625話
ということで、偶々出会うことが出来たロロルのお陰でなんとか魔塔の内部へ入れたコウ達の目の前に広がるのは至る所に見たこともない魔道具が置かれ、魔法使いのようなローブを羽織った多くの人々が忙しなく動き回っている光景。
そんな魔塔内部の光景を目にしたイザベルはというと、目をキラキラと輝かせながらあちらこちらに視線を向けていた。
コウ達からしてみれば以前来た時とあまり変わりない光景だということで、そこまで大袈裟に反応することはないが、イザベルにとっては中々に見る機会がない光景ということで色々と気になるのだろう。
「ベンの部屋まで案内するのだ!」
「あぁありがとな」
そしてロロルがベンの部屋まで案内をしてくれるとのことなので、そのまま後ろをついて行きながら歩いていると、魔塔へ誘ってくれた本人であるベンが壁際にある自動昇降機に乗りつつ、上階から降りてくるのが見えた。
また自動昇降機に乗っているベンもコウ達が魔塔内にいることに気付いたようで、こちらに向かって手を振って来たのだが、何処からともなく工具がくるくると綺麗な放物線を描きながら自動昇降機に乗っているベンの元へ飛んでいくではないか。
「ごふぅ!」
そんなくるくると綺麗な放物線を描きながら飛んでいく工具は見事にベンの鳩尾へ吸い込まれていき、直撃すると吹き出しながら膝から崩れ落ちていく。
勿論、ベンに向かって工具を投げたのはコウ達の目の前に立っていたロロルであり、上手いこと鳩尾に直撃したのを確認すると、ぐっと握り拳を作っていた。
「な...何をするんだいロロル...」
「コウ達が困ってからなのだ。あとは個人的な恨みなのだ」
そして自動昇降機が1階に到着すると、ベンは鳩尾を押さえながら降りつつ、急に工具を投げつけられたのか?と口を開きながらこちらに向かって近づいてくるのだが、ロロルは腕を組みながら言い放つ。
「コウ君達が困ってた...?何に?あと恨みってなんかしたっけ?」
「連絡できないから魔塔に入れないって困ってたのだ!個人的な恨みはわっちのお菓子を食べたことについてなのだ!それに...」
しかしベンは言葉の意味が分からなかったのか聞き返すと、ロロルの口からはコウ達の件のついでとしてあれやこれやと多くの恨みが飛び出した。
そんなこんなでロロルが暫くの間、ベンに説教という名の文句を言い続けるのを見ながら待つこととなるのだが、それにしても以前から思っていたがベンはよく色々な人に怒られている気がしないでもない。
「いや〜気が利かなくてごめんね〜」
「何だかんだ入れたし別に俺達はそこまで気にしてないんだけどな」
そして一通りロロルから怒られ終わると、ベンの口から謝罪の言葉が出てくるも、そこまで気にしてないと言葉を返していく。
「じゃあわっちはやることがあるからまた話そうなのだ!」
「またな」
「またお話しましょうね〜」
「魔塔の中に入れて下さってありがとうございました」
「キュイ!」
とりあえずロロルはベンに会わせるという目的が達成したこともあり、そのままやることがあるからと言いながらその場から離れようとしていたため、お礼の言葉と共に見送ることにした。
「じゃあ僕の部屋に案内するよ」
「あぁよろしく頼む」
そしてその場に残されたコウ達は私室へ案内すると言われたため、先程までベンが乗っていた自動昇降機に乗ると、そのまま魔塔の18階まで昇っていくこととなるのであった...。
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