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234話

 昼間はダリアの馬車を乗りながらもいくつかの村を通り過ぎつつ、中で食事を食べたりイザベルから友人であるマリエルはどのような人物かという話題に花を咲かせているといつの間にか空にあった太陽は西の大地に沈もうとしていた。


 それにしてもイザベルの話を聞く限りマリエルというご令嬢は中々に面白い人物であった。


 例えば自身の住んでいる領地の近くに盗賊団の根城が出来たとなれば自身を守っているはずの側近を使ってこっそりと夜中に抜け出して共に討伐し、武勇を立てたことや悪行を働いていた貴族を詳しく調べ上げ直接屋敷へ突撃したりと中々に正義心が溢れている。


 また最初の自己紹介からでも分かる通りどんな身分の相手でも分け隔てなく接するためか民からの信頼も厚いとのこと。


「イザベルの周りは変わった人が多いな」


「それはコウさんもじゃないですか」


「ちょっと待ってくれ。俺は普通だと思うんだが」


「コウさん自覚ないんですか~?」


 イザベルの言葉に納得いかないため否定するも2人から何故か冷ややかな視線が飛んでくる。


 といってもイザベルは貴族なのに冒険者をやっている変わり者であり、ライラに関しては聖女になることを拒否した脳筋シスターと各々もあまり自覚はしていない。


 実際のところ唯一この場でまともな人物といえば真っ当な商売人をしているダリアぐらいなものである。


「はいはいっす!とりあえず皆さん街が見えてきたっすよ!」


 そうこうしているうちに御者席に座っているダリアが話を遮るように間に入ってマリエルの父が治めているという街が見えてきたということを伝えられたため、馬車に付いている窓からコウは身を乗り出すと風に煽られ被っていたフードが取れた。


 そして道の先を見るとそこにはコウ達が拠点としているローラン並の大きさであり、夕日に照らされ茜色に染まった綺麗な街並みが視界に入ってきたのだ。


「おぉ~ここも大きい街だな」


「ルガルという名の街ですね。ちなみにここは衣服の街とも言われています」


「衣服の街ですか〜!楽しみですね〜!」


 王都から南東に位置するルガルという街はイザベルも言っていたが衣服の街と呼ばれ、数多くの女性達がよく訪れる場所でもある。


 何故、この街が衣服の街と呼ばれるかというと ここの主な生産物は衣服を取り扱っており、なんと王都の2倍の数の服屋があるらしい。


 また服屋の数が多いということでお互いに売っている服を売り捌くために様々なデザインの服を作り出し、競い合っているので次々と新しい流行が流れているようだ。


 そしてこの街では年に1度だけ王都にある闘技大会と似たような催し物があるらしく、似たもので例えるとするとファッションショーに近いものである。


 それは基本的に男女問わずどんな身分の人物でも参加できるものであるのだが、個人で服を見繕って参加する必要があるとのこと。


 まぁコウにとってはあまり興味のないものであるのだが、イザベルやライラは目をキラキラと輝かせながら話しているので参加できるのならば参加してみたい催し物なのだろう。


「皆さん街に着いたっすよ。とりあえず受付だけ終わらせるっす」


 ルガルの街についたということなのだが、マリエルは貴族専用の入り口から既に入っていっており、ダリアと共に商人専用の入口で少し並んでから受付を済ませると街の中へ入ってゆく。


 街の中に入ってすぐ目の前にはマリエルの乗っている馬車がコウ達が街の中に入るまで待ってくれていたようで御者をしていた騎士が近づいてきた。


「ようこそルガルの街へ。このままお嬢様の屋敷まで案内させてもらおう」


「よろしく頼む」


 コウ達は再び馬車に乗り込みマリエルの馬車へ付いて行きながらどんな街なのかを窓から眺めているとイザベルの言っていた通り服屋が多く並んでおり、様々な服が木で出来たマネキンに着せられて店頭の前に置かれたりしている。


 道を歩いている者は女性が多く、女性に付き添って歩いている男性の殆どは荷物持ちと化していたりしてなんだか疲れ切っている者が多いので自身もそうならないようにこの街にいる間はイザベル達から少し距離をおいたほうが良さげな気がする。


 距離を置けさえすればの話であるのだが...。


 そしてある程度、服屋が立ち並ぶ街中を馬車で走り、大体街の中心部付近まで進むと白薔薇騎士団の屋敷と同等の大きさの建物が見えてきた。


 目の前で走っていたマリエルが乗っている馬車は徐々に速度を落とし少し値段が張りそうなデザインをした鉄製の門扉の前で上手いこと停止するのでダリアも合わせるように馬車を止めるとコウ達は馬車から体を伸ばしながら降りてゆく。


 そして目の前の馬車からは真っ黒なドレスを身に纏ったマリエルが降りてくるとコウ達の前へ自慢げな表情をしながら駆け寄ってきた。


「ここがわたくしが住んでいる屋敷ですわ!リオメール!わたくしの友人達を休憩する部屋まで案内してくださいまし!」


「畏まりましたお嬢様」


「うわっ!どこから出てきたんだ?」


「キュイッ!」


 マリエルがパンパンと手を2回ほど軽く鳴らすとどこからともなく、マリエルの背後に執事の格好をした初老の男性が現れるとコウとフェニはその場から跳ね退きながら驚いてしまう。


「ではお客様方はお部屋まで案内させていただきます」


 そしてコウ達はリオメールと呼ばれる初老の執事が一旦旅の疲れを癒やすため、部屋まで案内してくれるとのことなのでついて行くのであった...。

いつも見てくださってありがとうございます!


評価やブクマなどをしてくださると嬉しいですm(_ _)m


次回の更新は9月8日になりますのでよろしくお願いします。

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