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243話

 右を見ても鍛冶屋、左を見ても鍛冶屋となっており、店の前にはドワーフの手によって作り出されたであろう武具があちらこちらに立て掛けられ、何だか新しい玩具を見つけた子供のように胸が躍る。


 といっても今回の目的はイザベルのレイピアを修復することなのでここは一番腕の良さげな鍛冶師に頼んだほうがいいだろう。


 つまりは先程、聞いたばかりの二大鍛冶師と言われているダルガレフというドワーフに頼むのが一番良いということになる。


 とはいえもう時間帯も夜のためとりあえずは宿の確保が優先ということでダリアが以前この街へ来た際に泊まったという宿へと向かう。


「この時間帯なら普通は満室なのではないのですか?」


 イザベルの疑問は最もであり、この時間帯の王都やローランなどでは既に宿は客で満室になっているはずである。


「あ~それは問題ないっす!ドワーフの国だから入れる人が少なくて宿が空いてるんすよ」


 確かに普通に入ろうと思えば金貨10枚というありえないような通行料をぼったくられるため、街の中に入れる人は限られてしまいダリアの言う通り宿へ泊まっている人は少ないのだろう。


 というかそんな人の制限をしている宿などが稼げずに潰れてしまうのではないかと思ったが酒場も兼業している所も多く、ドワーフは基本的に酒飲みのためそこへ客を寄せて稼いでいるらしい。


「皆さん到着っす!」


「お~確かに宿って言うよりは酒場ですね~」


 ダリアが以前泊まっていた宿へ到着し、中に入るとそこは酒場のような作りとなっており、既にドワーフだけで満席となって盛り上がるように酒を酌み交わしている。


 これだけ混んでいると本当は宿も空いていないのでは?と思い受付に立っている恰幅はあるが背は小さいドワーフの女将に泊まれるかどうかを聞いてみると酒場と違って部屋は殆ど空いている状態であった。


 とりあえずは無事に宿の部屋の確保が出来たということでその日はドワーフが作った柔らかなベッドでゆっくりと明日に備えることとなった...。


 翌日のコウはイザベルと共にダルガレフというドワーフが鍛冶をしているという街の中心部ある空まで高く伸びた大きな黒の煙突の元に向かって歩いていた。


 今回、ライラはそこまでドワーフが作っている物に興味はないということでたまにはゆっくりと留守番しているとのこと。


 またフェニも街中はモクモクと煙を吐き出す煙突が多いため、空を飛ぶと汚れるということなので宿でライラと一緒にゆっくりするようだ。


 そしてここまで一緒に来ていたダリアはコウ達が起きる朝早くの時間に外へ出ていったのかいつの間にかおらず、きっとドワーフが作り出した物をここ以外に売り捌くために仕入れにでも行ったのだろう。


「それにしても凄い鍛冶屋の数ですね」


「確かに凄いな...おっ!これは便利そうだな」


 それにしてもあちらこちらに鍛冶屋が立ち並び、ドワーフの手によって作り出された物が店頭に置いてあり、どれもこれもコウにとって興味を惹かれる物ということもあってか中々にダルガレフのいるであろう鍛冶屋へたどり着かない。


「楽しそうで何よりです」


「あぁすまん。どうしても気になって...」


「いえ私は気にしないので大丈夫ですよ。ルガルの街では私も連れ回してしまいましたから」


 お互い様ということでイザベルもそこは付き合ってくれたのだが、今回の目的を忘れてはいけないし、後でゆっくりと見ればいいということでここはドワーフが作った物を見たい気持ちを我慢して歩き出す。


 そして黒い煙突を目印に暫く街中を歩くと迷わずにダルガレフがいるであろう鍛冶屋に到着することが出来たが、入口には城門に居たような鎧を着込んだドワーフが複数人立っている。


「ここにいるダルガレフっていうドワーフに会いたいんだけど」


「ダルガレフさんに何の用だ?会う約束は誰ともしとらん筈だぞ」


「そこを何とか会わせてくれないか?」


「駄目なもんは駄目だ!」


 一向に会わせてくれなさそうな雰囲気なのでここは伝家の宝刀ミスリルナイフをどこぞの印籠のように見せつける(とき)かもしれない。


 ということでコウは収納の指輪に仕舞い込んでいるミスリルナイフを取り出すと同時に鍛冶屋の扉が大きな音と共に開き、中からそこらにいるドワーフ達より、一回りも二回りも体型が大きなドワーフが出てくる。


 そのドワーフの姿は鍛冶で汚れたであろうオーバーオールのつなぎを着ており、太っているためかはち切れんばかりに服が伸び、禿げ上がった頭部にちょんと可愛らしいゴーグルのようなものを乗せながら片手には鍛冶で使用する小鎚を持っていた。


「何をお前らは(さわ)いどるんじゃ!」


「ダルガレフさん!いやこいつらが会いたいって我儘言うもんですから!」


「何処のどいつじゃ!儂が対応するからお前らはそこに立っておれ!」


 鍛冶屋から出てきたドワーフはどうやらコウの会ってみたかったハイドの友人であると思われるダルガレフというドワーフであった。


 そして責任転換をするかのように取り巻きのドワーフ達がコウとイザベルの2人に向かって指をさしてくるのでダルガレフからぎろりと鋭い視線が飛んでくる。


 しかしすぐにダルガレフの視線はコウの手に持っているミスリルナイフへと吸い込まれ、驚きの表情を浮かべ目を丸くするのであった...。


いつも見てくださってありがとうございます!


評価やブクマなどをしてくださると嬉しいですm(_ _)m


次回の更新は9月26日になりますのでよろしくお願いします。

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