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167話

「待たせたな。良さげなのを見繕わせてもらったぞ」


「おぉ凄いボリュームだな」


 肉を金貨1枚分見繕ってもらったのだが、持ってきてもらったのはハムやベーコンのように燻製された肉やまるでマンモスの肉の様な骨つき肉、ハンバーグやつくねの様に成形された様々な肉が目の前に置かれる。


 金貨1枚分としては少し多そうに見えるが、もしかしたら店主のサービスなのかもしれない。


「さて...回収回収っと」


「なるほど。珍しい収納の魔道具持ちか」


 机の上に山積みだった肉達が収納の指輪へ次々と吸い込まれる様に中に入っていくのを見た店主の男は少し驚くも納得した表情をみせた。


 普通ならこれだけの量の肉を頼めば何かしらの保存ができるような魔道具が無ければ腐ってしまい無駄になってしまうからだ。


「よし。これで最後だな」


 最後の肉を仕舞い込むとまだフェニは貰った肉を啄みながら気づかずに夢中に食べているし、1人での散歩中なのだからそっとしておくほうが良いだろうか。


「じゃあまた気が向いたときに買いにくるよ」


「おう。また来てくれ」


「うちのお肉を宣伝しておいてね!」


 別れを済ませて入り口へと向かい木製の扉を開いて店の外に出るとひんやりとした店内だったため少しだけ冷めていた身体を包み込む様に太陽の光が身体を暖めていく。


「さて次は冒険者ギルドか」


 ミルミートという肉屋に手紙を無事に渡し終えたコウが次に向かうのは冒険者ギルドであった。


 いつもなら依頼を受ける側だが、今回は珍しく依頼を出す側である。


「キュイキュイ!」


 後ろからも聞き慣れた鳴き声が聞こえ振り返るとそこには置いていくなと言わんばかりにこちらへバタバタと飛び、急いで向かってくるフェニの姿があった。


 フェニはコウに追いつくと頭の上に乗り、頭の中心部であるつむじ部分をぐりぐりと嘴の先で突いてくるが嘴が鋭いため穴が空いてしまうのではないのかと思うほど痛い。


「キュキュイ!」


「痛いって!1人で散歩中じゃなかったのかよ!」


 散歩中だったとはいえ、偶然会ったのにそのまま放置されてしまったのが気に食わなかったらしい。


 コウの頭を突き鬱憤をある程度晴らすことができて満足したのか今度はちょこんとあひる座りをしていつものように毛繕いをしだす。


 なんて自由なんだと思いつつ、冒険者ギルドに向かって大通りを歩いていると時々見知らぬ屋台の人から声をかけられ売っているものを手土産のように渡される。


 どうやら先程のミルミートという肉屋と同じようにフェニがふらりと寄った場所からの差し入れのようである。


 そのうち幸運の金色の鳥とか言われるようになるんじゃないんだろうか?


 そしていつの間にか冒険者ギルドへ辿り着いたコウとフェニは木製の扉を開けて中に入ると昼間のためか他の冒険者は出払っていて誰もいない。


 しかも受付場所を見るといつも事務作業等をしている筈のサーラやミラがおらず、他のあまり見ない受付嬢が暇そうに肘をついてあくびをしているのが見え、受付嬢はコウが入ってきたのに気づいたのかハッとした表情で身なりを整えだすので見なかったことにしたほうがいいのだろうか。


 とはいえライラがここ最近この冒険者ギルドに遊びに来ているはずなのだが、何処にいるのだろうと思い周りを見渡すと冒険者ギルド内にある酒場の場所でサーラとミラが一緒に椅子に座って談笑しているのが見えたので近づいていく。


「あれ~?コウさんいらっしゃいです~」


「あら、コウ君じゃない。私に会いに来てくれたのかしら?」


「違うに決まってるでしょ!こんにちはコウさん!」


 近くまで寄ると3人ともコウの存在に気づいたのか三者三様の反応を見せ、机の上にはクッキーなどのお菓子と湯気がふわりと浮かぶ淹れたばかりであろう紅茶が置いてあり、だいぶゆっくりとしていることが分かる。


「こんなところで油を売っててもいいのか?」


「やだなぁコウさん。ギルドマスターも他の冒険者の方もいないし休憩ですよ!きゅ・う・け・い!」


「そうそう。頑張りすぎるのも良くないのよね」


「細かいことは〜気にしちゃ駄目ですよ〜」

 

 何を言っても今の3人には意味がないと思いコウはジト目を向けながら諦めて引き下がる。


 まぁ本人達も休憩だと言っているのできっと問題はないはずだろうし、何かあった場合怒られるのはサーラとミラの2人だけである。


「そういえば〜何しにきたんですか〜?」


「ミランダから頼まれたんだよ。冒険者ギルドに依頼を出してくれって」


「依頼でしたら今の受付にいる子に依頼書を渡せば受け付けてくれると思いますよ」


 冒険者ギルドに何をしに来たのかを尋ねられたコウはミランダに頼まれたことをライラに話すと横から茶々を入れるかのようにサーラがクッキーを頬張りながら依頼の受付方法を教えてくれる。


「そりゃどうも」


「いえいえこれも受付嬢の仕事ですからね!」


 だったら今話を聞いたばかりのサーラが休憩をやめて依頼書を受け付けてくれればいいのにと思いつつ、先程まで暇そうにしていた受付嬢がいる場所まで歩いてく。


「依頼を出したいんだけど」


「サーラ先輩との会話が聞こえてたのでサクッと終わらせるね~」


 冒険者ギルド内にはコウとライラそして数人の受付嬢しかいないためか先程の会話内容が聞こえていたようで依頼を出す準備を先にしてくれていたようだ。


 受付嬢に依頼書を手渡すと手慣れた様子で依頼内容を確認し、別の書類を作成していく。


「これで依頼の内容を受け付けたからね。あとこれは依頼に関する書類だから渡してあげてね」


 作成された別の書類を渡されたので無くさないように収納の指輪へと仕舞い込み、夜までの時間を潰そうとライラ達のお茶会へ参加する。


 しかしそんな平和なお茶会も王都から急ぎで来た伝令兵の知らせによって終わりを告げるかのように事態は急変していくのであった...。

いつも見てくださってありがとうございます!


評価やブクマなどをいつもしてくださる方もありがとうございますm(_ _)m

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