612話
「ふぅ〜疲れました〜!」
「キュ〜...」
流石にライラ達は疲労が溜まっていたのか、糸が切れたかのように大の字になりながらその場でぱたりと倒れて身体を休め始めた。
またそんなコウも疲労が溜まっていたということで、同じ様に寝転がると、何だか起き上がる気がどんどんと無くなっていく。
そして寝転がっていると、足音が聞こえてきたため、頭を傾けて誰が近づいて来たのか足音の方向を確認すると、それはディーンであり、どうやら寝転がって状態のコウの様子を見に来たみたいである。
「コウ君は...いやなんでもない。それよりも大丈夫かい?」
近づいてきたディーンは何か言いたげな様子ではあったが、喉元まで出かかっていた言いたかったことを飲み込んだようで、大丈夫かと心配の声と共に手を差し伸べられる。
「あぁありがとな」
そんな差し伸べられたディーンの手を取り、コウは起き上がると、背中についていた土汚れをサッと払いながら今度は倒したアインの亡骸を確認していくことにした。
するとサンクチュアリで切り落とした筈の頭と胴体があった場所には水の染みのようなものが出来ており、何故かアインの亡骸は綺麗さっぱり無くなっていた。
もしかするとダンジョン内で死んでしまったことによってあの鰐の魔物のようにダンジョンへ吸収されてしまったのか?と思ったのだが、あの時とは状況が少し違うので、結局のところ分からず終いである。
まぁコウ達は疲れて地面で寝転がっていたというのに姿を現さなかったということはアインは生きてはいないという証拠な筈だし、そもそも首を切られて生きているとは思えないだろうか。
「まぁいいや...そんなことよりもダンジョンの出口を探さないとな」
そんなことはさておき、次にしないといけないことといえば、このダンジョンの出口を探さないといけないということである。
そのため、コウはアインを倒したことによって周囲に何かしら変化はないかを確認してみると、湖の中央にある天井から滝のように降り注いでいた水が止まっていることに気付いた。
そしてその下には滝で隠れていたと思われる小島が浮かんでおり、遠目で見ても何もないように見えるのだが、この階層に来た際に湖の周りをぐるりと1周しても何も無かったので、あとはもう新たに現れた小島に期待するしかないだろうか。
「そろそろみんな起きてくれ。あそこの小島に行くぞ」
「う〜...行きますか〜...」
「キュ〜...」
とりあえず疲れて寝転がっているライラ達にそろそろ出発するという旨を伝えると、覇気の無い返事を返しながら気だるげそうにゆっくりと立ち上がり始めた。
ということで、湖の中央にある小島にへ向かうことにしたのだが、向かうにしても道を作らないといけないため、コウは残り少ない魔力を使い、なるべく強固な氷の道を作り出していく。
「こんなもんかな?滑らないように気をつけてくれ」
「了解です〜」
「氷魔法は便利だなぁ...僕も使えたら良かったのに...」
何とか残り少ない魔力で小島まで氷の道を作り出すと、何度か足先で叩いて壊れないのを確認し、特に問題なさそうだと判断したコウは一歩踏み出してそのまま小島に向かって歩き出していくと、ライラ達も一緒についてきた。
そして無事に目的であった小島まで到着し、周りを見渡してみるも、やはりというか何もない。
とはいえ、何かあるとするならばここぐらいしか考えられず、コウ達は小島に降り立って中心部に到着すると、急に足元が白い光が強く輝き、魔法陣のようなものが浮かび上がった。
「うわっ...!何だこれ!眩しい!」
「目がチカチカします〜!」
「キュ!」
「何なんだいこの光は!」
そんなコウ達は眩しさにより、瞼をギュッと閉じてしまうが、その間に周囲の空間はぐにゃりと歪み出し、周りの風景が徐々に変化していく。
「ここは...って俺達が入ってきた入り口?」
「本当です〜!ようやく出れました〜!」
「キュ!」
「おぉ!もしかして転送する魔法陣なのかな!?」
そして眩しい光が収まり、爽やかな風が身体を通り抜けたため、コウ達は閉じていた瞼を開けてみると、そこは自身達が最初に入ってきた小さな洞窟の入り口が目の前にあり、ダンジョンの外へ無事に出れたということに気付いた。
「う~ん...出れたのは良いんだけど何にもないんだな...」
「まぁ生きて出られただけでも良いじゃないですか~」
「それもそうか。じゃあローランへ帰るか」
「キュ!」
それにしても苦労した割には報酬が特に無しということは何とも寂しいものがあるのだが、ライラの言う通り、生きてダンジョンから出ることが出来ただけでも良しと言えるだろうか。
ということで、コウ達はアインとの激闘で疲れた身体に鞭を打ちながらローランまでゆっくりと帰ることにするのであった...。
いつも見てくださってありがとうございます!
次回の更新予定日は多分10月9日になりますのでよろしくお願いします。




