表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
踏み台令嬢に転生したのでもふもふ精霊と破滅フラグを壊します! 気づけば王子様ホイホイ状態なんですが!? 完結  作者: まほりろ・ネトコン12W受賞・GOマンガ原作者大賞入賞
二章「学園編&陰謀編」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/58

36話「証拠の回収とユリウスの決意」



『それで、国王は悪巧みは記録できたのか?』


「うん、そっちは大丈夫だと思うよ。

 水晶玉を確認してみないと、まだわからないけど」


話が逸れてくれて助かりました。


『じゃあ、水晶を回収して帰ろうぜ」


「そうね」


「僕がアンジェリカ嬢を肩車するよ」


ユリウスの申し出は嬉しいです。


嬉しいのですが、ユリウスの肩車→密着→降りる時に失敗→押し倒す。


こういう状況が想定できてしまいます。


今日はもう、これ以上密着したら心臓が壊れてしまいます。


「だ、大丈夫です。

 ユリウス様のお手を煩わせる程のことではありません。

 ルシアン、協力してくれる?」


『いいぜ』


ユリウスは「それは残念」と言って肩をすくめる。


私はルシアンの背に乗り水晶を回収した。


魔法を使い、録画を止める。


『ちゃんと録画されてるか確認しようぜ』


「そうね」


録画できていなかったら、もう一度この部屋に水晶をしかけ、残りの水晶を国王と聖女の部屋に仕掛けなくてはいけません。


なかなか手間がかかる上に、バレるリスクが跳ね上がります。


もしかしたら、国王と聖女は今後密談を交わすことがないかもしれません。


なので、録画できていないとかなり面倒なことになります。


私は一度、床に降り水晶を作動させました。


水晶玉を通して空中に立体映像が映し出される。


私の間抜け面のアップが映し出される。


仕掛けた人間の顔のアップから入るのは辛いです。


そのあと肩車しているユリウスから降りようとして、彼を押し倒したところがバッチリ記憶されていました。


顔から火が出るほど恥ずかしいとは、こういう時に使うのですね。


顔だけでなく全身が熱いです。


『なんだ、やっぱりいちゃついてるじゃん』


「いちゃついてなんかいないわ……!」


『チューしてんじゃん』


「チューなんてしてないわよ!

 これは、その……未遂だから!!」


水晶にはユリウスが私の頭に手を乗せているのが映っています。


見方によっては、抱き合ってキスしているように見えるかもしれません。


「このシーンはカットするわ!」


『水晶玉にそんな機能ついてたか?』


「うっ……!」


再生、一時停止、早送り、巻き戻し、水晶にはこの4つの機能しかついていません。


再編集する機能を搭載するべきでした。


叡智の祝福で賢さが上がっても、こういうところは抜けたままなのね。


「取り敢えず早送りします!」


国王と聖女が入ってくるところまで早送りしました。


彼らの姿も話し声もしっかり記録されていた。


ホッ、よかった。上手くいったようです。


「これで、証拠は抑えたわ!」


聖女が毒薬を完成させるまでに、証拠映像を元に反国王派をまとめ上げ、貴族会議を開かなくてはいけません。


だけど、ユリウスが国王を断罪することをどう思うかしら?


国王が犯人だと予想はしていたようですが、いざ父親を罰するとなったら、踏ん切りがつかないかもしれません。


「ユリウス様、証拠は抑えました。

 今後、いかがいたしましょう?」


ユリウスに直接聞いたほうがいいわよね。


「証拠を掴んだからには、やることは一つだ。

 反国王派の貴族を集め、貴族会議を開き、国王を失脚させる」 


ユリウスの目は鋭く、強い意思が宿っていました。


「ユリウス様、国王を断罪して本当によろしいのですか?」


「もとより覚悟はできている。

 それに時間がない。

 聖女が新たな毒薬を完成させるまでに、貴族会議を開きたい。

 解毒ポーションを常備しているとはいえ、それを接種する前に命を落とす可能性も考えられる」


彼の態度は堂々としていて、声には威厳があり、瞳には迷いはありませんでした。


目の前にいるユリウスは、いつもの穏やかな青年ではなく、為政者の顔をしていました。


覚悟は決まっているようです。


「アンジェリカ嬢、君はカレンベルク公爵にこのことを話し、味方になるよう説得してほしい。

 そしてできるなら、公爵家の派閥の貴族を味方につけてほしい」


「お任せください」


父は私に甘い。


故に長年私を蔑ろにしたエドモンドと、エドモンドを甘やかし続けた国王に良い感情を持っていない。


私が進級パーティで婚約破棄されたのが決定打となり、父はエドモンドの派閥を抜け、中立を保っている。


父に国王の悪事の証拠を見せれば、王妃とユリウスの派閥に入ってくれるはずです。


「僕は国王と聖女の動きを監視しつつ、王妃派の貴族をまとめる」


そちらはユリウスにお任せします。


「すまない、君を革命に巻き込んでしまった」 

国王を断罪することは、革命を意味します。


その言葉の重みが、ずっしりとお腹の奥に響きました。


革命を起こさなければ、ユリウスはいずれ国王に殺されるでしょう。


そんな未来は嫌です!


「ご心配には及びません。

 毒殺未遂犯を捕まえると決めたときから、覚悟を決めていましたから」


犯人が誰であれ、ユリウスの味方でいたいのです。


「このことは王妃殿下には……」


ユリウスが首を横に振りました。


「母はこういう計画には向いていない。

 全てが終わるまで黙っていようと思う」


「その方が、本人の為かもしれませんね」


あの方は策略とか陰謀には向いていないでしょう。


作戦を成功させるためにも、何も知らせない方が良いでしょう。


「伯父の協力も仰ぎたい。

 精霊殿、僕を乗せてヴァルトハイム王国に飛んでくれないか?

 王宮にいる伯父上に内密に書状を届けたい」


ルシアンが一緒とはいえ、王子様がほいほい城を抜け出して大丈夫かしら?


『え〜〜、アンジェリカ以外を乗せて飛ぶのはな〜〜』


ルシアンが尻尾をだらんと下げました。かなり嫌なようです。


「それなら書状は私が届けます」


「君が行くのかい?」


「はい、ユリウス様はヴァルトハイム城の地図を描いてください。

 国王の部屋にこっそりと忍び込み、書状を届けてきます」


諸国漫遊する某ご隠居の時代劇で、藩主などに書状を届けるのは連れのくノ一の役割でした。


「何奴?」

「〇〇様、使いの者です」

「なんと、〇〇様の使いと申すか!」


というやり取りを一度でいいからやって見たかったんですよね。


「そうか、ならば書状を届ける役割はアンジェリカ嬢にお願いするよ。

 くれぐれも無茶はしないように」


「はい」


ほんの少し前、私はヴァルトハイム王国で白衣の天女として活躍していました。


ヴァルトハイム王国は私に恩があります。


あの時の服装で行けば、見つかっても不審者と思われ捕まることはないはずです。


『アンジェ、安請け合いして大丈夫なのか?』


「平気よ。

 まずい状態になったら、睡眠薬をスプレーさけて逃げればいいんだから」


『アンジェはドジっ子だからな、心配だぜ』


ルシアンったら変なフラグを立てないでよね。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ