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258話

 その日の夜。海で遊び疲れていたということで夕食を食べた後、すぐにコウは早めの就寝としてベッドに入り、眠りについてしまった。


 とはいえ早くに寝てしまうと人は深夜に何故か目が冷めてしまうものである。


「ふわぁ~あ...完全に目が冷めちゃったな」


 枕元の隣ではコウが起きたのに気づかないフェニがぐっすりと眠っているので、とりあえず起こさないようにそっとベッドから抜け出す。


 いつも身に付けている外套を羽織って部屋の扉を開き、通路に出ると深夜帯のためか夜勤組のメイド以外、誰もが遊び疲れによってぐっすりと寝ているようで、しんと静まり返った空間が通路を包み込み、窓からはまんまるな満月が見えていた。


 また等間隔で明かりの魔道具が吊るされているためか、そこまで暗くはない。


「外で少しだけ風にあたろうかな」


 とはいえこんな時間に何をするかと言われてもすることは限られているので、とりあえず屋敷の庭内を少しだけ歩いて風にあたることにしたコウは屋敷の玄関まで歩きだす。


 途中で屋敷内を巡回(じゅんかい)する夜勤組のメイドとすれ違い話をかけられ、事情を話すと、温かい飲み物や夜食はいるのか色々と気を使われてしまうが、今はそのような気分ではなかったのでやんわりと断っておいた。


 そして屋敷の外に出て少しだけ歩くとやはり海が近いためか涼しげで、心地よい海風がコウの身体を通り過ぎる。


「気持ちいい風だな」

 

 ぽつりと1人で呟き、空を見上げると輝く満月が浮かび、手元に明かりがなくとも庭内を歩き回るぐらいなら問題なさげである。


「ん...何だ今の?」


 少しだけ庭内を歩いていると一瞬、丸い発光体のようなものがふわりと目の前を通り過ぎたような気がした。


 いや...気のせいではなかった。立ち止まっていると、その丸い発光体のようなものはコウの周りをぐるぐると回りだし、追加としてそこらの木々の間からふらふらと現れ、集まりだしてきたのだ。


「ちょ...なんだこれ!」


 逃げたい気持ちに襲われつつも、丸い発光体に触れても大丈夫なのか分からないため、逃げずにその場で立ち止まっていたが、何も危害を加えてこないのでもしかしたらそんな危険な存在ではないのかもしれない。


 ただ周囲の景色が分からなくなるぐらいに集まってくるので、周りはどうなっているのか分からない。


 警戒しながらもとりあえず触れずに立っていると、何処からか先日の夕方頃、部屋の窓から身を乗り出した際に(ささや)いていた声と同じ声が聞こえてくる。


 どうやら先日、起きていたあの怪奇現象の正体はこの丸い発光体が起こしていたようで、何故今の今まで見えなかったのかまでは理解できなかった。


「あなた達。おやめなさい」


 すると今度は目の前から、また新しい聞き慣れない声が聞こえてきたが、その声は透き通るように綺麗な女性の声であった。


 そして、ぐるぐるコウの周りを回っていた丸い発光体は急に動きを止めて散り散りに散っていくと目の前にその声の持ち主であろう人物がいつの間にか立っていた。


 その人物はコウと同じの青い髪色をしているが、その髪は月明かりによってキラキラと反射しており、長い後ろ髪を三つ編みで束ねている大体20代半ばぐらいの年齢と思われる容姿の女性であった。


 白薔薇騎士団の団員やこの屋敷にこんな人がいただろうかとコウと同じ青い髪の人物を見たことがないので、何処からか侵入してきた不審者だろうか。


 まぁ不審者とすればコウの目の前にわざわざ姿を現すわけもないので、何かしらの目的があるのかもしれないので、とりあえず様子を伺うのが良いはずだ。


「私はアクエールと申します。水魔法と高い親和性のある貴方様にお願いがあってこの場に現れました」


 目の前に現れた見ず知らずの人物はアクエールと名乗り、お願いがあると唐突(とうとつ)に話を切り出される。


「いやいや...なんだお願いって...というかまず何で俺のことを知ってるんだ?初対面だよな?」


「この子達...小精霊が教えてくれたのです」


 アクエールと言う女性は近くをふわふわと綿毛(わたげ)のように飛んでいる光る発光体に向かって指をさし、小精霊と說明してきた。


 つまりおとぎ話に出てくるような精霊がいて、その小精霊と呼ばれる者達が目の前のアクエールという女性にコウのことについて教えたのだろう。


 改めて思うがこの世界には個人情報を守るものなど無いので、コウの情報はダダ漏れである。


「夕方ぐらいにはいなかったし今まで見たこともないけど?」


「力の弱い精霊は満月の夜に姿を現して核を持つ者が見れるのです」


「核を持つ者?」


「小精霊が見えているということはあなたもあるのでしょうね」


 核とは何なのだろうか?そんな物を収納の指輪の中へ仕舞い込んでいたりしていたかなぁと頭の中で考えるも、思い当たるような物はない。


「そろそろ本題に入ってもよろしいでしょうか...?」


「いいけど話を聞くだけだからな」


 うんうんと頭を悩ませていると目の前で立っているアクエールがしびれを切らしたのか、早く先程言っていたお願いについての本題に入りたい様子である。


 まぁお願いと言われても聞いてみないと分からないし、またそのお願いを受けるかどうかは別であるが、とりあえず近くに置いてある長椅子に座りながらアクエールに詳しい事情を話して貰うのであった...。

いつも見てくださってありがとうございます!


評価やブクマなどをしてくださると嬉しいですm(_ _)m


次回の更新は10月26日になりますのでよろしくお願いします。

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