157話
「回収回収っと」
辺り一帯に血の匂いが充満しているので他の魔物が寄ってくる前にコウはぴくりとも動かないインビジブルスネークの切り離された頭と首から下の胴体部分を収納の指輪の中へささっと仕舞い込む。
ここまで大きいと素人のコウでは簡単に解体出来ないので冒険者ギルドの横にある解体してくれる倉庫へ持っていく必要があるだろうか。
次に中央にある1本の木の根本へ向かい冒険者ギルドに提出するために行方不明だった冒険者の遺品を回収しておく。
「それにしても何でこんな所にあんな魔物がいたんだろうな」
基本的に強い魔物は魔力が豊富だったりする死の森などに生息している筈なのだ。
「あっ!コウさん〜ちょっと来てください〜!」
木の根本で行方不明だった冒険者達の遺品を集めていたライラが何かを見つけたらしく、こちらを呼んでいるのでコウはライラのいる場所へと小走りで駆け寄る。
ライラの見ている方向を見てみると木の根本には複数人が横一列に並んでも入れるぐらいの大きな穴がぽっかりと空いており、その奥にはダンジョン都市アルクで目にしたダンジョンと似たような煉瓦の階段が地下深くへと続いていた。
「これはダンジョンか?」
「じゃないですかね〜?入ってみますか〜?」
「いや...何があるか分からないしやめておこう」
この森にダンジョンがあるということは聞いたこともないのでつい最近、出来たばかりのダンジョンなのだろう。
まぁ出来たばかりのダンジョンといっても先程のインビジブルスネークみたいな強力な魔物は存在しないだろうがわざわざ入る必要性も無い。
もしかしたら先程のインビジブルスネークは出来たばかりのダンジョンから出る濃い魔力に釣られて死の森からやってきたかもしれない。
そうなると他の強い魔物達も濃い魔力に釣られて同じ様に集まってくる可能性があるため、早めに冒険者ギルドへと報告して対応してもらう方が良い筈だ。
「とあギルドに戻って報告だな」
「少しだけ気になっちゃいますけどね〜」
「まぁ気になるけどさっさと回収して帰ろう」
まだ時間帯的には昼を過ぎたぐらいであるためローランへ着く頃には大体夕方になるだろうか。
「あっ...やり忘れてたことあった」
ライラの集めた遺品をインビジブルスネークと同じ様に収納の指輪の中へ仕舞い込みローランへ帰ろうとすると1つだけやり忘れたことを思い出す。
それはこのダンジョンへの入り口がある場所へ目印をつけることだ。
地図があれば良いのだが、地図自体値段は高くコウの手元にはそんなものはないため別の方法でわかりやすい目印をつけないといけない。
「わかりやすくしないとな」
コウはひらけた場所の端部分で魔力を込めると地面から3Dプリンターで形作る様に氷が地面から盛り上がっていき、最終的に中央にある木と似ているがそれよりも一回り二回りも大きい氷で出来た木が完成する。
氷で出来た木は精巧に作られているためか美しく、陽の光が当たると氷の中で反射してきらきら輝いているので普通の人が見たら価値のある物と間違えてしまいそうな程だ。
フェニも初めて見た氷で出来た木が気になっているのか枝別れしている部分へと止まったりしている。
問題があるとすれば目立ちすぎるせいで何も知らない冒険者が来る可能性が高いという事なのだが早く帰って報告すれば冒険者ギルド側が注意喚起をして寄らせない様にしてくれるだろう。
「すごい目立ちますね〜遠くから見てもわかりやすそうです〜」
「まぁこれで十分だろ。さて帰るか」
「キュイ!」
わかりやすい目印も出来たのでコウ達一向はローランにある冒険者ギルドへ南の森にダンジョンが出来ていたことを報告するためフェニに帰る道を案内してもらいながら急足で戻るのであった...。
■
夕方。それは朝、冒険者ギルドから依頼を受けて出て行った冒険者達が依頼をこなして戻ってくる時間帯である。
そのためコウ達も南の森から戻ってきた時には既に長蛇の列が受付前へと並んでいたため、諦めて1番後ろに立って並んでいたが、時は経ち目の前にいる1組の冒険者達が終われば受付が出来るところまできていた。
冒険者ギルドの中は帰ってきた冒険者達のせいでツンとした酸っぱい汗の匂いを感じ鼻の良いコウにとっては少しだけ苦痛の時間である。
「次の人いいわよー...ってコウ君じゃない。久しぶりね」
「ミラか。久しぶりだな」
久しぶりに会うミラに軽く挨拶をしつつ、受けた依頼の書類と遺品を机の上に出されたトレイの上に出す。
そして今日あった出来事のインビジブルスネークの存在、ダンジョンに似たような物が発生していた事について手短に説明していくとミラの表情が段々と真剣になり、手元の近くにあった用紙にメモを取っていく。
「ふぅ...ありがとう。ダンジョンの件はこちらで対処させてもらうわね」
「あぁ任せた」
コウの話を聞き終わると冒険者ギルド側が対応してくれるらしくミラは一息付いてお礼を言いつつ、依頼の報酬であるお金が多く詰まってそうなパンパンに膨らんだ小袋を机のトレイの上へと置くので、さっと回収して収納の指輪の中へと仕舞い込む。
「じゃあ伝えることも伝えたし帰らせてもらうぞ」
「またよろしくね」
長々と話していても後ろで待っている冒険者達に悪いので帰る旨を伝えてその場から離れ、次々と雪崩の様に冒険者が入ってくる入り口を通り抜け外に出ると胸いっぱいに新鮮な空気を吸い込んだ。
その後、コウ達は冒険者ギルドの横にある魔物を解体してくれる解体倉庫へ向かい倒したインビジブルスネークを丸投げして1日の疲れを癒すべく美味しい食事ができそうな場所探し始めるのであった...。
いつも見てくださってありがとうございます!
評価やブクマなどをいつもしてくださる方もありがとうございますm(_ _)m
ツイッターでは最新話など呟いたりしています。
https://twitter.com/whHpxuVtbmePgSU




