218話
特に武器を構えながら走ってくるシスに関しては足の腱を切られたりしていたのだがそれを物ともせずに動いているのがまずおかしい。
普通の人ならば足の腱を切られてしまえば動けなくなってしまうのだから。
ディード神父に関しても本人自体は年齢が高かったため今みたいに走れるほどの身体能力があるわけでもなく、また暗器などを使っていたという記憶もライラにはない。
しかもライラはこめかみ部分へとハイキックを上手く打ち込んでいるので以前のディード神父ならばそこまで打たれ強くもない常人のため気絶するはずである。
つまりシスとディード神父に関しては操られている若しくは人の見た目をしているが実際には人ではないということが何となく推測できる。
そしてイザベル達の攻撃に怖じけず被弾すら気にしないで向かってくるのだが、武器の振るい方が単調的なもので技術もクソもなく、躱すだけなら簡単なものである。
「動けなくするよりはもう殺したほうが良さそうですね」
「殺さないようにと言われてますけどしょうがないですよね~」
気絶も駄目。また手足の腱を切ったところで動かれてしまい何度も何度もゾンビアタックを繰り返され、鎮圧することも不可能だと判断したイザベル達はゾンビのように動いてくるシスとディード神父にとどめを刺すことにした。
「あなたは前からしつこかったですよ」
イザベルはシスがレイピアを振るう前に首元を相棒であるレイピアで一閃すると頭が首から別れ、地面へと頭がごろごろと転がるとその場で糸が切れた人形のように胴体は倒れ込む。
「それではディード神父もさよならです~」
そしてライラはディード神父の振るう暗器をひらりと躱し、中国雑技団の様にディード神父の頭部を手で掴み逆さ立ちすると体重をかけながら身体を横にくるりと半回転して首を無理やりぶちぶちとねじ切り、とどめを刺す。
流石に首を刎ねれば動かなくなるようでようやくホッと一息つけると思った束の間、また新手として見知らぬ顔の3人組が小さな掘っ立て小屋の中から会話しながら現れる。
「あぁ...儂の便利な人形が...」
「また作ればいいじゃねぇか糞爺」
「そんなことはどうでもいいから早く済ませよう。僕はギルマスに怒られたくない」
中央の者は白髪の老人のようで魔術師が身につけるような黒いローブを着ているがボロボロとなっており、足が悪いのか手には先端が若干折れ曲がった長めの杖をつきながら歩いている。
また首を刎ねて地面に倒れているシスやディード神父を見ながらどうのこうのと言っているのできっと2人を操っていた者かもしれない。
右隣の男は頭を剃っているのかスキンヘッドで身長が2mぐらいの大男であり、成人男性の太腿ぐらいの太さをした筋肉が異常に発達した両腕を持っている。
そして最後に左隣にいる青年は頭とお尻に獣人特有の毛並みがふわふわな耳と尻尾がついている。
両目に刃物で切られた様な大きな古傷跡が残っているため目が見えないはずなのに転ぶことなく歩いている。
「なるほど。"三罪"が出てきたか」
「三罪ってなんですか〜?」
ディザーが聞き慣れない三罪という言葉が出てきたためライラは疑問に思い聞いてみるとざっくりと教えてくれた。
暗殺ギルド、盗賊ギルド、闇市ギルドという3大裏ギルドがあるのだが、それらの裏ギルドを纏めている裏ギルドマスター達には直属である部下が1人いるのだがそれら3人を合わせて三罪というようだ。
実力に関しては折り紙付きらしく、裏ギルドを裏切った幹部や貴族、また害する者を排除するために様々な場所へ派遣される者達らしい。
つまり目の前に三罪と呼ばれる男達3人組が出てきたということはイザベル達が裏ギルドを害する者達ということで排除する様に裏ギルドマスターから命令が下されたのだろう。
また三罪の人物についてディザーは名前のみ知っているようで白髪の老人が傀儡のアーロウェル、2mの大男が剛腕のゴラス、そして獣人の青年が盲目のゼリと呼ばれているとのこと。
「綺麗な死体を確保したいから欠損させてくれるなよ?この筋肉馬鹿」
「あぁん?誰が筋肉馬鹿だ!第一いつ死体を欠損させたんだよ!」
「はぁ...本当に馬鹿しかいないよ...」
何やら唐突に目の前で喧嘩し始めたので少しの好機も見逃したくないイザベルは有利にするため、こっそりと風の魔法を3人の頭部に向かって狙い放つ。
すると大男が飛んでくる風魔法をすぐに察知したのか身を挺して2人を守る様に両手を広げ覆い被さり、イザベルの放った風魔法を背中で受け止めた。
身に纏っている黒い外套は風魔法を受け止めたことによって破れているが圧倒的に分厚い筋肉で守られているためか肉体に一切怪我はない。
「おいおい不意打ちとは良くねぇぜ?」
「それはあなた達の得意分野でしょう?」
「ぶはっ!間違いねぇ!」
不意打ちされたことに不満を思ったのか文句を言われるが普段から不意打ちするような人達に言われたくないとイザベルは言い放つと大男は吹き出し笑いだす。
「あのシスターは儂の魔法とは相性が悪い。ゴラスお前がいけ」
「おうよ。ゼリはどっちに行くんだ?」
「じゃあ僕はあの男の魔術師に行くね。楽そうだし」
どうやら目の前の三罪は誰が誰と戦うのかという相談はすぐに決まったようで足が悪いアーロウェル以外の2人は自身の標的に向かって走り出す。
迫りくる三罪を迎え撃つために各々は武器を構えると何処からともなく「待たせたな!」と声が聞こえたため、全員の動きはピタリと止まり声がした方向へと一斉に注目が注がれる。
近くにある木の上に1人の人影が見えたが、イザベル達にとっては聞いたことのある声でディザーはようやく来たかと言わんばかりににやりと口元が緩んでいる。
その木の上にいた人物は飛び降りると一番近くにいた三罪であるゴラスを思いっきり拳でぶん殴って吹き飛ばしイザベル達に合流した。
「遅いぞ」
「間に合ったんだからいいだろ!」
そう。突如として現れた人物はイザベル達にとっては見知った顔であり、ローランでギルドマスターをしているジールであった...。
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