185話
戦争が終わり平和になった王都からコウ達一行はいつも活動拠点としているローランへと戻っていた。
道中はトラブル等もなく、順調に旅は進みつつ、目の前の丘を越えると久しぶりに燦々と輝く真昼の太陽に照らされたローランの街並みが遠くからでも見えてくる。
「なんだか帰ってきた感じがするな」
「久しぶりですね〜」
「キューイ!」
しかしローランに入るためには城門の前へ多く並んでいる人の列に並ばないといけない様だ。
そしてコウ達を乗せた馬車は並んでいる列に到着するとローランに入るための長い待機時間が始まった。
こんな時、Bランクなら特別入口から並ばずにすんなりとローランへ入ることができるのだが、まだコウはCランクということで入れない。
とはいえ第一皇子のアンドリューからBランク冒険者になるための推薦状を貰っているので、いずれ特別入口から入れる様になるのが楽しみである。
まぁBランクになるには試験を成功させないといけないのだが...。
暫く王都を観光した際に購入した本を読みながら待っているといつの間にか馬車は城門の入口まで進んでいた。
受付をいつも通り行い城門をくぐり抜けると見慣れた街並みが姿を現し、帰ってきたんだなぁとしみじみと感慨に浸る。
「とりあえずどこに行くんですか〜?」
「冒険者ギルドに行きたいな」
コウとしては推薦状を早めに渡して試験の話だけでも聞いておきたいのでまずは冒険者ギルドに向かうこととする。
道中にある屋台から昼食として適当に買い漁って食べ歩きつつ、向かって行くと偶然ジャンとサラが冒険者ギルドから出てくるのが見えた。
2人は前会った時と変わらず元気そうで何よりだが、その2人の後ろをついていくようにフードを深く被った魔術師と思われる人物もいる。
「ジャンとサラ久しぶりだな」
「おぉコウじゃないか!久しぶりだな!」
「あら本当ね。久しぶり」
立ち止まって話すとジャンとサラはこれから依頼らしく、新しいメンバーとして後ろにいる人物が追加された様だ。
「新しい戦力のリリアだ!仲良くしてやってくれ!」
「初めましてぇリリアと申しますぅ」
「ん...コウだ。ジャン達とは同期で冒険者をしているからよろしく」
リリアと握手を交わすと風がふわりと吹き、深く被っていたフードが外れると尖った耳をし、おさげで金髪の可愛らしい女の子であった。
「はぅ!」
すぐにリリアは外れたフードを急ぎ両手で深く被り直してしまい再び顔は見えなくなる。
「すみません...恥ずかしくてぇ」
「いや気にして無いから別に良いぞ」
どうやら新しく追加されたメンバーはかなりの恥ずかしがり屋のようだ。
尖っている耳があったのでエルフだろうと予想が出来る。
「そういえばコウの後ろにいる美人さんは誰なんだ?」
「もしかして彼女さんかしら?」
そういえば2人はライラと初対面だったらしくコウもリリアと同じように紹介することにした。
「一応パーティを組んだライラだな。彼女では無い」
「もぉ〜一応って何ですか〜。初めましてライラと申します〜コウさんの彼女候補です〜」
「やめろライラ!話がこじれるだろ!」
「え〜そうですか〜?いいじゃないですか〜」
コウとライラのやりとりが面白かったのかジャン達は笑いその場は和んだ雰囲気となる。
「キュイキュイ!」
そしてコウの胸元に入っていたフェニが自分を忘れるなと言わんばかりに飛び出てきてジャン達にアピールをしだす。
「えっ!雷鳥様に似てるですぅ!」
リリアが急にコウの胸元から出てきたフェニを見ると同時に驚いているため、どうやらフェニについて何か知っている様である。
以前からフェニについてイザベルに調べてもらってはいるがまだ詳しくは分かっていなかったので、こんな場所で何か知っている人に出会えるとは思っていなかった。
「すまん。雷鳥様ってなんだ?」
「えっとですねぇ...」
詳しくリリアに話を聞いてみると雷鳥様というのはエルフの里で祀られている魔物とのこと。
フェニの姿は雷鳥様と大きさが圧倒的に違ったりするが、羽の色や嘴の形など似通っている部分があるためリリアは勘違いしたらしい。
ただ似ているという事はその雷鳥様とやらと同種である可能性が高いだろう。
「そういえばこれから依頼だったな。引き留めて悪い」
「いや気にすんな!まぁまた会おうぜ!」
ついついフェニの情報が得られる機会だったので引き留めてしまったことに申し訳なく思いリリアを解放してジャン達と別れていく。
そしてコウ達は目の前にある冒険者ギルドへ入るとそこはいつもと変わらないのんびりとした空気が流れる空間であった。
受付にはサーラがいつにも増して真面目に書類と向き合っており、入ってきたコウ達に気づいてはいない。
そんな真面目モードであるサーラの元へのんびりと歩いていき、受付の前へ立つ。
「本日の御用はなん...って!コウさん!?」
「久しぶりだなサーラ」
「もう!すぐにいなくなるんだから!今まで解体した報酬が溜まってたんですよ!」
ドンッ!と音を立て今まで解体倉庫にお願いしていた分のお金がまとめて目の前に出されたので回収していく。
「おぉ...いっぱいだな。いやそんなことよりこれをジールさんに渡してくれ」
第一皇子のアンドリューから褒美として貰ったBランクへの推薦状が入った封筒を収納の指輪から出し、自慢げに机の上へ置くのであった...。
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