう。


 別に今教えてくれてもいいとは思うのだが、何かしら今は話すことが出来ない事情でもあるのだろうか?


「まぁいいや...他にも聞きたいことが...「ふむ...時間切れだな...」


「時間切れ?...って身体が消えてるぞ!」


 そんなことを思いながらコウは老人と思われる怪しい男に他の質問をしようとすると、言葉を遮るように時間切れだと呟き出した。


 そして時間切れとはいったい何なのかと疑問に思っていると、老人と思われる怪しい男はまるで吸血鬼が日光に浴びたかのように全身がサラサラとした灰のように変化していき、その場から消えかけていることにコウは気づくのであった...。

いつも見てくださってありがとうございます!


次回の更新予定日は多分12月15日or16日になりますのでよろしくお願いします。

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