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282話

「あー...いつまでにだ?」


「勿論!今日の夜までにだ!」


 リクトンの料理を作る代わりの条件とは、こんな裏路地にあるボロボロの店に客を呼ぶということであった。


 何という難題。たとえ大通りから客を上手いこと呼び込んだとしても、外観を見るだけで普通なら回れ右をされてしまうかもしれない。


 うーむ...これは今からでも別の料理人を探すべきでは無いのだろうかと思ってしまうが、今更マッドロブスターを使った料理を作れる料理人を探すのは面倒である。


「ふぅ...分かった。客を連れてこれば良いんだろう」


「交渉成立だな!じゃあ調理場にマッドロブスターの肉を置いてくれ!」


 どうやら今から料理に取り掛かってくれるようで、調理場に今持っている分のマッドロブスターの肉を置いて欲しいとのこと。


 ということでリクトンの後についていき、店の奥にある調理場へ入ると、そこには新品のようにピカピカに清掃が行き届いた調理場が姿を現す。


 中には見たこともない調理器具の魔道具もあるので、色々と気になるところではある。


 それにしても店内良し!調理場も良し!なのに何故、大事な部分である店の外観に力を入れていないのか。


 まぁその疑問に関して今この場で答えるとするならば、リクトンは初期費用を全て内装や調理場などに力を入れすぎてしまったため、結果的に店の外観を良くすることが出来なかったのだ。


 とはいえそんな事情についてコウ達が知るのはまだ先の話だったりする。


「さぁ!ここに置いてくれ!」


 とりあえず指定された場所に収納の指輪からマッドロブスターの肉を取り出して置くとリクトンは品定めするかのようにじっくりと観察しだす。


 取り出したマッドロブスターの肉は一部だけであり、まだまだ収納の指輪の中にはたっぷりとあるが、流石に全てを出す訳にもいかないし、まず出す場所がない。


「おぉ...こいつはかなり良い鮮度じゃねぇか!」


 コウが持ってきたマッドロブスターの肉は料理人のリクトンからしてみれば鮮度の良い良質な食材ということで、腕をぐるぐると回しながらやる気に満ち溢れている様子である。


 やる気になってくれる分なら有難いことではあるので、あとの料理に関しては任せておけば良いだろう。


「んじゃ夜に客を連れて来てくれ!それまでに仕込んでおいてやるぜ!」


 調理場にいるリクトンからコウ達は追い出されたので、とりあえず夜までにこの魔食堂へ客を集めるため、一旦店の外に出ていくことにした。


 店の外に出るとライラは店の外観を見ながら眉間に(しわ)を寄せて難しそうな顔をしており、今回の客を呼ぶという難題をどうしようか悩んでいる様子である。


「も~どうするんですか〜?私は呼び込みなんてしたことないですよ〜」


「まぁまぁ。一応だけど考えはある」


「おぉ~!本当ですか~!?」


 コウは考えがあると言うとライラから尊敬の眼差しを向けられるので、なんだか少しだけ弄りたくなってしまう。


「そうだな...例えばライラが際どい格好をして大通りで客を呼ぶとか」


「えぇ~!冗談ですよね~!?私はそんなことしたくないですよ~!」


 冗談で言ったことをライラは真に受けてしまったのか、わたわたと焦っており、そんな姿を見たコウはくすりと小さく笑うと、ようやく冗談だと理解したのか、頬を膨らまし、肩を()すってくるので軽く謝りつつも話を進めていく。


「とりあえず知り合いを呼んでみようかなって」


「う~ん...でも私はローランにいる知り合いなんて数少ないですよ~?」


 確かにコウ達はローランに知り合いがいるかと言えばそこまで多くはおらず、寧ろ少ないと言ってもいいだろう。


「少なくても問題無い。誘った人達からまた別の人も誘って貰うんだ」


 コウの考えは、まずサーラやギルドマスターであるジールなど見知った人物をとりあえず魔食堂に誘う。


 更にそのサーラやジールの友人などを魔食堂に誘ってもらい、どんどんと魔食堂に訪れる人を芋づる式に増やしていくのが今回の目的である。


 魔食堂自体の外観や立地は悪いが、リクトンが作る料理が美味しければもしかすると今後リピーターが出来たり、訪れた人達の口コミで客が増えたりすることもある筈である。


「よし...じゃあとりあえず冒険者ギルドに行くか」


「そうですね~サーラさんでも誘ってみますか~」


 昼前に訪れた冒険者ギルドにはサーラが確か受付で働いていた筈なので、最初に誘いに行くのは確実にいるであろうサーラでいいだろう。


 またサーラ以外にも冒険者ギルドで誘えるような人がいればついでに誘えば良いし、宣伝として冒険者ギルドの何処かにでも張り紙を貼ってもらえば、物好きな冒険者が客として入ってきてくれるかもしれない。


 ということでコウ達は魔食堂に客という名の数少ない友人を集めるため、とりあえず冒険者ギルドへと足を向かわせるのであった...。

いつも見てくださってありがとうございます!


評価やブクマなどをしてくださると嬉しいですm(_ _)m


次回の更新は12月13日になりますのでよろしくお願いします。

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