614話
「確認のために聞くが...魔族ってのは本当なのか...?」
「多分そうだと思う。ローランを襲う予定だとかなんとか」
「はぁぁぁ...お前さんって奴は...まぁ未然に防げただけで良しとするか...とりあえず感謝するぞ」
何やら色々と言いたい事がありそうな顔をしていたが、未然に魔族からの襲撃を防ぐことが出来たということで、コウはジールから感謝の言葉を述べられることとなった。
「それにしても新しく出来たダンジョンか...」
「どうするんだ?」
「とりあえずは調査をせんといかんな」
「知ってることなら伝えれるけど?」
「そうだな。お前さんにもしかすると話を聞くかもしれんからその時は頼む」
そして新たに出来たダンジョンについては今後、色々と調査していくとのこと。
まぁ調査といっても今のところ2階層までしかなく、そこまで広くないダンジョンということなので、あまり時間は掛かりはしないだろうか。
一応、コウとしてはダンジョンを攻略したため、自身の知っていることであれば、どんな場所なのか教えることが出来るので、提案してみると、後日に話を聞くかもしれないと言われた。
「はぁ...あと魔族についての件だが...酒でも飲んで明日から考えるか...」
そしてジールはローランの近くに魔族が現れことに関して今のところは何も考えたくない様子なのか、今にでも酒を飲んで気分を紛らわしたい様子。
まぁ今日の夜に酒を飲んだとしても、明日の朝からまた頭を悩ませることには変わりないため、今のうちに処理しておけばいいのでは?とは思ってしまうが色々とジールにもあるのだろう。
「とりあえずお前さんらは疲れてるだろうし帰れ。依頼書だけは処理しといてやるから」
そんなジールは再び手に持っていた上着を元に戻すと、愛用していると思われる椅子に再び座り出し、依頼書の証明書を処理するからくれと手招きしながら催促されたので、そのまま依頼書の証明書をコウは手渡していく。
「分かった。じゃあまた報酬を受け取りに来るからよろしく」
「では失礼します~」
「キュ!」
そして魔族やらダンジョンやらの報告も終えたということで、コウ達は一旦帰されることとなり、冒険者ギルドから出ると、身体の疲れを癒すために小鳥の止まり木という宿へ帰るのであった...。
■
同時刻。場所は変わってローランよりも離れた何処かの地にある古城の一室に突然、黒い渦が作り出され、そこからスライムの欠片の様なものがヒュンッ!と飛び出してきた。
そしてスライムの欠片の様なものはその場でグネグネと動き出し、人の形へと変化し出し、そこに立っていたのはまさかのコウが首を切り落とし、殺した筈のアインであった。
「ふぅ〜...酷い目にあったっす...」
そんなアインは不機嫌そうな表情で身体の調子を確かめるかのように斬られた筈の首元を擦ったり、ぐるぐると肩を回していると、建て付けの悪そうな部屋の扉がキィッ...という音共に開いた。
「ふふっ...何だか調子が悪そうじゃない?仕事は終わったのかしら?」
「レヴィーエルさんすか...寧ろ色々と邪魔が入って失敗したんすよ!」
部屋の扉の奥から現れたのは真紅のように赤い髪を腰辺りまで伸ばし、赤いドレスを身に纏った女性なのだが、アインはその女性に対してレヴィーエルという名を口にした。
その女性の正体とは過去にライラの精神が乗っ取られ、コウが戦ったことのある魔族...つまりは紅蓮の公爵レヴィーエルである。
「あの御方に失敗の報告なんてしたくないっす...」
「直近でエルフの森の件も失敗してるけどお咎めなしだから良いじゃないの」
「だとしてもっすよ...はぁ~...ため息が出るっす...」
そしてアインは愚痴を零しながら深いため息を吐きつつ、そのまま部屋の外へと出ていき、レヴィーエルも後を追うように部屋から出ると、その場は静寂に包まれるのであった...。
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