表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
277/1184

269話 雨?

「うわっ、凄い寒さだな。大丈夫か?」


「うん」


宿から出た瞬間、出てきた事を後悔する寒さに体が震える。

タブロー団長は急がないと言っていたし、もう大丈夫とも言っていたがフレムが頑張ってくれた魔石。

復活させたのだから、ローズさんに届けたい。

だって、まだ必要なはずだから。


「手袋しててよかったです。ドルイドさんも買ったらいいのに」


「俺は良いよ。何かあった時にこの手袋じゃないとしっかりと剣を握れないから」


私が渡した剣だけど、ちょっと後悔。

でも、ドルイドさんが元々持っていた武器も剣だから、私が渡さなくても同じなのかな?


「そう言えば、その剣は大丈夫ですか?」


ソラとフレムが共同で作りあげた剣。

一度だけ持たせてもらったけど、私が知っているどの剣より軽くて驚いた。

ドルイドさんのそれまでの剣とはかなり違うと言っていたから、慣れるのに大変だったのではないかとちょっと心配していた。


「この剣、凄いぞ。少し振ってみたんだが腕の負担が少ないんだ。それに手になじむ感じがあって使いやすい」


心配していたけどよかったみたい。


「そっか。よかった」


本当の事を言えば、片腕のドルイドさんに渡していいか迷った。

でも、それまで剣で仕事をしてきたドルイドさんにとって、剣はなくてはならない物だったから。

だから、自由に使って下さいと渡した。


「ん? どうしたんだ?」


ドルイドさんの姿を見る。

腰から提げている剣は、最初は少し違和感を覚えた。

でも、今はとても似合っている。

ただ、剣の持ち手? の部分に嵌っているSSかSSSの魔石が布で隠されているのは残念だ。


「いえ、似合ってるなって」


私の言葉に嬉しそうに笑うドルイドさん。

やっぱりドルイドさんに渡して正解だったな。


「うわ、どの店も開いてないな」


大通りに出ると全く店が開いていない。

しかもそのせいか、人がいないし、お昼なのに薄暗い。

なんとなく恐い。


「ドルイドさん、早く行こう」


彼の服の裾をギュッと握って歩き出す。


「店が閉まって人がいないだけで不気味な印象になるもんだな」


ドルイドさんの言葉に頷く。


「今日は、森へも行くから急ごうか」


「うん」


今日の予定はローズさんに魔石を渡したら、森へ行くことになっている。

シエルの食事のためと、この冬最後のポーションの確保が目的。

しばらく歩くと、ローズさんのお店が見える。

やはりローズさんの店も閉まっているが、気にせず扉を叩くドルイドさん。

前回来た時に、今日来ることを決めていたので問題ない。


「寒かっただろう、すぐに入っておいで」


中から声が聞こえるので扉を開けて中に入る。


「タブローから聞いたよ、酔い潰れて迷惑掛けたんだってね。それにアイビーにも」


私?

えっと、迷惑をかけられた覚えは全くない。


「私は違いますよ」


急いで否定しておくけど、なぜかドルイドさんに頭を撫でられた。


「相変わらずだね。まぁ、それがアイビーなんだろうね」


「そうなんですよね」


えっと、ものすごく2人に微笑ましく見られている気がする。

恥ずかしくて、顔が熱い。

これ絶対、赤くなってる!


「魔石です。どうぞ」


誤魔化すために、バッグから急いでフレムが復活させてくれた魔石を取り出す。


「ありがとう。本当に無理はしていないね?」


ローズさんは受け取った魔石の量を見て、ドルイドさんと私に確認してくる。

それに頷いて、大丈夫と伝える。

フレムの体力がついてきたためなのか、魔石を復活させる量が増えているのだ。

それも急激に。

ただし気になるのは、フレムの体にあるシミ。

どうも大きくなってきている。

ドルイドさんに聞くと、彼も気になっていたようだ。

だが、ソラとシエルに聞いても特に反応がなかったので大丈夫なのだろうけど。

分からない事が起こっているのは怖い。

早くあのシミが何か分かればいいのだけど。


「あのローズさん。使用済みの魔石ってまだありますか?」


フレムの復活させる量が多くなるにつれ、貰った使用済みの魔石は減る。

そろそろ補給が必要になってきた。


「えっ、あんなにあったのに……いや、今まで貰った量を考えると無くなるか。まだあることはあるけど、フレムを休憩させなくていいのかい?」


何度もフレムには言っているが、正直楽しそうに復活させているので強くは言えない。

それにあの子たちはとても頭が良いので、無理はしないと思う。


「休憩が必要ならフレムが自分でやりますよ。あの子たちはアイビーを悲しませる事は絶対にしませんから。だから無理はしていないと思います」


ドルイドさんの言葉にローズさんが頷く。


「ちょっと待っておいで」


ローズさんが、店の棚の下にある木箱を取り出す。

蓋を開けると、大量の使用済みの魔石。


「凄い量ですね」


「ハハハ、捨てに行くのが面倒くさくてな。気が付いたらこうなっていた」


それにしても多い。

魔石を1つ手に持つと、蓋がしてあったのに少し埃がついている。

相当放置された使用済みの魔石の様だ。

貰った魔石をバッグに入れ、森へ行く用事があることを伝えて店を後にする。


なるべく夕方までには宿に戻りたい。

森に向かって村を歩いていると、小雨が降りだした。

慌てて屋根のある場所まで走る。


「どうしよう?」


「降り続くようなら、明日にしようか?」


「うん」


「……おかしいな?」


ドルイドさんが空を見ながら首を傾げる。

私も空を見るが、何がおかしいのか分からない。


「ドルイドさん? どうしたの?」


「今日は凄い寒いよな?」


「うん、昨日より冷えてるよ?」


「なのになんで雪ではなく雨なんだろう?」


ん?

そうか、ここまで冷えていれば雪のはずだ。

でも、雨だよね?


「今日は湿度も高くない、間違いなくこの寒さなら雪になるはずだけど」


湿度の事は良く分からないけど、何かがおかしいのかな?


「あっ、止んだ」


ドルイドさんの声に空を見ると、先ほどより明るくなっている。


「大丈夫そうだね?」


「あぁ、天気が変わる前に行こう」


門番さんに森へ行くと言うと、かなり驚かれた。

心配されたので、とりあえず行く方向を伝え森の中へ進む。

周りに人がいない事を確認してから、バッグを開ける。


「ぷっぷぷ~」


「にゃうん」


2匹が勢いよくバッグから飛び出す。

この頃は、2匹の邪魔をしないように少し体をのけ反らせた状態でバッグを開ける。

そうすると思いっきり飛び出せるのだ。

その時注意するのが上。

木の枝が伸びていたりすると、そのまま突撃する。

1度だけ、ソラが枝にぶつかった振動で上にいた動物が私の上に落ちてきた事があった。

あれは怖かった。


「フレム?」


バッグの中でお休み中。

捨て場に行ってからもう一度声をかけよう。


「にゃうん」


アダンダラの姿に戻って伸びをしているシエル。

やっぱりスライムの姿だと窮屈なのかな。


「シエル、気を付けてね。魔物しかいないだろうから無理しないでね」


「にゃうん」


大丈夫だと思うけど、狩りに行くシエルを見送るこの瞬間が一番不安だ。

今日も無事に帰ってきますように。

狩りをするために森の中へ走り去るシエルを見送ってから、捨て場へ向かう。

といっても、ここからかなり近い場所だ。

なので、シエルが帰って来たらすぐに分かる。


「さて、ポーションと剣。それと使用済みの魔石でしょうか」


といっても使用済みの魔石と普通の石の区別がつかないんだよね。

灰色の石なんてどこにでも転がっているんだもん。

まぁ、頑張ろう。


「フレム、捨て場に着いたよ。起きられる?」


「てりゅ~~~」


眠そうだな。

でも起きたいようなので、フレムをバッグから出す。

足下に置くと、コロコロコロっとソラの傍に近寄っていく。


「ソラ、フレム、怪我をしないように気を付けてね」


「ぷっぷぷ~」


「てっりゅりゅ~」


元気な2匹の声。

フレムもしっかり目が覚めたのか、元気に返事をしてくれた。

これだったら問題ないな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
読み返し中です。 雪が降らずに雨が降る。 不穏だぁ〜
[一言] 剣の持ち手? 日本刀なら「柄」、西洋剣なら「グリップ」ですな 柄の先端は「柄頭」、グリップの先端は「ポンメル」 まぁ、武器に興味の無いアイビーちゃんなら、知らなくて当然だけど
[良い点] 面白すぎて何回も読み返してます!! [気になる点] フレムは普通の石でも魔石にできると前に書いてあったような気がするのですが、使用済み魔石しか使わないのでしょうか、、?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ