21話「後悔と焦り」エドモンド視点
――エドモンド視点――
建物の正門の前で、コレットとダミアンとライナスと共に他愛のない話をしていた。
ふいに見慣れない美少女に声をかけられ、心臓がドクンと音を立てた。
やや吊り目がちの瞳、きめ細かく美しい肌、整った顔立ちの品の良い美人。
スラリと背が高く、出るところが出ていて締まるところは引き締まっている。
俺は目の前の美少女がアンジェリカだと気付くのにしばらくかかった。
……知らなかった。
アンジェリカがこんなに壮麗で、スタイルが良く、気品に満ち溢れていたなんて。
アンジェリカはいつも顔を真っ白に塗りたくっていたので、顔立ちが整っていることに気付けなかった。
リボンやフリルでゴテゴテに飾ったドレスをまとっていたから、体型に目がいかなかった。
彼女を見ていると、無性に抱きしめたくなった。
一カ月前は彼女が視界に入るだけでも苦痛だった。今の彼女なら側に置いても良いと思える。
そのくらい彼女は変わった。
アンジェリカが変わったのは、見た目だけではなかった。
別人のように中身も変わっていた。
今までのアンジェリカなら、甘い声を出し、挨拶代わりに俺に抱きつこうとしていただろう。
それを拒否されたら、コレットに八つ当たりしていたはずだ。
だが今日のアンジェリカは違う。俺と適度に距離を取り、挨拶もよそよそしい。
それに、俺に向ける目が冷たい。
今のアンジェリカは、その辺の通行人に向ける目も、俺に向ける目も同じだ。
アンジェリカは、コレットと俺に謝罪すると、婚約の祝いの言葉を述べ、俺達に二度と関わらないと告げて去っていった。
俺は、なぜか焦燥感にかられていた。
こうなることを望んでいたはずなのに……。
なんで、こんなに傷ついているんだ?
アンジェリカが美人になったから……逃がしたのが惜しいと思ったのだろうか……?
本当にそれだけなのか?
ダミアンとライナスが、アンジェリカについて何やら文句を言ってたが、頭に入ってこなかった。
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