219話
ジールが援軍として現れてくれたのならば人数的に有利が作れるので三罪の内ゴラスとゼリの2人相手を王都とローランのギルドマスターであるジールとディザーがとりあえずは対応してくれるだろう。
そうすればイザベルとライラ、そしてフェニの2人と1匹のスリーマンセルで組むことができ、残りの三罪1人であるアーロウェルという老人を相手することが出来る。
アーロウェルはライラに対して相性が悪いと言っていたのでもしかしたらこちら側が有利に戦えるかもしれない。
「俺はあのゴラスってやつを相手してくるわ」
「では私はゼリという獣人をこの場から引き離そう」
ジールは先程、拳でぶん殴って吹き飛ばしたゴラスの元へと向かい、ディザーはその場から離れて敵であるゼリも追いかけるように走り出す。
そしてその場に残されたのは三罪の1人であるアーロウェルだけとなったのでイザベルはもう一度だけ風魔法をこっそりと放つも今度はゴラスではない何かに防がれることとなる。
「やれやれ...最近の若いもんはせっかちが多いもんだの」
アーロウェルの周りにはスラム街の住人達が寄ってたかって盾となるように集まっていた。
盾となったスラム街の住人達はシスやディード神父と同じように虚空を見つめる感じの虚な目をしており、操られているためか本人達に意識はなさそうではある。
「やはり操っていたのはあなたなんですね」
「いかにも。これらは既に儂の人形よ」
スラム街の住人の身体は至る所が欠損していたり、腹部から内臓がはみ出ていたりと明らかに生きている様な者はいないので操れるのは死体だけだろうか。
「まぁお主らは綺麗な状態で保存したいの!奴らを捕らえろ!儂の人形達よ!」
盾となっていたスラム街の住人達はアーロウェルの一言によって一斉に動き出し、走る者や地面を這いずる者など様々であり、まるでゾンビ映画のそれである。
「うへぇ〜あんな爺さんの物になりたくないです〜」
「同感ですね」
向かってくるスラム街の住人達は死体ということもあって手加減する必要はないのが救いだっただろうか。
もし生きていながらアーロウェルの手によって操られているとしたら無関係の人間ということを考慮して手加減しながら戦わないといけなく、苦戦を強いられていた筈だ。
という訳で次々と押し寄せてくるゾンビの様なスラム街の住人達を首を斬り飛ばしたり、殴り飛ばしたりとなんとか数を減らそうとしていく。
意外にもフェニの雷球はそれなりに効果があるようで理由は分からないが一度当たるとそれなりの時間、動きを封じ込めることができていた。
ただそれでも減っていくような気配は一切なく寧ろ先程の人数よりもどんどんと増えていっているような感覚すら覚える。
イザベルとフェニだけならば追い詰められても空を飛んで逃げることは出来るが空を飛べないライラだけを地上に残してしまってはあれらの餌食になってしまうので戦い続けるしか無い。
「一体何処からこんなに...何か弱点があれば...」
「ひぃ〜多すぎです〜」
「キュイキュイ!」
イザベル達の反撃に恐怖心もなく、無限のスタミナでひたすら向かってくる姿は逆にこちらが恐怖を覚えてしまう。
これ以上増えてしまえば流石にイザベル達も3人で対応しているため物量で押し切られてしまう可能性すらあり、早めに何かしらの手を打ちたいところ。
「ライラさん何かしら手はないですかね?」
「う~ん...アンデットなら何とかなりますけど〜」
あの何処からともなく湧いてくるゾンビのようなスラム街の住人達を何とかできないかとりあえずライラに相談してみるとアンデットに対してならば何かしらの手はないこともないらしい。
「試しにそれをお願いします」
「わかりました~少し時間を稼いでくださいね~」
どうやら少し時間が必要ということなのでまだ次々と迫りくるゾンビのようなスラム街の住人達からライラを守らないといけないようだ。
「ではフェニさんは私の魔法に合わせて下さい」
「キュイ!」
イザベルはライラを守るために近くに寄って魔力を高めると足元を中心に風が一気に吹き荒れ始め、空を飛んでいるフェニも自身の頭上に雷球を複数作り出す。
徐先程まで吹き荒れていた風は徐々になくなっていき、今度はイザベル達のを囲うようにドーム状の風の結界が作り出され、地面から土埃を巻き上げている。
生成されるとフェニは自身の作り出した雷球をイザベルが作ったドーム状の風の結界に向かって打ち込むと雷魔法が上手く馴染んだのかビリリと走りだす。
「さぁこれである程度時間は稼げるはずですよ。”開放”」
イザベルが一言呟くとフェニの雷魔法を纏ったドーム状の風の結界が大きく膨れがあり、広範囲を一気に包み込んでゆく。
「これは不味いの!」
雷魔法を纏ったドーム状の風の結界にゾンビのようなスラム街の住人達が触れると感電したのかその場で次々と倒れ込んでいき、痺れているのか動けてはおらず広範囲に放ったためか追加も来ない。
アーロウェルも先程、放った魔法に巻き沿いになっているはずと思い見てみるとドーム状の肉の塊のようなものが身を守るように包み込む形で作られていため、何とかしてイザベルとフェニが組み合わせた魔法を防いだようである。
「では~準備ができましたんで行きますよ~!」
そして時間を稼ぐことが成功したことにより、ライラの準備ができたようで拳は白く輝く光がキラキラとか輝いており、地面へ思いっきり右ストレートを打ち込むと地面が白く輝き、水の波紋のように周囲へ白い光が広がっていく。
痺れて身動きの取れていないゾンビのようなスラム街の住人達はその白い光に触れると今度は発火し、次々と赤い炎に包まれていくと灰のように消えてゆく。
「一応アンデットだったんですね~」
「ライラさんと相性が悪いと言っていた理由がわかりました」
とりあえずこれで襲いかかってくるゾンビのようなスラム街の住人達は追加も来ずに何とか対処することに成功したので後は三罪の1人であるアーロウェルを何とかするだけである。
そしてドーム状の肉の塊で出来た物の中からアーロウェルが出てくると自身の手駒が次々と燃えて灰になっていく姿を見て驚愕した顔をして手が震えていた。
「わ...儂の地道に作ってきた者達が消えてゆく!許さんぞお主ら!」
そしてアーロウェルは怒り狂うように自身の手に持っている杖の先端を地面に向かってトンっと強めに叩くと紫色の魔法陣が大きく広がり描かれ始めるのであった...。
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