第七十七話 大きな船体は揺れる揺れる
こうしてクロードは近場でバイトシエルを探すことにしたのである。しかし残念ながらバイトシエルらしきモンスターは1匹も見当たらなかったのである。探せども探せども見当たらない事からどんどんクロードは奥に進んで行った。やがて見覚えのある場所にたどり着いたのである。
……おっと、そろそろ注意しないと危ないな。体感的に多分この辺りで前回キングインクと遭遇したんだよね。さすがにキングインクレベルのモンスターがランダムで遭遇するのは考えられないから、キングインクはいつも同じ場所で遭遇すると考えられる。……となるとそろそろ生息圏に侵入することになるね。刺激しないように注意して進まないと。
クロードが慎重なのは理由がある。それはラマーレでは間違いなくキングインクを倒すことが出来ないと分かっているからである。キングインクの吹っ飛ばし攻撃をなんとか回避するつもりでいるクロードは挑む時は速度が出来るだけ高い機体で挑みたいのだ。
であるなら倒すつもりが無い以上無闇に刺激する必要は皆無である。クロードはバレないようにこっそり慎重に通過しようとしていた。しかし実はそれは不可能な話なのであった。
そもそも最初の遭遇が【エイミング】による攻撃であったためにクロードは勘違いしているが、キングインクは近づくもの全員が攻撃対象であり、その索敵から逃れてこっそり通過する事は実質不可能だからである。
……おかしいな。通過したいだけなんだけどな。えらく怒った様子で勝手に出現したんだけど、これそう言う仕様か?
クロードの目の前には縄張りへの侵入者を排除するため怒りの表情を浮かべているキングインクの姿があった。それを見てクロードはこの状態のキングインクからラマーレに乗った状態で退避するのは不可能と結論付けた。バイトシエルが近場で見つからなかったことから奥へ行きたいためにわざと吹っ飛ばし攻撃を受ける覚悟を決めたのである。
前回は吹っ飛ばし攻撃を回避した後の大波で流されちゃったんだよな。だから直撃だとどれくらいのダメージかは正直分からない。……直撃だと一気に撃墜も有り得るかもしれないな。出来る限りの回避は試みようか。
覚悟を決めたクロードを見下ろしながらキングインクは右腕を大きく掲げた。回避のためそれを見たクロードは全速力で左側へ旋回した。それが功を奏してかギリギリで吹っ飛ばし攻撃の回避に成功。後は生じた大波に身を委ねて奥へと流されるだけである。
……ふぅ、なんとかなったな。今回分かったのはキングインクとは同じ場所で遭遇するって事と、バレずに通過するのは不可能って事だな。コールバの海のタスクをこなすにはほぼ間違いなく通過しないといけないんだよね。……毎回ああやって吹っ飛ばされる必要があるのか。ちょっと精神的にキツイな。
まあ、それはひとまず置いておいて、とりあえずバイトシエルを探そう。さっき軽く索敵した感じだとモンスターのシルエットが浮かんで見える感じなんだよね。
前回は夜だったから闇雲に索敵に引っかかり次第攻撃を仕掛けるしか無かったが、これは中々楽なもんだ。……お、バイトシエルっぽいシルエット発見。さて、それじゃあ戦闘開始と行きますか。
クロードは貝のシルエット目掛けてクイックガトリングを1発放った。水中から飛び出させるにはその1発で充分である。飛び出して来たのは予想通りバイトシエルである。
飛び出して来るや否や噛みつき攻撃を仕掛けようと接近して来た。距離を取りながらクロードは通常射撃を止めない。当たった際にバイトシエルが止まるのもあって速度の低いラマーレでも追いつかれることなく攻撃を続けられた。今のところは順調である。
前回戦った時より小さい範囲での移動を心がけてクロードはバイトシエルに攻撃をし続けていた。それは前回【エイミング】を頼りに攻撃し続けた結果他のバイトシエルにまで攻撃を仕掛けてしまい複数での相手を強いられたからである。
バイトシエルは1匹ずつならそう面倒な相手では無い。もうそろそろ倒せる頃かな。そうクロードがのんきに考えていたその時手痛い攻撃を食らったかのように船体が大きく揺れた。
どこから食らった⁈ しかも結構な攻撃だぞ? ……バイトシエルが遠距離攻撃を仕掛けた訳では無い。なら他のモンスターが乱入して来たのか?
……もしやあれか? 全体こそ見えないが、明らかにそこにモンスターがいるぞ。
クロードの視線の先にはゆったりとした動きを見せている魚影があった。それだけではない。その魚影からまっすぐ上空目掛けて大きなヒレが顔をのぞかせていたのである。
読んでくださりありがとうございます。
クロードは思わぬ手痛い攻撃を貰ってしまいました。戦闘に乱入してきたこのモンスターはいったい……? バイトシエルはもうじき倒せるとは思いますが複数相手だと攻撃を当てるのがシビアになるので出来るだけ早く倒したいところです。




