第六十五話 クイックガトリング
……先に大きい方から倒す予定だったんだが、そう上手くはいかないか。ツガイヤンマは共食いの後速度が結構上がる。迫られる前に倒さないとね。
クロードは共食いが終わってツガイヤンマがこちらに顔を向けたタイミングでカバーを外して黒く輝くスイッチを押し込んだ。向こうから近づいて来るのだから銃身より内側まで迫られ無いよう気を付けさえすれば当てるのはそう難しい事では無い。
凄まじい炸裂音と共に発動した【エクスプロージョン】によってツガイヤンマは迎撃され光となって消え去ったのであった。
……ふぅ、まあ何とかなったな。ツガイヤンマの共食いは結構びっくりするけど上昇する速度に対応さえ出来ればそう難しいモンスターじゃないからな。前回よりも楽に倒せた気がするよ。さて、ドロップアイテムを回収して帰還しようか。
《見通す薄羽を手に入れた》
《ヤンマのお頭を手に入れた》
お、今回も2種類手に入ったな。……考えるに共食いさせてから倒すと2種類のドロップアイテムが手に入るのかな? これを納品するタスクは今のところ見た事が無いけど無いよりは有る方が良いからね。ありがたく貰っておこう。……それじゃあ帰還だな。
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スタラジア帝国
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……ふぅ、帰還出来たな。今回のタスクは比較的楽だったな。次やるタスクもこれくらい楽だと良いんだけど、真珠の尖牙の納品……つまりバイトシエルを討伐しなきゃいけないんだよなぁ。しかも最大数の納品を目指すならあと2体倒す必要がある。
せめて確実にバイトシエルが出る特徴でもあれば楽なんだけど、無さそうなんだよな。キングインクはもちろん、ナップスクイードでも面倒だよ。……ま、2体ともすぐに見つけられることを祈るとしようかね。
手持ちのパーツの珠は……無いのか。まあでもピクトさんに金の設計図(海)を預けているからな。武器パーツを受け取るだけになっちゃうけど鍛冶屋に行きますか。
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鍛冶屋
――
「……おや、お前さんか。渡された設計図の武器パーツは既に出来ておるぞ。受け取るが良い」
《クイックガトリングを手に入れた》
クイックガトリング? 設計図(海)から出来た武器パーツだから多分砲系統か何かだよな。だとしたらクイックって付いているって事は早撃ちとか弾丸速度とかに期待して良いって事かな? 性能を確認しようか。
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武器パーツ
クイックガトリング(砲)拡張スロット:ヒートチャージ、1
攻撃 +10 速度 +20
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おぉ、色々と興味深いな。まず、系統は砲で合っていたな。まあオーソドックスな海戦用の武器パーツは砲系統なんだろうな。多分どの機体にも付けられるだろうから汎用性が高そうだ。
次に装備ボーナスだな。速度にこんなにボーナスがかかっているのは珍しい。今まで速度にかかっていたボーナスはマイナスばかりだったからかなり嬉しいボーナスだよ。……まあ名前のクイックの理由が装備ボーナスで速度が上がるからって言うだけの可能性もあるから嬉しく無いとも言えるけどね。
そして拡張スロットだが、……すでにスキルが1個入った上でもう1つ開いているって事だな。メテオライフルの【エクスプロージョン】みたいなイメージで良いだろう。入っていたスキルは【ヒートチャージ】……。名前からすると多分【エレキチャージ】に似たスキルだろう。まあ確認すれば分かるか。
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ヒートチャージ
一定時間の溜めの後、直線上に250%の炎熱攻撃
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うん、予想通り【エレキチャージ】に似たスキルだったな。……海戦で炎熱攻撃とはどうなんだろう? 海に触れた途端に消えて不発とかやめてほしいんだが、……まあ撃てば分かるか。これの検証は後に回そう。
ところで今の所持金っていくらだ? 把握しておかないと設計図を預けて良いかの判断がしにくいんだよな。……ええと、14500Gか。判断が難しいな。タスクをこなせば一定のお金が確実に手に入るなら手持ちの普通の設計図をいくつか預けたって良いんだが、お金が手に入る保証が無いんだよな。
せめて申請前のタスクで何が貰えるか教えてくれたら判断しやすいんだが……、まあ出来ないことを考えても仕方ないな。今回は……うん、何も預けない事にしよう。節約は大切さ。
特に設計図を預けないことに決めたクロードはピクトに軽く挨拶をして鍛冶屋を出るとタスクの報告をするために教官室へ向かったのであった。
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教官室
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「クロードか、タスク完了の報告だな」
「そうです」
「……確かにタスクは完了している。目的のモンスターの討伐に依頼者もとても満足しておられた。これはタスク達成の報酬だ。受け取るが良い」
《15000Gを手に入れた》
……お? これだけ? いやお金は嬉しいし、何ならこれだけあれば金の設計図(陸)が預けられるから助かるんだけど……、他にパーツの珠とか設計図とか無いのか? あ、そうか。これはあれだ、スペシャルタスクに繋がるんだ。きっとそうに違いない。
「そして、クロード。君の働きぶりを見て依頼者から更なるタスクが君宛に寄せられている。つまり、スペシャルタスクの発生だな。……受けるか?」
タスクの報酬にやや困惑したクロードだったがスペシャルタスクに派生するのではと考えひとまず落ち着いたのである。そして予想通りレオからスペシャルタスクの打診がなされたのである。その言葉に安堵した表情で胸を撫で下ろすとクロードは口を開いた。
「もちろん、受けます!」
「そうか、それではこのスペシャルタスクの申請を受けよう。タスク一覧を確認し、完了出来たならば報告して……」
「失礼します‼︎」
レオが話している途中で騒々しく扉が開かれると見知らぬ人物が駆け込んで来たのである。服装に見覚えが無いことから騎士では無い事だけしかクロードには分からなかった。
読んでくださりありがとうございます。
クイックガトリングは一風変わった操作方法の武器パーツです。装備してタスクに向かう時が楽しみですね。……さて、レオの話の途中で知らない人物が騒々しく入って来ました。イベントの発生という訳ですね。




