163話
「うっ...頭痛てぇ...ここは何処だ?俺は確か...」
「リーダー大丈夫ですかい!?」
「お前らが居るってことは俺は負けたのか」
ロウェルは目が覚めるとズキンと頭が痛み手で抑え様とするが身体が柱に縛られているため動かずボヤけた目を動かし、周りの状況を確認する。
すると周りの捕まっている盗賊達が自身のリーダーが目覚めたのに気づいたのか喋りかけてきてロウェルは今の状況を少しずつ理解していく。
唐突に目の前の方向からギィっと扉を開ける様な音が鳴ると同時に光が一気に暗い場所を照らされ眩しさにより、薄目になってしまう。
「騒がしいと思ったらやっと起きたみたいだな」
逆光によって入ってきた2人が誰か分からなかったが、声を聞くとすぐに自身と先程まで戦っていたコウである事が分かったがもう1人のシスターの格好をした女は見に覚えが無い。
「寝覚は最悪だな。で...何しに来た?」
「あぁちょっと聞きたいことがあるんだがいいか?」
「どうせ捕まっちまったしまぁ何でも答えてやるよ」
最初抵抗されると思っていたのだが、意外にも何でも答えてくれるようなので縛られているロウェルの前でしゃがみ込んで視線を合わせる。
まぁ捕まってしまった以上、奴隷行きが確定している様なものだから答えてくれるのだろう。
いちいち痛めつけずに済んだのである意味手間が省けたのでラッキーである。
「じゃあなんでこの村を襲おうと思ったんだ?ローランから近いしリスクがあるだろ?」
「頼まれたんだよ」
「頼まれた?何処の誰に?」
「帝国の貴族様さ。近々戦争があるだろ?だから俺達傭兵に頼んでアルトマード王国内を荒らして来いってやつだ」
「は?」
ただの盗賊達と認識していたロウェル達は本来傭兵であり、帝国の貴族に雇われてやったという言葉が出てきて頭の中では情報の整理が追いつかずコウは開いた口が塞がらない。
「まぁこの村を襲っても訳の分からんゴーレムやお前みたいな強いやつがいて最悪だぜ」
やれやれとロウェルは首を横に動かしてため息を付きながら自分の不幸を嘆き始める。
「さて...どうしたもんかな」
「ローランの〜偉い人に任せればいいんじゃないんですか〜?」
帝国という存在が出てきた以上自身では対処しきれないと考える。
確かにライラの言う通り一番手っ取り早いのはローランへ目の前のロウェル達を引き渡して丸投げするのがいいだろうか。
ただ情報はあるに越したことはないので次の質問を少し考える。
「そういえばなんで俺の魔法を作り出す場所がわかったんだ?」
「魔眼って知ってるか?俺の目は魔力の動きが見えんだよ」
どうやらロウェルの瑠璃色の目は魔眼ということで魔力の動きが見えているとのこと。
本人に見えていたものは魔法を作り出す際に魔力が核を作り出し、その部分を中心として魔法が作り出されるらしくその部分に何かしら魔力の籠もったもので干渉が出来れば魔法を作り出されず打ち消せるというわけだ。
ロウェルは戦闘中に小石に魔力を込めてコウの魔法が魔法を作り出す際に出来る核に向かって魔力の籠もった小石で干渉させ、魔法を作り出す妨害をしていたようだ。
「なるほどな。そういうカラクリだったのか...厄介なわけだ」
魔眼を持っている者は数が少ないため、戦うことは少ないだろうが、いざ戦うこととなればかなり厄介な相手となる。
「じゃあ最後の質問だけど雇い主は誰だ?」
「あー...確かモーガスっていう貴族の名前であっちじゃそれなりの爵位で有名だぞ」
ロウェル達の雇い主である貴族の男の名はモーガスという男らしい。
どうやら帝国内での爵位は高いようなので、同じ貴族のイザベルにでも聞けばその人物がどんな人物かすぐに分かるだろう。
まぁこのような小細工を仕掛けてくる奴は大概碌でもない奴なのだが...。
「やり返してやりたいが難しいな」
被害としてそこまで大きく無かったがなんだかんだで世話になっている村であり、仲間であるライラの育った場所でもあるため安全圏からちょっかいを掛けられるのは不愉快である。
なんとかしてモーガスに一泡吹かせたいが相手は貴族でもあってなかなか会える存在でもないし、わざわざ帝国まで行かないといけないので厳しい。
「あぁそういえば冒険者ギルドが兵士を募ってたけど...」
確かに冒険者ギルドは帝国との戦争のために兵士を依頼として募集していたが、別にコウ自体は特にこれといって恨みなどはないし、帝国に行くために戦争に参加して知らない兵士達を殺めるのは気が引ける。
「モーガスに会いたいなら戦争に参加することだな」
「戦争に参加したら会えるのか?」
「貴族の中でも武闘派でもあるから戦争には出てくるだろうよ」
戦争に指揮者として出てくるならば話は別だ。
ローランでは多少なりとも名が上がってきたコウであるのだが、王都や帝国からしてみれば無名であるコウが唯一モーガスにアポ無しで直接会える機会のある場所なのだから。
「うーん...どうするか。まぁイザベルの護衛として参加して行くのも悪くなさそうだ」
イザベルも貴族として戦争には参加するだろうし、護衛として付いていけば何れモーガスと会う機会も巡ってくるだろう。
「よし。良い情報も得たしそろそろローランに戻るかな」
よいしょっと小さく呟いて重い腰をあげて立ち上がると長時間しゃがみ込んでいたせいなのか膝がパキパキと鳴り、固まった背筋を伸ばす。
「おいおい!色々教えてやったんだから多少なりとも優遇してくれ!」
「お~村長に少しだけ口添えしといてやるさ」
ひらひらと手を振りその場から去っていくコウを身体が柱に縛られている為か目でしか追えず、ロウェル達の悲痛な叫びがクルツ村に木霊するのであった...。
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