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踏み台令嬢に転生したのでもふもふ精霊と破滅フラグを壊します! 気づけば王子様ホイホイ状態なんですが!? 完結  作者: まほりろ・ネトコン12W受賞・GOマンガ原作者大賞入賞
二章「学園編&陰謀編」

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47話「しばしの休息。忍び寄る影」




国王の断罪が終わった後も、会議室では話し合いが続いている。


父は、派閥の貴族と今後のことを話し合わなくてはならない。


ユリウスは会議の中心人物なので席を外せない。


まだ学生に過ぎず、ユリウスの婚約者でもない私は、会議室を追い出されてしまった。


ルシアンと共に客間に移動し、会議が終わるまで待機しているように言われた。


先に実家に帰ることもできるが、父に止められた。


理由は2つ。


1つ目は、父と同じ馬車で来たので1人では帰れないこと。


2つ目は、2人の王子から求婚されたこともあり、1人で帰るのは危険と判断されたこと。


1日で情勢がガラリと変わった。

 

今や私は注目の的。


こういう時は迂闊に一人にならない方がいい。


ルシアンと二人でお父様が来るまで、お茶とお菓子を堪能しましょう。


「疲れた〜〜。

 早く家に帰ってシャワーを浴びた〜〜い」


ソファーと背もたれに体を預け、深く息を吐いた。


久し振りによそ行きのドレスを着たので、疲労が倍増しています。


自宅に帰ってパジャマに着替えて、布団でゴロゴロしたいです。


『俺様の背中に乗れば、あっという間に公爵家に着くぜ』


ソファーでくつろぎながら、ルシアンが呟く。


「そういうわけにはいかないわ。

 昼間だし、ドレスだし、人目もあるもの」


頭カチコチの年寄りに、お転婆だとか、はしたないと言われるに決まっている。


とは言え、ルシアンに乗って帰れたら楽よね。


『俺様もなんか疲れたぜ』


ルシアンがソファーの上で体を伸ばす。


「お疲れ様。

 マッサージしてあげようか?」


『本当か?』


「うん、カイム殿下から守って貰ったからお返し」


『やったーー!』


しばらくはルシアンと二人きりだし、彼のマッサージをしながら時間を潰しましょう。


久し振りにもふもふを思う存分堪能できて、私も嬉しい。


ルシアンと同じソファーに座り、耳から、首筋、顎にかけて撫でていく。


『アンジェのマッサージが一番気持ちいいぜ』


「そうでしょう」


前世で犬のマッサージ動画を見まくったのがここで生きているわ!


『そう言えば、アンジェはユリウスに好きって伝えなくて良かったのか?』


「もう、冷やかさないでよ」


バタバタしていてプロポーズの返事をしてませんでした。


みんなの前でなければ、ユリウスに「お慕いしています」と伝えられたのに。


できればそのまま口づけを交わしたかった。


ユリウスの部屋に移動し、イチャイチャしたかった。


現実は、チューすらしてない。


正式に婚約したわけではないから、暫くは清い関係を続けないといけない。


特に私はエドモンドとの婚約破棄や、カイムからの電撃プロポーズもあって、一部の貴族に身持ちを疑われている。


普通の令嬢より貞淑な行動が求められている。


ユリウスと密室で二人きりにならないように注意して、婚約までは手も握らないようにしないと。


でも……やっぱりチューぐらいはしたい!


ようは、二人きりになったことを誰にも気づかれなければいいのよ。


夜中にこっそりとユリウスの部屋に忍び込んで……。


『もたもたしてると、他の令嬢に割り込まれるかもよ』


「もう、縁起でもないこと言わないでよ」


ユリウスは次の王になるわけだし、今後釣書が山ほど送られてくるでしょう。


過去に婚約破棄された経験のある傷物の私より、若くて可愛い年下の令嬢が推薦される可能性も……。


こうしてはいられないわ!


「ルシアン、ごめん、マッサージを中断するね!

 私、ユリウスに返事を伝えてくるわ!」


『ユリウスは会議中だろ?

 明日でもいいんじゃないか?』


「こういうことは、すぐに伝えないと!

 ピチピチの年下女子にユリウスの婚約者の座を奪われてしまうわ!」


革命のことが知れ渡ればライバルが一気に増えるでしょう。


ユリウスとの関係を揺るぎないものにしておかなくては!


『会議室に行っても、中には入れてもらえないぜ?』


ルシアンの言うことも最もだわ。


「大丈夫よ、会議室の扉の前で待つから!」


『だったら、ここで待っても同じだろ?』


「そうかもしれないけど、気持ちと距離的な問題!」


私は備え付けの姿見の前に立ち、髪型を整えドレスの裾を直した。


告白の返事をするのだから、少しでも綺麗に見られたいわ。


「これでよし!

 行ってくるね、ルシアン!」


『待てアンジェ、俺も行く』


「着いてきてくれるの?」


『アンジェは危なっかしいからな』


「ルシアンが着いてきてくれれば安心ね」


ルシアンより強い人はこの国にはいない。


最強の護衛だもの。









私はルシアンの忠告を聞くべきだったのだ。


まさか部屋から出たことが危険に繋がるなど……思ってもみなかった。




読んで下さりありがとうございます。

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