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踏み台令嬢に転生したのでもふもふ精霊と破滅フラグを壊します! 気づけば王子様ホイホイ状態なんですが!? 完結  作者: まほりろ・ネトコン12W受賞・GOマンガ原作者大賞入賞
二章「学園編&陰謀編」

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45話「アンジェリカのモテ期到来? 二人の王子からの電撃プロポーズ!?」



「ルシアンがあなたに噛みついたこと、家族として友人として謝罪いたします。

 しかしながら、あの時黒竜を倒したのはルシアンで、私が作った回復薬で殿下が命を取り留めたことをお忘れなきよう」


ルシアンのことを謝罪しつつ、きっちり恩を着せることを忘れない。


「あの時の竜をその犬がね〜〜?

 油断していたとは言え、百戦錬磨の俺が怪我を負わされるわけだ」


カイムの話は最後には自画自賛に行きついた。


「殿下の怪我はポーションで治療いたします。

 慰謝料を払えと言うなら従います。

 ですがその場合、未婚の女性に同意なく抱きつき、誤解を招く発言をしたことについて、追求させていただきます」


このようなことで、ヴァルトハイムとの関係を悪化させたくない。


それはそれとして、ルシアンの命を守り、自分の身の潔白を証明しなくてはいけません。


助けた挙げ句に不名誉な噂を流されたのでは……やっていられません。


「ああ、良い良い、アンジェリカ嬢。

 息子がそなたに非礼を働いたゆえ、そなたの(ナイト)が息子に噛みついたまでのこと。

 息子には良い薬だ」


事態を見守っていた人々の中にヴァルトハイム国王もいたようです。


ヴァルトハイム国王が、間に入ってくれました。


てっきり、王妃と積もる話をしているのかと思ってました。


なんにしても、大人な対応ができる人がいてよかった。


「ヴァルトハイム国王陛下の寛大なお心に、感謝申し上げます」


私はヴァルトハイム国王に頭を下げた。


「何を言うかアンジェリカ嬢。

 謝るのはこちらだ。

 貴殿の薬には兵士だけでなく、王都の民も助けられた。

 その、大恩人に息子が無礼を働くなどあってはならないことだ」


「恐れ入ります」

 

「息子にはきつく灸を据えておく」


「カイム殿下の件は、ヴァルトハイムの国王陛下に一任いたします」


取り敢えず、交際問題にならずホッとしました。


「ユリウス様、それからこちらにお集まりの貴族の皆様。

 私とカイム殿下の関係については先ほど話した通りです。

  しかし、誤解を招かぬよう今一度詳しく説明させていただきます」


私は、フィンスターホルンでのことをユリウスと貴族達に話した。


こういうことは、早めに訂正した方がいい。


おかげで、隣国に薬を配っていたことや、ルシアンが精霊ということまで説明する羽目になってしまいました。


もちろん、ルシアンが闇の力を持っていることは秘密です。


人間だけの力ではヴァルトハイム王国に行って、各救護所の人々に薬を配って、その上フィンスターホルンに登ってドラゴンを倒して、数日で帰って来るなんて不可能だからです。


ルシアンが、どの属性かまでは教える必要はないでしょう。


唯一ルシアンの正体を見破れる聖女は投獄されました。


彼が闇の精霊だとバレることはないでしょう。


「ユリウス様、本当にカイム殿下とは何もないんです。

 彼はあの時、竜に深い傷を負わされ虫の息でした。

 私は彼を助けるのに必死で、相手の服装のことまで気に留める余裕がなかったのです。

 回復したカイム殿下に不意に抱きしめられただけで……」


『俺もそれは保証するぜ』


「大丈夫だよ、僕はアンジェリカを信じてるから」

 

ユリウスの瞳に疑いや不安の色は一切見られませんでした。


「ユリウス様」


私は彼から寄せられる信頼が嬉しかった。


「話しているところ悪いが、アンジェリカ、ちょっといいか?」


カイムがユリウスとの会話に乱入してきました。


げっ、またこの変態王子と話をしなくてはいけないの?


そう思ってもいても、貴族令嬢たるもの顔に出してはいけません


「なんの御用でしょうか?」


作り笑いを浮かべましたが、言葉に冷たい怒りが滲み出てしまいました。


「アンジェリカ!」


カイムが私の手を取った。


キモい……! 私の全身に鳥肌が立ちました!


「改めて伝えよう!

 俺は君が好きだ!

 いや、愛している!!

 俺と結婚してくれ!!」


カイムだ目をキラキラさせながらこちらを見つめてきます、


せっかく、ここにいる全員の誤解を解いたのに……!


なんでこのタイミングでプロポーズしてくるの? 


アホなの? 空気が読めないの!?


返事をせずにいると、カイムがぐいぐいと迫ってくる!


「アンジェリカ嬢から手を離せ!!」


ユリウスがカイムの手を叩き、カイムの手から乱暴に私を開放しました。


ユリウスはそのまま私の腕を引き、荒々しく抱き寄せた。


今日のユリウスはいつになく力強くて大胆です!!


私の体についたカイムの匂いが、ユリウスに上書きされていく。


私がユリウスのジュストコールをきゅっと握ると、彼は一瞬息を呑んだ。


ユリウスは私の手を包み込み、指を絡ませるように手を握った。


ユリウスの紫の瞳が私を静かに見つめている。


私も「愛しい」という気持ちを込めて、彼を見つめ返した。


二人の静かな時間が流れる。


「おい! 俺のプロポーズを邪魔するな!

 アンジェリカ、こっちにきてくれ!」


しかし、その時間はカイムの怒気を含んだ発言により壊された。


「断る!

 アンジェリカ嬢は君には渡せない!!」


ユリウスが、カイムをキッと見据える。


その姿は凛々しくて絵本にでてくる王子様のようだった。(実際王子様なんだけど)


「いとこ殿、さっきからなんで邪魔するんだよ!?

 あんたには関係ないだろ!!」


「関係ある!

 アンジェリカ嬢は僕の最愛の人だ!!」


ユリウスの言葉に胸がキュンと音を立てる。


彼の気持ちは知っていた。


こうして皆の前で言葉にされると格別嬉しい。


ユリウスが私の手を強く握った。私も彼の手を握り返す。


彼の愛情の籠もった瞳が私を見据えている。


ユリウスが「ここでプロポーズしてもいい?」と言っているような気がした。


私は無言でコクリと頷いた。


「アンジェリカ嬢は僕が妃にと望んでいる人だ!

 二度と彼女に近づかないでいただきたい!!」


ユリウスは威厳の籠もった態度でそう言い放った。


皆の前で求婚され気持ちが高鳴る。


好き、大好き!!


ユリウスのことが大好き!!


私はその場で叫びたかった!


だが周囲が騒然となり、その機会を逃してしまった。


「第二王子と婚約破棄した直後に、二つの国の王子を手玉にとるとは!」

「なんたる性悪! これでは将来が心配ですな!」

「このように身持ちの悪い女性は修道院に入れるべきですぞ!」


前国王派の貴族が、ここぞとばかりに私を貶す。


「アンジェリカは、そのようなふしだらな娘ではありません!!」


父が厳しい表情で前国王派の貴族を睨みつける。


「アンジェリカを貶めるなら、カレンベルク公爵家と我が一族を敵に回すとお考えください!」


父に射るような冷酷な瞳で睨まれ、悪口を言っていた貴族達は首をすくめ、足を震わせていた。


父が彼らに睨みを聞かせている間は。変な噂が立つことはないと信じたい。


ありがとうお父様。


帰宅したら父に沢山感謝の言葉を伝えよう。


「面白い!

 俺の女に手を出すって言うなら相手になるぜ!

 いとこ殿、剣で勝負をつけようぜ!」


カイムが剣の鞘に手をかけた。


城内の空気が一瞬について張り詰めた。



読んで下さりありがとうございます。

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