286話
「昨日のご飯は美味しかったですね~」
「キュイキュイ!」
「また食べに行くのも良いかもな」
昨日の夜に食べたマッドロブスター料理の思い出を話ながらコウ達が向かっている先は冒険者ギルド。
冒険者ギルドに何しに向かっているのかというと以前、ジールから依頼として受けた獣人国ロスガニアいるレオンへ忘れ物を届けるという依頼の報酬を受け取りに向かっていたのだ。
あれからそれなりの時間が経っているため、コウの希望していた寝具がそろそろ出来上がっている筈である。
その寝具さえあれば、たとえ野宿になってしまったとしても寝袋を使って硬い地面の上で寝ることもないため、身体に負担が掛かることが少なく済む。
実際に冒険者の中で、そんな寝具のことを気にしている者は少ないのだが、そこまで気にすることが出来るのは高ランクの冒険者もしくは収納の系統の魔道具を持っている者だけの特権だろうか。
ともかく出来上がっているであろう良さげな寝具を楽しみにしながら冒険者ギルドへ到着し、中に入るとまだ朝のためか、ここ最近訪れている昼頃よりも冒険者がおり、掲示板に貼られた依頼を漁っていた。
受付の場所を見るとミラやサーラは休みなのかおらず、他の男性ギルド職員が担当しているようだ。
とりあえず誰も並んでいないので、その男性ギルド職員にギルドマスターのジールが自室にいるかどうか聞いてみることにした。
「おはようございます。本日はどのようなご要件でしょうか?」
「ジールさんっているか?会いたいんだけど...」
「ギルドマスターでしたら自室にいらっしゃいますのですぐにご案内しますね」
Bランクのギルドカードを見せながら聞いてみると、ジールは自室で仕事をしているらしく、男性のギルド職員はコウ達を案内するために他の職員を呼んでくれた。
そのまま案内してくれる職員の後をついていき、ギルドマスター室に到着し、扉をノックをして入っていいかどうかの確認をすると中のジールから入っても良いという気だるげな返事が返ってくる。
「おう。今日はなにしに来たんだ?」
ギルドマスター室に入ると残りの数少ない書類を判子で押して処理しているジールがそこにはいたが、前日の酒がまだ残って頭が痛いのか、辛そうにしている。
「依頼の報酬を受け取りに来たんだけど」
「依頼の報酬?あぁ...寝具のことか?あれだったら勿論出来てるぞ」
「何処にあるんだ?」
「ルーの魔道具本店ってとこに寝具作成の依頼したからこれを持っていけ」
どうやらジールは報酬のことを覚えてくれていたようで、コウのお願いした寝具は既に完成しているとのこと。
また寝具の作成を依頼したのはルーカスのお店であり、ジールからとある物を放り投げられるので、受け取るとそれは寝具を受け取りに来て欲しいという手紙であった。
それにしてもまさかルーカスの店が魔道具の販売以外にも寝具などの家具を作成しているとは思いもしなかった。
「えぇ...自分で取りに行くのかよ...」
「取りに行きたいのは山々なんだが何故かここ最近頭が痛くてなぁ」
頭が痛いのはここ数日間、酒を浴びるほど飲んだのが原因なのではないだろうか?
というか寝具が出来ているのならば、酒を飲まずに取りに行けと思ってしまうし、もし取りに行けと言うならもう少し早めに教えて欲しかった。
まぁ文句をこの場で言ったところで、どうせ取りに行くのは変わらないだろうし、ため息を少しついて諦めることにした。
「コウよ。あと悪いんだが酔い覚ましの...」
「ジールさん悪いけどルーカスの店に行くからそれはギルド職員に頼んでくれ」
「そうですね〜失礼しました〜」
「キュイキュ〜イ」
ここに目的の物が無いのならばもう用がないので、二日酔い状態のジールは助けを求めることを言いかけていたが、コウは被せるように断ると、そのまま冒険者ギルドの外へと出ていく。
そして元来た道を戻りつつ、途中で屋台などに寄り道をしながらルーカスの店に到着すると開店前ということもあって店は開いておらず、掃除をしている店員がいるぐらいである。
「あー忙しいとこ悪いんだけどルーカスっているか?」
「ルーカス様ですね。少々お待ちください」
コウは謎の紋章が入った銀色の硬貨を店員に見せながら話しかけるとすんなりと話が通り、店員はルーカスを呼びに店の中へと入っていく。
そして暫く店の前でのんびりと屋台で買った串焼きを食べながら待っていると、ルーカスが店員と共に店の中から出てくる。
「久しぶりだな」
「いやはやお久しぶりでございます。本日はどのようなご用件でしょうか?」
「ギルドマスターのジールさんが頼んでいた寝具を取りに来たんだけど...」
「寝具でございますか?あぁ!ジール様が依頼した物ですね。とりあえず中にお入り下さい」
察しの良いルーカスはすぐにコウの言っていたことを理解すると店の奥にある倉庫に保管してあるとのことなので、置いてある場所まで案内してくれた。
倉庫内に入ると並んでいる棚の上には様々な魔道具が在庫として並べられ、奥にはコウが希望していたと思われる寝具が置かれており、埃などが被らないよう大きめの布で覆われて置いてあった。
「こちらになります。料金は既に頂いていますのでお持ち帰り下さい」
既に前払いでお金を支払わられているらしく、いつでも持って行っても大丈夫とのことなので、早速収納の指輪の中へと仕舞い込む。
指輪の中へ仕舞い込んだ後、ルーカスから寝具についての説明が軽くあり、どうやら寝具には魔道具としての機能があるとのこと。
どんな機能が付いているのか簡単に掻い摘んで説明すると寝具の中を温めたり、冷やしたりする機能があるようで、幅広く温度を調整出来るらしい。
とはいえそれ以外には特に魔道具としての機能は無いが、付属として付いているマットレスや羽毛布団、カバーなどは追加で新しく欲しければ在庫があるため、いつでも購入出来ると言っていた。
「じゃあまた暇があったら来るよ」
「申し訳ないのですが少しお時間をよろしいでしょうか?相談したいことが...」
どうやらルーカスはコウに何かしら相談したいことがあるようで、お店から出て帰ろうとすると引き止められるため、とりあえず話だけを聞くことにするのであった...。
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