第九十四話 反撃は凄まじく
これは当たりってことだな。それならまた胴体に攻撃を集中させようか。【ヒートチャージ】も発動させよう。さっきと同じ状態なら攻撃のチャンスだからな。畳み掛けるぞ。
それからキングインクが顔を上げるまでの間、クロードは【ヒートチャージ】を含め可能な限りたくさんの数の攻撃を浴びせ続けたのである。これがダメージとして効いているのであれば次の瞬間にも光となって消え去っても良いほどのダメージをクロードは叩き込んだ。
そしてキングインクは再びクロードの方を向き、水中に隠れていた胴体部分を持ち上げるようにして地上に見せた。そしてやはり吸い込まれそうなほどに大きく暗い口のようなものが開かれていた。
……倒しきれなかったか。さっきと同じ行動パターンなら訳の分からないあの変な液体がぶっ放されるってことかな。回避に徹しないとあの攻撃は避けられないんだよな。
クロードが考えていたように大きく開かれた口のようなものからやはりどす黒い球体が現れたのである。ここまでは先程のものと同じである。しかし今回のものは先程のものと異なる点が1つだけあった。
……気のせいか? ……いや気のせいじゃねぇ! さっきの球体よりかなり大きいぞ! 確実に逃げないと危険すぎる!
先程よりも3倍以上膨れ上がったサイズの球体が現れ、さらに恐ろしい勢いで放たれたのである。その勢いは凄まじくあまりの勢いに水面が凹んだほどであった。直撃すればいかに装甲が厚いラマーレであってもひとたまりもないだろう。
……すげ。
その勢いを最も間近で見ていたクロードはあまりの衝撃に言葉を失っていたのである。やがて我に帰ったクロードはクイックガトリングのレバーに手をかけてキングインクの方に顔を向けた。するとどうだろう、キングインクは今が攻撃のチャンスであるかのようにまた顔を下に向けているのだ。
攻撃のチャンスでもありこの後凄まじい攻撃が来ることでもあるこの状態を見てクロードは胴体に攻撃を仕掛けるのか一瞬迷ったのである。なにしろ先程1回目よりもさらに凄まじい威力の攻撃が放たれたからである。3回目があればもっと威力が凄まじくなるに違いない。
とは言え攻撃しなければ倒すことは不可能である。クロードは迷いを振り払ってレバーを回転させ始めた。そして6発放つことができる弾丸の僅か1発目がキングインクの胴体に着弾したその瞬間。キングインクは光となって消え去ったのである。
《タスクを1つ完了しました。すぐにスタラジア帝国に帰還しますか?》
お……終わったぁ。終わってみたら呆気なかったな。キングインク討伐。……ふふ、最初に遭遇した時は討伐はおろか戦闘すらさせてもらえなかったけど、戦闘さえ始められれば何とか討伐出来るモンスターだったな。それじゃあドロップアイテムを回収して帰還するとしますか。
ドロップアイテムは……3個だな。数で言うとエルダートレントと同じくらいか。……難易度は遥かにこっちの方が高いんだからドロップアイテムの数も増えると思ったけどな。……まあ良いや。そんなことを気にしててもしょうがないもんな。
《波打つ大腕を手に入れた》
《色褪せぬ墨液を手に入れた》
《金の宝箱を手に入れた》
お! 金の宝箱じゃないか。エルダートレントの時のことを考えるとこれの中身は設計図だな。早速開けてみるか。
《金の宝箱を開けた 金の設計図(海)を手に入れた》
やっぱりな、金の設計図だと思ったよ。つまり中身はキングインクに関係する武器パーツってことだよな? 所持金的には全然ピクトさんには預けられるんだけど、虹の設計図を早く預けたいからね。今回は節約だな。それじゃあ帰還するとしますか。
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スタラジア帝国
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ウィンドウに従ってクロードは無事スタラジア帝国に帰還した。今のところ鍛冶屋には用事が無いために特に寄り道はせずにまっすぐ格納庫へと戻るとすぐにタスクの報告のためにクロードは教官室へと向かったのである。
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教官室
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クロードがノックしてから教官室へ入るとこちらへ顔を向けたまままっすぐ見つめているレオと目が合ったのだ。どうしてこちらをまっすぐ見ているのか気になりつつも報告のためにクロードは前に進んだ。
「……クロードか、タスクの報告だな」
「そうです」
「……確かにタスクは完了している。想定よりも遥かに早い完了に正直言って驚きを隠せない。私にその権限があるなら今すぐ一等騎士に昇格させたいくらいだ。……まあ君なら時が経てば一等騎士になるのもそう不思議な話では無いな」
感慨深そうにレオはそう呟いた。そもそも二等騎士昇格タスクの報告なのになぜ一等騎士の話が出てくるのか。クロードはそこが不思議であったが感慨深そうにしているレオの邪魔をする訳にもいかない。黙っているとそれに気付いたレオが微笑んでいた。
「あぁ、すまない。そんなことを言っても仕方がない事だな。これはタスクの報酬だ。受け取るが良い」
《アクィラが使えるようになった》
《クラウンレーザーを手に入れた》
読んでくださりありがとうございます。
キングインクの更なる特徴は攻撃のチャンスとも思われる時間は次の反撃のチャージ時間であり、チャージ時間中はダメージをカットしない代わりに食らったダメージを倍にして放出するというものです。そしてチャージ中に倒れることはありません。……強くさせ過ぎました。
さて、報酬で貰ったアクィラとクラウンレーザーとは一体何なのでしょうか。




